目次

  1. 1. 相続放棄申述書は亡くなった人の最後の住所地の裁判所へ
  2. 2. 申述書の提出を郵送するときの注意点
    1. 2-1. 3カ月の申し立て期限が迫る場合は直接持参
    2. 2-2. 郵送後に届いたかどうかの確認
    3. 2-3. コピーを手元に残す
  3. 3. 相続放棄申述書に添付する資料
    1. 3-1. 市町村から取り寄せる戸籍謄本など
    2. 3-2. 戸籍等が間に合わない場合の対応
  4. 4. 相続放棄の申し立て後に届く質問書類
  5. 5. 回答書を記載するときの注意点
    1. 5-1. 申述書と異なる内容は記載しない
    2. 5-2. 遺産を使わない
  6. 6. 裁判所からの「申述受理通知書」で手続き完了
  7. 7. 相続放棄の申立にかかる費用

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相続放棄は家庭裁判所に放棄の申立書を提出しないと法律的な効果がありません。例えば、あなたの父親が借金を残して亡くなったとしましょう。債権者は相続人であるあなたの元にやってきて借金の返済を求められた時、「私は相続放棄をしたので、何も貰いませんでした」といくら言っても、裁判所に放棄の書類を出さないと、債権者からの攻撃を防ぐことはできません。このことは絶対に忘れないようにして下さい。

さて、家庭裁判所といっても、全国各地に多数ありますが、亡くなった父親の最後の住所地の案件を扱う裁判所に提出する必要があります。最後の住所地は、父親の住民票を取って確かめるといいでしょう。

また、その住所地を管轄するのはどこの家庭裁判所になるかは、裁判所が作った「相続の放棄の申述」からたどれます。サイトの「申述先」という欄で「管轄裁判所を調べたい方はこちら」というところをクリックすると、提出先の裁判所が簡単にわかります。

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裁判所への申立ては、直接、窓口に提出してもよいですし、郵送でも受け付けてもらえます。ただ、次の3点は覚えておいてください。

まず、相続放棄は被相続人が亡くなったことを知ってから3カ月以内の申立て期限が迫っているのであれば、郵送ではなく裁判所へ直接持参しましょう。郵便の場合は遅れてしまう可能性があるからです。

次に、郵送の場合には期限が来る前に、余裕を持って、届いたかどうかを裁判所に確認する必要があります。

最後に申立書を出す際には、申立書のコピーを手元に残しておきましょう。申立書を提出した後、裁判所から相続放棄に対する質問を記載した書面が来ます。その回答に、申立書に記載したのと矛盾する内容を書かないために、コピーは必ず取っておきましょう。

相続放棄の申立てをする際、誰が死亡したのか、相続人は誰であるかを記載しますが、その裏付けの資料も添付する必要があります。具体的には以下の資料が必要になります。

  • 死亡した人(被相続人)の戸籍謄本(死亡しているので、正確には除籍謄本といいます)
  • 死亡した人の住民票除票
  • 申立てをするあなたの戸籍謄本

これらは市町村から取り寄せてください。

例えば、父親が死亡し、子であるあなたが相続人である場合には、お父さんの死亡の記載がある除籍謄本、お父さんの住民票除票、あなたの現在の戸籍の3通で足りるのが通常です。

ただ、あなたが離婚をしている場合には、父親とのつながりを示すためにもう少し余分の戸籍の取り寄せが必要になります。

お父さんやあなたの本籍地が近くなら、車を飛ばして1日で取り寄せできるでしょうが、遠隔地なら郵送で取り寄せることも多いでしょう。郵便が遅れて戸籍などの添付書類が届かない場合には、申立書だけでも裁判所に提出するとよいでしょう。

なお、このような場合には、戸籍謄本などは後で提出する(法律用語で「追完(ついかん)といいます」)ことを添え書きしておくといいでしょう。

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相続放棄申述書の書き方 手順と注意点とは?

裁判所は相続放棄申立書を受け取った場合、申立てをした人に、質問事項を記載した書面を送ります。これは、他の相続人の圧力で、あるいは申立人以外の人が勝手に放棄の書類をだしていないかを確かめるためです。

質問事項は、大阪府内の家庭裁判所では次のような質問の場合が多いです。

  • 被相続人との親族関係は?
  • 被相続人の死亡を知った日は?
  • あなたの名前で相続放棄の手続がなされていることを知っていますか?
  • 相続放棄の理由は?
  • 相続財産としてどのようなものがあるのか知っていますか?
  • 遺産の全部又は一部を受領したり、使ったり、又、債務を弁済したことはありますか?
  • 今回の申立てはあなたの真意に基づくものか?

ただ、この質問事項は、裁判所により異なります。例えば、三重県の津家庭裁判所のものでは非常に詳しい内容の質問が記載されています。

回答書は本当のことを記載するだけですから、どう書くかを教えることはおかしいかもしれませんが、念のために、是非注意しておくべき点をお知らせしましょう。

まず、大切なのは申立書と異なる内容を記載しないことです。特に、「いつ、相続開始を知ったのか」などという点は、放棄の期限の関係で、とても大事なことですので、矛盾のないように記載する必要があります。

又、遺産を使っていると、相続放棄が認められません。そのため、「遺産の全部又は一部を受領したり、使ったり、又、債務を弁済したことはあるか?」というような質問も大変、重要な質問です。

一部でも財産を使った場合には、相続放棄は認められませんので、絶対に遺産を使わず、債務の支払いをしないことに注意し、又、回答書にもその旨をはっきりと記載する必要があります。

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回答書を裁判所に提出した後、特に問題がない場合には、裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が送られてきます。これで相続放棄が正式に受理されたことになります。受理証明書は相続放棄を証明する重要な書類ですので、大切に保管しておきましょう。

なお、申請をすれば、家庭裁判所では相続放棄受理証明書を発行してくれます。債権者から要求された場合には、この証明書を渡すといいでしょう。

最後に放棄申立ての費用も説明しておきましょう。

裁判所への申立費用:申立てに貼る収入印紙は800円(全国一律)
予納郵券(裁判所からあなたへの書類の送付のために必要な切手):大阪家庭裁判所では470円ですが、家裁により異なりますので、電話等で確認するといいでしょう。

相続放棄の申立ては比較的簡単にできると書いてきました。しかし、相続放棄は奥深いものです。次回は相続放棄をしなかったために、家族が悲惨な状況に陥ったケースもあれば、放棄しなかったことにより、多額の金銭をもらうことができたというケースもあります。現実に扱った案件を例として、相続放棄の奥深さをお伝えします。

(記事は2022年9月1日時点の情報に基づいています)

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