目次

  1. 1. 一軒家の解体費用の相場
    1. 1-1. 30坪、50坪の解体費用の相場
    2. 1-2. 解体費用の変動要因
  2. 2. 家を解体する流れ
    1. 2-1. 見積もり・業者決定
    2. 2-2. 解体準備
    3. 2-3. 解体工事
    4. 2-4. 廃材処理
    5. 2-5. 整地
  3. 3. 解体期間は10日〜2週間程度
  4. 4. 解体工事以外にかかる費用
    1. 4-1. 付帯工事費
    2. 4-2. アスベスト調査・工事
    3. 4-3. 諸経費
  5. 5. 解体費用を抑える方法
    1. 5-1. 複数の業者に相見積もりを取る
    2. 5-2. 自分でできることは自分でやっておく
    3. 5-3. 補助金制度を活用する
    4. 5-4. 工事時期を解体業者の都合にあわせる
    5. 5-5. 費用が払えない場合「空き家解体ローン」を利用する方法もある
  6. 6. 家を解体する時の注意点
    1. 6-1. 解体後は建物滅失登記を行うこと
    2. 6-2. 更地にすると固定資産税が上がるケースがある
    3. 6-3. 更地にすると再建築不可になるケースがある
    4. 6-4. 解体せずに売却することも検討しよう
  7. 7. まとめ

一軒家の解体費用の相場は、構造ごとに概ね以下のようになっています。

  • 木造 :3~5万円/坪
  • 鉄骨造:5~7万円/坪
  • RC(鉄筋コンクリート)造:6~8万円/坪

これらの解体費用は、建物本体の廃棄物処理費用や解体後の整地費用を含んだ概算の金額です。使用建材や立地によっても費用は異なってきます。より正確な費用を知りたい場合は解体業者に見積もり依頼をしましょう。

たとえば、30坪、50坪の家を解体する際にかかる費用相場は以下の通りです。

【30坪の建物の解体相場】

  • 木造住宅:90〜150万円
  • 鉄骨造 :150~210万円
  • RC(鉄筋コンクリート)造:180〜240万円

【50坪の建物の解体相場】

  • 木造住宅:150〜250万円
  • 鉄骨造 :250~350万円
  • RC(鉄筋コンクリート)造:300〜400万円

なお、2階建てと平屋だと、平屋のほうがコンクリート施工の基礎部分が大きいため、解体費用は高額になるのが一般的です。

家の解体費用は、立地や築年数、隣の家との距離などによって変動します。

前面道路が狭く、重機が搬入できない住宅密集地では、人力で解体作業を進めることとなります。重機が使えないので、解体や運搬に多くの作業員が必要となり、解体費用が高くなってしまいます。

築年数が古い物件は、倒壊リスクを抑えながら作業をしなければならないケースがあるので、解体に時間がかかることで費用も高くなりやすい傾向があります。

また、破棄物の処理費用は木くずやコンクリートなど、廃材の種類によっても異なり、概ね3000~8000円/平方メートル程度と変動します。解体後の整地には土地に何も問題がない状態であれば、500~1500円/平方メートル程度の費用で済みますが、土地に大きな段差があるケースや、抜根・地盤改良が必要なケースなどでは、さらに高額になることもあります。

さらに家屋内に家具などが残っている場合、それらも含めて解体を依頼すると費用が高くなる点に注意が必要です。解体費用を少しでも安く抑えたいのであれば、家屋内のものは自分で撤去し、庭の木なども可能な限り処分しておくとよいでしょう。

一般的に、一軒家の解体の流れは以下のようなものです。

  • 見積もり・業者決定
  • 解体準備
  • 解体工事
  • 廃材処理
  • 整地

まずは、解体業者に見積もりを依頼しましょう。解体費用は、建物の状態や立地によって大きく変わるので、実際に現地を確認してもらうことが大切です。どのような追加費用が想定されるのか、業者に確認しておきましょう。

解体業者を決定したら、近隣住民への挨拶やライフラインの停止といった準備を進めます。

近隣住民への挨拶は、解体業者の工事担当者とともに工事開始の10日前を目安に行いましょう。挨拶のタイミングが早すぎると解体工事のことを忘れられてしまい、遅すぎるとタイミングがあわなかった住民に挨拶ができないまま工事を始めることとなってしまいます。

水道やガス、電気といったライフラインは、解体業者に確認しながら停止手続きを進めましょう。なかには、解体工事で発生する粉じんの飛散防止や、掃除をするために水道を使いたいと依頼される場合もあるので、事前打ち合わせで必ず確認しておきましょう。

解体工事の一般的な流れは以下の通りです。

  1. 足場・養生の設置
  2. 残置物・内装の撤去
  3. 建物本体の解体

解体工事で発生した粉じんが飛散することで、近隣住民からのクレームやトラブルの原因になる可能性があります。なかには、養生を省略して解体工事を進めようとする業者もいます。トラブルや事故を防止するためには、養生が建物より高い位置にあるか、養生シート穴が開いていないかなど、施主目線で確認することも大切です。

解体工事で発生した廃材は「産業廃棄物」として処理することが義務付けられています。不法投棄や野焼きをすると罰則を受けることとなるので、解体業者にマニフェストを提示してもらい、適切に処理されているかを確認しておきましょう。マニフェストとは、産業廃棄物が適正に処理されているかを確認するための書類のことです。

建物解体後は整地をする必要があります。整地とは、土をならして平坦にするなど、土地をきれいにするための工事です。整地をすることで土地の売却金額が高くなったり、買い手が見つかりやすくなったりする可能性があるので、解体工事後は整地をしてもらいましょう。

建物の大きさなどの条件によって解体期間は異なりますが、概ね10日~2週間程度と考えておくとよいでしょう。

なお、家屋内の残置物処分やブロック塀解体、庭木の撤去などの付帯工事がある場合は、さらに日数がかかることもあります。

家に残置物があったり、アスベスト建材が使われていたりする場合は、解体費用が高くなるケースがあります。ここでは、建物の解体工事以外にかかる費用を紹介します。

付帯工事とは、カーポートやブロック塀、浄化槽といった建物以外の撤去工事のことです。倉庫や庭木などの撤去にも費用がかかるので、現地確認の際にどれほどの費用がかかるのかを確認しておきましょう。

付帯工事の費用目安は以下の通りです。

  • 家屋内の残置物処分:1万円/平方メートル程度
  • ブロック塀解体  :1万円/1本程度
  • 庭木の撤去    :2000~3000円/平方メートル程度

2022年4月から解体する建物にアスベストが含まれていないかを事前調査したうえで、労働基準監督署と自治体に報告することが義務付けられました。そのため、解体工事をする前に建築時期や設計図からアスベストを含有する建材が使われているかを調査しなければなりません。

アスベストが含まれている可能性がある場合は、分析費用が発生します。アスベストが含まれていると判断されると、飛散防止対策や除去工事といった追加工事が発生するので、解体費用の負担がより大きくなってしまうでしょう。

解体工事で発生する主な諸経費には、現場管理費や書類作成費、損害保険料率などが挙げられます。諸経費を解体費用の5〜10%に設定している解体業者が多く、工事規模によって変動します。

解体にかかる費用を安く抑える方法としては、以下のようなものが考えられます。

  • 複数の業者に相見積もりを取る
  • 自分でできることは自分でやっておく
  • 補助金制度を活用する
  • 費用が捻出できない場合「空き家解体ローン」を利用する方法もある
  • 工事時期を解体業者の都合にあわせる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

同じ工事内容であっても、業者によって解体費用は異なることがあります。これは、各社の利益率の設定が異なっていたり、拠点から現場までの距離が違ったりするからです。

もちろん、金額だけでなく工事の質や対応の良さなど、総合的に判断することが大切ですが、損をしないためにも相見積もりを取るようにしましょう。

家屋内の残置物処分や庭木の撤去などは、解体業者に任せれば楽ですが、費用が割高になってしまいます。自分でできることは自分でやっておくと、解体にかかる費用を安く抑えることができるでしょう。

自治体によっては、解体工事に対して補助金を出してくれるケースもあります。あらかじめ市や都道府県のホームページなどを確認しておくとよいでしょう。

東京都墨田区では、「老朽危険家屋除却費等助成制度」として、一定要件を満たした不良住宅を解体する際に、最大50万円の補助金が受け取れます。地元の解体業者であれば、補助金に関する情報を教えてくれることもあるので、見積もり依頼時に確認してみるのがおすすめです。

解体業者の閑散期にあわせて工事を依頼することで、解体費用を安く抑えられる可能性があります。

年度末は、公共工事や企業の決算期によって工事需要が高まる傾向があり、作業員を確保するために多くの人件費を必要とします。そのため、解体工事の時期によっては、費用相場が一時的に上昇することが考えられるでしょう。

解体業者の繁忙期は、地域や年度によって異なるので、見積もり依頼時に工事時期を解体業者の都合にあわせることで解体費用が安くならないかを確認してみるとよいでしょう。

解体費用を捻出できない場合には、空き家解体ローンの利用も検討してみましょう。空き家解体ローンとはその名の通り、空き家を解体する際に利用できるローンです。具体的な金利や借入額などは金融機関によって異なるため、お近くの銀行などを訪ねてみるとよいでしょう。なかには、金融機関を紹介してくれたり補助金情報を提供してくれたりする解体業者もいるので、見積もり依頼時に確認してみるのがおすすめです。

最後に、家を解体するときの注意点をお伝えしていきます。

建物は建築されたときに登記されますが、解体したときには、これをなくす建物滅失登記を行っておく必要があります。

滅失登記は自分で手続きをする必要があります。滅失登記が済んでいないと、建て替えができなかったり、存在していない建物に固定資産税がかかったりといった問題が起こる可能性があるのです。

また、滅失登記には申請義務があるため、建物を解体したにもかかわらず登記をしていないと、10万円以下の過料が科されるケースもある点に注意しましょう。

滅失登記の手続きは、土地家屋調査士に代行してもらうこともできますが、比較的簡単なので自分で手続きをすることも可能です。

具体的には、以下のような流れで行うとよいでしょう。

  • 法務局で建物の登記簿謄本を取得する
  • 建物滅失登記申請書を作成する
  • 解体業者から登記事項証明書や印鑑証明書を受け取る
  • 法務局で登記申請する

【関連】滅失登記とは? 自分で申請する際の必要書類と流れ

建物を解体した際の注意点として、固定資産税や都市計画税が上がるケースもある点に注意が必要です。

固定資産税や都市計画税は、土地の上に居住用の建物が建っていると減税を受けられるという特例があります。特に固定資産税は、解体することで最大6倍になるケースもあるため、事前にしっかり確認しておくようにしましょう。

建物を解体すると再建築不可になるケースがある点にも注意が必要です。建物を建てる際には、建築基準法などで定められる基準を満たす必要があります。しかし、年数を経て法律が改定され、建築時には適法だったものの、現在では建物を建てられないケースがあるのです。

再建築不可の土地は、将来的に売却することも難しくなります。建物を解体する前に、現行の法律で建物を再建築できるのか確認しておくとよいでしょう。

古い家だと、建物を解体して土地だけを売却したほうがよいと考え、真っ先に解体を検討するケースもあるでしょう。しかし状況次第では、建物を残したまま売却できるケースもあります。売却前提で進めるのであれば、解体する前に一度、不動産会社に相談してみることをおすすめします。

相続した家を解体する際の費用相場や注意点などをお伝えしました。解体費用は、依頼する業者や建物の状況などによって異なります。少しでも費用を安く抑えたいという方は、本記事でお伝えした内容を試してみることをおすすめします。

また、建物を解体すると固定資産税が高くなったり、再建築不可になったりする可能性もある点に十分注意した上で、解体するかどうかを含めて慎重に判断するとよいでしょう。

(記事は2023年7月1日時点の情報に基づいています)

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