目次

  1. 1. 連帯債務とは? 連帯債務も相続される!
    1. 1-1. 連帯保証との違い
    2. 1-2. 連帯債務も負債として相続される
  2. 2. 連帯債務の相続方法・割合
  3. 3. 連帯債務を免れる方法について
    1. 3-1. 自分たちで話し合って負担割合を決めても意味がない
  4. 4. 相続した上で免責的債務引受をする方法
  5. 5. そもそも相続したくないのであれば相続放棄がおすすめ
  6. 6. 連帯債務は相続税計算で債務控除できる場合も
  7. 7. まとめ

「連帯債務」とは、数人の債務者が同じ内容の債務について、債務者それぞれが全部の弁済をする義務を負い、そのうちの1人の弁済があれば、他の債務者も債務を免れるというものをいいます。簡単にいうと、一つの債務を複数人で負担するようなものです。

たとえば、甲という債権者に対し、ABCがそれぞれ100万円の連帯債務を負っているとします。この場合、ABCはそれぞれ独立して100万円の支払い義務を負っているので、甲としては、ABCのうちもっとも資力の高い人に請求できるということになります。そして、ABCのうち誰か1人が100万円全額を弁済すると、他の2人も債務を免れるという関係にあります。

また、連帯債務が普通の債務と異なるのは、連帯債務者が債務を弁済した場合、他の連帯債務者に求償できるということです。そのため、連帯債務を弁済した後に、他の連帯債務者に求償することで、負担を求めることができます。

「連帯債務」とよく勘違いされるものに、「連帯保証」というものがあります。連帯債務の場合、上記のとおり、それぞれの債務者が独立した債務を負っており、対等な関係といえます。

一方連帯保証債務というのは、主たる債務者の債務を保証するためのものです。そのため、主債務者が一次的な責任を負っているのに対し、連帯保証人の負っている債務は二次的なものといえます。そのため、連帯保証人が債権者に対し、 債務者の代わりに弁済した場合などは、債務者に対して求償権を行使して、自分が支払った金額を債務者に払うように請求できます。

もっとも、連帯保証人は通常の保証人と異なり、債権者から保証債務を履行するよう請求された場合に、「先に債務者に支払うように言ってくれ」ということを言えません。このような意味では、連帯保証人は債務者と同様の扱いを受けるとも言えます。

相続が生じると、相続人は被相続人の一切の権利義務を承継することになるのが原則です。そのため、連帯債務も負債として相続することになります。

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連帯債務を相続人が相続する場合、法定相続分に応じた割合で相続をするということになります。

例えば、3000万円の連帯債務を負っているAさんが亡くなり、その配偶者と子ども2人が相続人だとします。この場合、配偶者が2分の1、子どもがそれぞれ4分の1ずつの法定相続分になります。

そのため、配偶者の相続する連帯債務は、3000万×2分の1の1500万円となります 一方、子どもの相続する連帯債務は、3000万×4分の1の750万円ずつになります。

では、この「連帯債務」を免れる方法はあるのでしょうか。

連帯債務には「負担割合」というものがあります。

例えば100万円の債務について、AさんとBさんが連帯して負っているというケースがあるとします。このような場合、AさんとBさんが話し合いでそれぞれ9:1の割合で負担するという取り決めをしたとします。そうすると、仮に、Aが100万円全額弁済した場合、Bの負担割合である1割の10万円分について、Bに求償できるということになります。

連帯債務を相続した場合、相続人同士で話し合いをして、負担割合を変更することも考えられますが、仮にそのような話し合いをしたとしても、変更後の負担割合を債権者に主張することはできません。このような場合であっても、債権者が変更後の負担割合を同意すれば、上記変更後の負担割合を主張することができますが、債権者としては、自分に不利益が及ぶような変更を認めないと思われます。

そのため、被相続人に多額の連帯債務があるというような場合は、まずは以下で説明する「相続放棄」の手段を検討することがおすすめです。

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連帯債務を相続した場合、「免責的債務引受」という手段も考えられます。

免責的債務引受とは元の債務者が債務を免れる代わりに、新たに引受人が債務を引き受けるというものです。どのような場合に使われるものかというと、例えば、相続人の1人が被相続人の事業を引き継ぐというような場合に使われます。事業関係の債務については、事業を引き継いだ相続人が支払う方が公平だと考えられるためです。

免責的債務引受は、債務者と引受人との契約ですることが出来ますが、債権者の承諾が必要です。そのため債権者としても、資力のある人が代わりに引受人となるというような場合でなければ、承諾しないものと思われます。

相続人間の負担割合の変更や、免責的債務引受で「債務者が承諾しない」というような問題が生じる場合には、相続人としては「そもそも連帯債務を相続しない」という手段がもっとも簡便です。そのため、相続放棄という手段をおすすめします。

相続放棄は、相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内に家庭裁判所に申述して行うことができます。この申述という手続きは、各相続人が単独で郵送の手続で行うことができるため、非常に簡単です。

ただ相続放棄をしてしまうと「はじめから相続人ではなかった」という扱いになるため、借金の他に遺産があったとしても、相続することができなくなります。そのため、相続放棄をするかどうか決める前に「財産調査」をすることがとても重要です。

相続税では連帯債務はマイナスの財産とされ、債務控除の対象となる場合があります。

例えば、被相続人の負担している金額が明らかな場合などは債務控除の対象となります。また、連帯債務者の中に履行をしない者がいて、被相続人がその者の債務も負担しており、なおかつ求償したとしても弁済される見込みがないような場合も、その負担部分が債務控除の対象となります。

ただ連帯債務の債務控除の制度は複雑です。相続財産に連帯債務が含まれる場合は、最寄りの税理士に相談することをおすすめします。

連帯債務という言葉は、法律と関わりのない人には耳慣れない言葉であり、わかりにくいかもしれません。ただ相続との関係でいえば、通常の債務と同じように法定相続分に応じて分割されるものであり、相続を避けたいのであれば相続放棄という手段をとることになると思われます。

いずれにしても、被相続人の財産に連帯債務が含まれるという場合、専門家でなければわからないことも多いものです。そのため弁護士に依頼して財産調査することや、連帯責務について税理士へ相談することをおすすめします。

(記事は2021年8月1日の情報に基づいています)