目次

  1. 1. 滅失登記とは
    1. 1-1. 滅失登記の期限は1カ月以内、10万円以下の過料も
    2. 1-2. 滅失登記の申請ができる人
    3. 1-3. 滅失登記をしていない場合のデメリット
  2. 2. 滅失登記を自分で申請する際の必要書類
    1. 2-1. 建物滅失登記申請書|法務局HPからダウンロード可
    2. 2-2. 建物滅失証明書(取り壊し証明書)|解体業者から取得
    3. 2-3. 解体業者の資格証明書(登記事項証明書など)
    4. 2-4. 状況に応じて必要な書類
  3. 3. 滅失登記を自分で申請する際の手続きの流れ
  4. 4. 滅失登記申請の代行を依頼するなら土地家屋調査士へ
  5. 5. 滅失登記の申請でよくある質問
  6. 6. まとめ

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住宅や店舗などの建物は、建物の構造や所有者などの状況が客観的にわかるよう登記されています。建物が解体等でなくなったことを記録する登記を「滅失登記」といいます。

不動産登記は大きく分けて表題登記と権利の登記があります。表題部には、構造や面積などどのような建物であるかが記録されています。権利の部には所有者の住所や氏名、抵当権の設定状況などが記録されています。一般的な建物は登記されており、状況がわかるようになっているため、解体等で建物が無くなった場合についても、結果を登記記録に反映させる必要があるのです。

所有者または所有権の登記名義人は、滅失した日から1ヵ月以内に申請しなければならないとされています。

滅失登記の申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処すると定められています。期間が短く、罰則も定められていますので、注意が必要です。

対象となる建物の所有者は当然ですが、申請できます。建物が共有の場合、共有者のうち一人が単独で申請することができます。

なお、解体時点で所有者が死亡している場合は、相続人のうち一人が単独で滅失登記申請することができます。

滅失登記をしていない場合には、以下のデメリットがあります。

  • 10万円以下の過料に処される場合がある
  • 固定資産税を払い続けなければならない
  • 土地の売却、再建築ができない

建物が取り壊し済みであっても、解体の事実を地方自治体が知る機会がない場合は、固定資産税が継続して課される可能性があります。また、土地の売却を検討する場合、土地上に建物の登記記録が存在していれば、売却に支障をきたすこともあり得ます。

滅失登記をする際は、以下の書類が必要です。

  • 建物滅失登記申請書
  • 建物滅失証明書(取り壊し証明書)
  • 解体業者の資格証明書

建物滅失登記申請書の様式と記載例は、法務局ホームページからダウンロードできます。記載例を参考に、建物の登記情報(所在、構造、床面積など)を記載しましょう。

建物滅失証明書は、建物が取り壊されたことを、実際に建物を解体した工事業者などが証明する書類です。「取り壊し証明書」と呼ばれることもあります。

解体から時間が経過していて工事業者がわからなかったり、入手した証明書を紛失したりするなどの理由で、解体工事の請負人から建物滅失証明書を取得できない場合の対応については詳しく後述します。

解体工事請負人を証明するために、工事請負人が法人の場合は、その法人の代表者の資格を証する書面と法務局で取得できる法人代表者の印鑑証明書を添付します。工事請負人が法人でない場合は、市町村に登録した個人の印鑑証明書を添付します。

ただし、解体工事請負人が法人である場合は、建物滅失登記申請書に会社法人番号を記載すれば、これらの証明書類を省略することができます。

【関連】実家の解体費用はいくらかかる? 費用の相場と安く抑えるポイントを解説

建物の所有者の状況に応じて、以下の書類が必要となるケースがあります。

  • 登記事項証明書の住所と異なる→住所変更が証明できる書類(住民票や戸籍謄本など)
  • 登記事項証明書の氏名と異なる→氏名変更が証明できる書類(戸籍謄本や除籍謄本など)
  • 所有者(存命)が申請できない→代理権限証書(委任状)
  • すでに死亡している→被相続人(亡くなった人)との相続関係を証明する書類(所有者の戸籍謄本と除籍謄本、申請者の戸籍謄本など)

滅失登記の必要書類がそろったら、建物が所在する地域を管轄する法務局に申請します。申請から登記完了までは、通常1週間から10日程度かかります登記が完了したら、法務局で「登記完了証」を受け取りましょう。

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また、所有者が亡くなっていたり、土地の売却や再建築などのために急いでいる場合などは、表題登記の専門家である土地家屋調査士に相談することをおすすめします。土地家屋調査士は、土地や建物の登記に必要な調査および測量をする専門家で、滅失登記は土地家屋調査士しか代行することができません。

土地家屋調査士に手続きを依頼した場合の費用相場は、一般的な内容であれば、3万円から5万円に収まるケースが多いでしょう。

Q. 滅失登記の委任状は、どんな場合に必要ですか?

その建物の所有者(名義人)以外が滅失登記の手続きを代行する際には、委任状が必要になります。土地家屋調査士に手続きを依頼した場合は必要になります。

Q. 建物滅失証明書(取り壊し証明書)がない場合は?

建物滅失証明書を取得できない場合は、所有者が上申書を作成して登記するケースがあります。上申書には、建物を特定できる情報や、建物が存在しない旨などを記載し、実印を押印のうえ、印鑑証明書を添付します。詳しくは土地家屋調査士に相談すると安心です。

Q. 自分の土地に他人名義の建物が登記上残っている場合は?

登記上、自己の所有する敷地に他人名義の建物が存在する場合、土地所有者は、その土地上の建物について、建物滅失登記申請をすることはできません。ただし、表題登記については、登記官が職権で登記を行うことができると定められています。したがって、申し出をすることによって、登記官の職権登記を促すことができます。

Q. 亡くなった人が所有していた建物を取り壊したら、相続登記せずに滅失登記できますか?

相続登記をする前に相続した建物を取り壊した場合、相続登記をせずに滅失登記をすることができます。滅失登記の申請は相続人の1人から申請が可能ですが、建物が相続人全員の共有になっている場合には、建物の取り壊しには相続人全員の同意が必要なので、注意が必要です。

住宅や店舗などの建物を取り壊した際は、解体した日から1ヵ月以内に滅失登記申請を行いましょう。滅失登記をしていない場合は、10万円以下の過料に処されたり、固定資産税を負担し続けたりしなければならないケースがあります。また、土地の売却や再建築に影響を与える可能性もあるので、忘れずに申請しておきましょう。

申請書の作成や必要書類の準備などで困ったことがあれば、お近くの土地家屋調査士に相談してみるとよいでしょう。

(記事は2023年5月1日時点の情報に基づいています)

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