未成年後見人とは

(1) 未成年後見人と親権者の違い

親権者とは、子どもの監護及び財産管理についての権限をもつ人のことです。通常は、両親が子の親権者となっていますが、未成年の子どもがいる夫婦が離婚する場合は、どちらかを親権者としなければなりません。

未成年後見人とは、親権者の死亡などのため、未成年者に対し親権を持つ者がいない場合に未成年者の代理人となり、未成年者の監護養育、財産管理、契約等の法律行為などを行う者のことを指します。

未成年後見人は、基本的に親権者と同じ権利義務をもちますが、未成年後見人は、親権者が死亡するなどして、その役割を果たせない場合に未成年者を保護するために選任されることになります。

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(2)未成年後見人の職務内容

未成年後見人は、親権者と同じ権利義務を有し、未成年者の身上監護(子どものしつけ、教育など)と、財産管理(子どもの財産管理や契約など)を未成年が成人するなどして保護をする必要がなくなるまで、継続的に行う必要があります。

なお、未成年者の婚姻については、未成年後見人に同意権や代理権はありません。

未成年後見人は、未成年者の財産を適切に管理するために、未成年者の財産を調査して、「財産目録」及び「年間収支予定表」を作成し、家庭裁判所に提出する必要があります。また、毎年、定められた報告期日までに定期的に後見事務の報告や財産目録を提出する必要もあります。

(3)未成年後見人が必要なケース

まずは両親が死亡した場合です。また離婚すると一方の親が親権者となりますが、その親が死亡した場合も該当します。親が未成年者を虐待するなどして親権を喪失した場合などは、未成年者の親権者がいなくなることになります(親権を行使できなくなります)ので、未成年後見人の選任が必要となってきます。

もっとも、実際には、親権者がいなくても親戚などによって、事実上監護されていることも少なくありません。実際に未成年後見人が必要となるのは、子どもに財産があって、その管理者を置く必要がある場合、子どもを他人の養子にするために代諾者が必要となる場合、遺産分割をしなければならない場合などに限られています。

未成年後見人を選任する方法

(1) 遺言書で指定又は家庭裁判所で選任

未成年後見人の選任方法は二つあります。一つは親権者の遺言によって指定する方法です。もう一つの方法は、遺言により未成年後見人の指定がない場合に、未成年者本人またはその親族その他利害関係人が家庭裁判所に請求することにより、未成年後見人を選任してもらう方法です。

家庭裁判所において、未成年後見人が選任されるときは、未成年者の年齢、心身の状態並びに生活及び財産状況、未成年後見人となる者の職業及び経歴並びに未成年者との利害関係の有無、未成年者の意見、その他の一切の事情が考慮されます。

平成24年4月以降、未成年後見人を複数選任することや、法人を未成年後見人として選任することも可能となりました。

未成年後見人が複数選任されているときは、原則として複数の未成年後見人がそれぞれ単独で権限を行使することはできず、共同してその権限を行使しなければなりません。もっとも、第三者から未成年者に対する請求や意思表示は、複数の未成年後見人のうち、誰か一人に対して行えば良いことになっています。

未成年後見人が選任されると、未成年者の戸籍に未成年後見人が選任されたことが記載されます。

(2) 未成年後見人になる資格

未成年後見人になるために何か特別な資格が必要という訳ではありません。しかし、法律上、以下の場合は未成年後見人になれません。

  • 未成年者
  • 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人、補助人
  • 破産者で復権していない者
  • 未成年者に対して訴訟をし、又はした者、その配偶者、その直系血族(祖父母や父母など)
  • 行方の知れない者

未成年後見人を選任する場合の注意点

(1) 報酬が発生する可能性がある

未成年後見人に報酬は発生しないのでしょうか。
これについては、未成年後見人から請求があった場合、家庭裁判所の判断により、未成年後見人の事務の内容に応じて、未成年者の財産から支払われることが認められる場合があります。

未成年後見人が報酬を受け取りたいという場合は、未成年後見人は家庭裁判所に対して、「報酬付与の審判」の申立てをする必要があります。報酬を付与する旨の審判があるまでは、勝手に未成年者の財産から報酬を差し引くことはできませんが、報酬が発生する可能性があることは知っておくべきでしょう。

(2) 未成年後見人には善管注意義務がある

親権者は、未成年の財産につき自己のためにするのと同一の注意義務を負うのに対し、未成年後見人は、未成年者の財産の管理につき善管注意義務を負います。

つまり、未成年後見人は、未成年者の財産を管理する際に、親権者以上に重い注意義務が課せられていると言えます。

(3)解任が簡単ではない

未成年後見人が未成年者の財産を不正に使い果たした場合や、未成年者の世話をしなかった場合などは、家庭裁判所は未成年後見人を解任することがあります。しかし、未成年者が未成年後見人に何となく不信感を持っている、未成年後見人が親族の思い通りに行動しない、単に気に入らないなどの理由では解任は難しいでしょう。

なお、未成年後見人が辞任したいという場合も、未成年後見人が高齢や病気である、未成年後見人の仕事をすることが困難になったというような「正当な事由」がない限り、家庭裁判所の許可を得て未成年後見人を辞任することはできません。

このように一度、未成年後見人に選任されると辞任や解任は簡単ではありません。

まとめ

未成年後見人を選任したいときには、制度概要を正確に把握しておくと安心です。遺言で親族を未成年後見人に指定するとしても事前に弁護士に相談しておくと良いでしょう。

(記事は2021年4月1日時点の情報に基づいています)