法務局で登記事項証明書を取得して確認を

エンディングノートには不動産の保有状況を記載するページがあります。相続人が情報を正確に把握できるよう、登記事項証明書を見ながら不動産の情報を記載するとよいでしょう。登記事項証明書は法務局で取得できます。不動産には一筆ごとに不動産番号が指定されており、番号がわかれば特定が容易になるほか、登記事項証明書をスムーズに取得できます。不動産番号は登記事項証明書の右上に書いてある13桁の数字です。地番や地目と一緒に記録しておくことをお勧めします。

ところで、登記記録を確認していると、とても複雑になっている物件に出会うことがあります。これまでに、20社以上の法人が共有している宅地、共有者として50名以上の名前が記録されている山林、破産手続が終結した法人名義のままになっている建物などを見たことがあります。
現行法においては、不動産の所有権移転登記は義務ではないため、亡くなった人名義のままで放置されているものもあります。ただし、近年になって所有者不明の土地が社会問題になっており、相続登記の義務化が検討されているため、今後の制度変更には注意が必要です。

共有代表者でなければ、固定資産税の納付書が届かないことも

相続の相談を受ける際に、亡くなった人の資産状況について聞いています。相続登記をするために、不動産についても質問するのですが、相続人が権利関係を正確に把握できている場合はあまり多くありません。残されていた登記済み証や固定資産税の納付書を元に聞き取りを行い、判断することになります。
かつて、私の住む青森県などの地方では、新築住宅需要の高まりを背景に山林投資が活発に行われていました。購入後に成長した木材を売却し、利益を得ることを目的にしていたものの、輸入木材が増えたことなどにより木材価格は低迷。山林を購入する人も減りました。

そのような、投資目的で購入したと思われる山林の相続登記を行うことがあります。不動産の保有状況については、固定資産税の納付書を参考にする人が多いでしょう。ですが、それだけを判断の拠り所にすることはお勧めしません。
地方税法により、共有資産に係る固定資産税は、共有者全員が連帯して納付する連帯納税義務を負うと規定されています。簡単に説明すると、共有者は持分に対してのみ納税義務を負うわけではなく、全員で連帯して物件に係る全額の納税義務を負います。

共有持分の割合に応じて、共有者全員にそれぞれ請求することは地方自治体にとっては大きな負担となります。実務上は共有者のうち代表者に納税通知書が送付される場合が多いです。つまり、共有の不動産があり、共有代表者になっていなければ、固定資産税の納付書は届かないことがあります。不動産の持分を所有していることに気付かないこともあるでしょう。

本来、共有不動産の固定資産税は持分に応じて支払う義務があります。代表者が一括して物件にかかるすべての固定資産税を支払っている場合、それぞれの共有者に代わりに支払った部分の負担を求める可能性もあります。山林であれば固定資産税額は低いため大きな負担にならないかもしれませんが、評価額の高い土地については、税額も高くなります。なるべく早期に、不動産の所有状況も家族間で共有することを勧めます。不動産の保有状況については、物件が所在する地方自治体の窓口に相談してみるとよいでしょう。
人口減少により、地方の不動産価格は長いスパンで見れば低下していくと言われています。
遊休不動産を市場に出すと買い手が付く場合があるため、使用予定のないものが見つかった場合は、売却を検討してもよいでしょう。

(記事は2020年6月1日現在の情報に基づきます)