ポイントは相続税がかからない「基礎控除額」

  • 父さんが亡くなった時、相続税っていったいいくらぐらいかかるものなんだろう。

    長男・太郎
  • また縁起でもない話を始めたな。でも、そもそも相続税がかからないケースもあると聞いたことがある。どうなんでしょう博士?

    父・一郎
  • ポイントは相続税がかからない「基礎控除額」です。相続税がかかるかどうかは、まず、一郎さんのプラスの財産から、債務や葬儀費用などマイナスの財産を引いた金額をざっくり計算してみてください。引いた残額が基礎控除額より多いと、相続税がかかります。

    ソーゾク博士
  • 基礎控除額はどう決まる?

    太郎
  • 基礎控除額は、相続人の数によって変わります。相続人が多いほど基礎控除額は多くなります。一郎さんがのこした遺産から差し引ける控除額が大きくなるので、相続税の金額は少なくなります。遺産の合計額が基礎控除額を超えなければ、相続税の申告や納税は不要です。

    博士
  • わが家の場合だと、基礎控除額はどう計算すればいいんだ?

    一郎
  • 2015年以降、基礎控除額は、3000万円+(600万円×法定相続人の数)です。朝日さんのお宅の場合、正子さんとお子さん2人の計3人が法定相続人。基礎控除額は4800万円という計算になります。遺産の総額がこの金額を超えていたら、相続税の申告が必要です。

    博士
  • 4800万円! うちにはそんなお金ないから、関係なさそうな話ね。

    正子
  • そんなことありません。相続税がかかるのは、「お金持ちの家だけ」というイメージがあるかもしれませんが、13年度の税制改正で、基礎控除額が以前より小さくなり相続税の申告が必要な人が増えました。土地や建物、預貯金、車……。財産は積み上げてみると、意外とあるものです。特に自宅は見落としがちです。また、亡くなる直前の3年間の贈与など、一部、生前にもらった財産にも相続税がかかります。  

    博士

いざという時のため事前に整理を

  • はっきりとはわからないけど、うちも相続税がかかるかどうか微妙なのかも。何だか心配になってきた。この家の土地と建物を合わせると、俺が思っているより高くつくかもしれないぞ。不動産については特に分かりづらいから、今から調べておいた方がいいかもしれないな。

    一郎
  • そっかぁ。僕たち子どもが2人じゃなくて、3人きょうだいだったら、控除できる額はさらに増えて5400万円だったのかぁ。

    太郎
  • あら、この間、遺産の分け方を話した時には、「一人っ子だったら、遺産は全部自分のものになるのに」って言ってたくせに。都合がいい子ね。

    正子
  • まあまあ。それにしても、いろいろ複雑な仕組みなんだね。

    太郎
  • 相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内に行わなければなりません。一郎さんが元気なうちから、プラスの財産とマイナスの財産にはそれぞれ何があり、どのくらいの金額になるか、家族で整理しておくといざという時に安心ですよ。

    博士
  • そうだな。まずは「3千万円+(600万円×法定相続人の数)」という基礎控除額の算式を押さえて、それを超えると相続税の申告が必要になると覚えておこう。

    一郎

今回の記事のまとめ

・遺産の総額が基礎控除額を超えたら相続税の申告が必要

・基礎控除額は3千万円+(600万円×法定相続人の数)

・13年度の税制改正で、相続税の申告が必要な人が増えた

・相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内

(今回のソーゾク博士=税理士鈴木まゆ子さん、構成=相続会議編集部)

(記事は朝日新聞土曜別刷り「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2021年7月1日時点での情報に基づきます)