目次

  1. 1. 特別受益を認めさせるには証拠が必要
    1. 1-1. 特別受益とは?
    2. 1-2. 相手方が特別受益を認めないなら証拠が必須
  2. 2. パターン別特別受益の証拠
    1. 2-1. 現金預金が贈与された場合
    2. 2-2. 不動産が贈与された場合
    3. 2-3. 車が贈与された場合
    4. 2-4. 学費を出してもらった場合
    5. 2-5. 扶養料・生活費を出してもらった場合
    6. 2-6. 借金を肩代わりしてもらった場合
    7. 2-7. 事業資金を出してもらった場合
  3. 3. 特別受益を主張するときに弁護士に依頼するメリット
    1. 3-1. 証拠集めを手伝ってもらえる
    2. 3-2. 交渉や調停、審判を代理してもらえる
    3. 3-3. 有利な結果を獲得しやすくなる
    4. 3-4. 特別受益に当たるかどうか正しく判断できる
    5. 3-5. 特別受益額や持ち戻し計算を正しく行ってもらえる
    6. 3-6. ストレスがかからない
  4. 4. 遺産分割を依頼する弁護士の選び方
  5. 5. まとめ

特別受益とは、被相続人から遺贈や生前贈与を受けた相続人がいる場合に、その相続人が得た利益のことをいいます。相続財産を先にもらったものと評価して、相続分を計算します。

例えば、被相続人の遺産が1000万円、相続人が子3人(法定相続分は各3分の1)、長男が生前に500万円をもらっていたとします。この場合、長男がもらった500万円を加えた1500万円がみなし相続財産となり、3分の1の500万円をそれぞれが取得しますが、長男は生前に500万円を受け取っているので、新たに受け取る財産は0となります。

遺産分割協議・調停で相手方が特別受益を認めるのであれば、証拠は必要ありません。

しかし、利益を得ている相続人が特別受益を認めない場合、特別受益の有無を調停や審判で争うことになります。その際、その相続人に特別受益を認めさせたり、裁判所に特別受益があったと認定してもらったりするには証拠が必須です。

そこで、パターンごとに特別受益の証拠となるものを見ていきましょう。

被相続人が現金や預金を支出したことを示す資料として、被相続人の預金通帳や取引履歴が考えられます。

一方、相続人の一部がお金を受け取ったことを示すには、その相続人の預金通帳や取引履歴があればいいですが、そのような資料は取得が難しいです。その場合は、その相続人が直後に不動産や車を買ったことを示す資料があれば、その時期や金額が近いほど、贈与を受けた現金預金を使って購入したと認められやすくなります。

その他、被相続人が残したメモや日記、被相続人と相続人の間のメールや手紙のやり取りがあれば、有力な証拠となります。

不動産の全部事項証明書、いわゆる登記を取得することが重要です。登記を見れば、いつ、誰から誰に不動産の所有権が移ったかを確認できます。

不動産の購入費用を援助した場合は、不動産売買契約書や、預金通帳・取引履歴から時期や金額を把握して、資金援助があったことを示すことが考えられます。

自動車の車検証や、車の購入資金を援助した場合は自動車の売買契約書や購入前後の預金通帳・取引履歴が証拠となり得ます。

学費の領収証や学費納入についての書類のほか、学校に問い合わせて金額を確認することも考えられます。

預金通帳や取引履歴の送金履歴や、クレジットカードを使わせていたとすればそのカード明細も証拠となり得ます。

いつ・いくら借金を返済したのかが分かる資料として、借金の借入先が発行する完済証明書や取引明細を取得することが考えられます。

開業資金を援助したような場合、開業時期と被相続人の支出の時期が近いことを示すことが必要と考えられます。預金通帳や取引履歴からお金の動きを確認するほか、当事者の手紙やメールに事業資金を援助したことを示すやりとりがあれば、証拠として有用です。

どのような証拠を集めるのか、どこに請求すればよいのかを相談し、必要な証拠集めのサポートが得られます。資料によっては、弁護士が代理人として資料請求することもできます。

また、弁護士会照会という手続きを通じて資料の開示を求めることで、自身では取得できない資料を集めることも可能です。

証拠を集めた後の遺産分割交渉、調停、審判といった一連の手続きを任せることで、遺産分割にかかる労力を減らすことができます。

自分では見落としかねない有利な事実・主張も、弁護士がいることで主張することができ、有利な結果を獲得しやすくなります。

特別受益に当たるかどうか正しく判断でき、特別受益が認められる可能性が高いなら争い続ける、可能性が低いなら時間をかけずに早期に遺産分割をまとめるなど、適切な方針を決めることにもつながります。

複数回にわたって財産を贈与していた場合の計算や、特別受益を相続財産に加算してそれぞれの取得分を算定する計算も、弁護士に正しく行ってもらうことができます。

資料収集、交渉や調停の対応など、遺産分割には様々な負担がかかるため、精神的なストレスは大きいです。対応を弁護士に委ねることで相談相手ができ、ストレスを軽くすることができます。

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遺産分割の知識や経験があることは当然重要ですが、それに加えて、依頼者の希望を理解し丁寧に親身になって対応してくれることが重要です。遺産分割は、資料の収集から交渉・調停など長丁場です。依頼者の希望を踏まえて適切な対応をとってくれる、信頼関係を築くことができる弁護士を選びましょう。

特別受益は、証拠を得ることが非常に重要です。そして、証拠収集から証拠の価値の判断、その後の遺産分割協議と必要なことが多く、紛争が長期化するケースも多いです。

そのため、特別受益が争点になる場合には、早めに弁護士に相談し、証拠の集め方、特別受益に当たるかどうかなどアドバイスを受けながら、遺産分割の交渉を進めて行きましょう。

(記事は2021年10月1日時点の情報に基づいています)