目次

  1. 1. 遺言がなければ故人の思いはわからない
  2. 2. 相続財産が相続税の基礎控除額を上回る場合は税理士に相談
  3. 3. 遺産分割協議の参加者が大人数になることも

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子供がそれぞれ20歳になったら、生年のワインでお祝いをしたいと思います。
ずいぶん先になりますが、グラスを交わして思い出を語り合う時間が今から楽しみです。
私にとって、それは子供への愛情を形にしたものです。

相続は被相続人の権利と義務を引き継ぐ手続きですが、引き継ぐ財産の中身には様々な物語が潜んでいるはずです。
遺言がなければ故人の思いを確かめることは難しいでしょう。

円満な相続のために、相続開始前に専門家と相談してもよいと思います。
今回は、生前に相続相談をする事例で考えてみましょう。

事例4
青森県の70代の女性(存命)
家族は40代の長男、二男、長女
子供はいずれも首都圏に居住しており、青森に転居する予定はない
相続財産は普通預金約2000万円、自宅の土地建物、複数の収益物件

相続が発生した場合、子供3人が法定相続人になります。
相続税の基礎控除額は(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)で算出するため、本事例における相続税の基礎控除額は4800万円になります。

相続対策と一口にいっても、状況によって行うべきことは異なります。

相続財産が相続税の基礎控除額を明らかに上回る場合は、税理士に相談するとよいでしょう。相続開始前に相続税納付予定額の試算を行うことができ、状況に合わせて、取り得る節税策についても相談することができます。

不動産の権利関係が不明な場合は、司法書士に相談してみるとよいでしょう。

以前に発生した相続の登記が行われていない場合、当事者が多数になる可能性があるため、対象物件の登記状況は、なるべく早めに確認したほうがよいでしょう。
不動産の権利状況が記録されている登記事項証明書は、法務局に行けば誰でも取得することができます。一般的に「登記簿」と呼ばれる書類です。

以前の記事でも書きましたが、登記事項証明書には、面積や地目などが記録された「表題部」と所有者などが記録された「権利部」があります。権利部は、所有権に関する情報を記録する「甲区」と所有権以外の権利に関する情報を記録する「乙区」に分かれています。

甲区に所有者として以前に亡くなった方が記録されている場合は、注意が必要です。

相続放棄をしていない相続人については、一般的に、相続登記の前提として遺産分割協議に参加してもらう必要があるからです。
仮に、曾祖父母が所有権者として記録されている場合、下の代の祖父母の兄弟が3人、親の代が3人、子供の代がそれぞれ3人ずつと仮定しても、相続人は27人になります。それぞれと連絡を取るだけで大変な苦労になります。
登記事項証明書の記載が複雑な場合、司法書士に相談することで権利状況を正確に把握することができます。

また、相続開始前であっても、何らかの法的なトラブルが発生している場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。

エンディングノートや遺言は最後の意思を伝える手段です。
家族に伝えたい内容を適切に記載するために、事前相談で正確な状況を把握することをお勧めします。

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