目次

  1. 1. 期限のある遺産手続き一覧
    1. 1-1. 遺産相続における「時効」とは?
  2. 2. 遺産分割のやり直しは可能? 基本的に時効はない
    1. 2-1. 遺産分割のやり直しは可能
    2. 2-2. 遺産分割に時効はない
    3. 2-3. 取消権には時効がある
  3. 3. 遺産分割をやり直せる条件
    1. 3-1. 相続人全員の合意がある
    2. 3-2. 新たな財産が見つかった  
    3. 3-3. 遺産分割協議が無効
    4. 3-4. 遺産分割協議を取り消す
  4. 4. 遺産分割をやり直す際の注意点
    1. 4-1. 遺産分割協議をやり直しても、第三者は保護される
    2. 4-2. 贈与税や所得税が発生する
    3. 4-3. 不動産取得税、登録免許税が発生する
  5. 5. まとめ

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遺産相続で期限のあるものは以下の通りです。

  • 死亡届
    死亡後7日以内
  • 健康保険、年金の手続き
    厚生年金は死亡後10日以内、国民健康保険や国民年金は死亡後14日以内
  • 相続放棄、限定承認
    自分のために相続があったことを知ってから3カ月
  • 準確定申告
    相続の開始を知ってから4カ月
  • 相続税申告
    相続の開始を知ってから10カ月
  • 遺留分侵害額請求
    相続開始と遺留分の侵害を知ってから10カ月(知らなかった場合は10年)
  • 相続回復請求権
    5年(知らなかった場合は20年)
  • 債務の消滅
    2020年3月までに生じた債務:1~10年
    2020年4月以降に生じた債務:5年または10年
  • 相続登記
    不動産を相続したことを知ったときから3年以内
  • 遺産分割請求権
    なし

各手続きの内容や放置した際のデメリットについては下記の記事で詳しく説明しておりますので、ご覧ください。

関連記事:遺産相続の手続き期限はいつまで? 放置した際のデメリットやリスクは?

遺産相続手続きではさまざまな時効が適用される可能性があります。時効とは、一定期間における事実状態を尊重し、権利の喪失や取得を認める制度です。「時効」と「期限」は似ているので勘違いする方も多いのですが、混同しないよう注意しましょう。

【消滅時効とは】
消滅時効は、その期間内に手続きをしないと権利が消滅し、手続きができなくなる期間です。たとえば遺留分侵害額請求については、相続が発生したことと遺留分侵害があったことを知ってから1年以内に手続きしないと権利が消滅してしまいます。

【取得時効とは】
取得時効は一定期間権利者として振る舞うことにより、権利を取得する時効です。たとえば他人の土地を20年間平穏かつ公然と占有し続けていると、土地の権利を取得できる可能性があります(善意無過失の場合には10年間)。

【期限とは】
期限は「その期間内に手続きを行わねばならない」とされる限度の期間です。たとえば相続税の申告は相続開始を知ってから10カ月以内に行わねばなりません。これは権利の喪失や取得とは関係のない「期限」です。ただし消滅時効の場合、「一定期間内に手続きしないと権利がなくなる」ので、一種の期限ともいえます。

そもそもいったん決まった遺産分割のやり直しができるのか、またやり直しに時効はないのか、確認しましょう。

基本的に、いったん成立した遺産分割も「やり直し」が可能です。相続人全員が納得すれば、以前の合意内容を破棄して新たな条件を決めてかまいません。

また遺産分割協議の際に重大な錯誤や詐欺、強迫などの問題があった場合、合意がなくても「取消」を主張してやり直しを求められます。

遺産分割そのものには時効がありません。相続開始後、何年が経過していても遺産分割協議や調停、審判によって遺産分割方法を決められます。同様に、遺産分割のやり直し(再協議)にも時効はありません。

ただし遺産分割のやり直しに時効が適用されるケースもあります。それは錯誤、詐欺や強迫を理由に遺産分割を取り消したいとき。

取消権には「取り消せるときから5年」の時効が適用されるため「だまされた」「脅された」「勘違いしていた」と気づいたときから5年が経つと、やり直しを求められなくなってしまいます。

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次に、遺産分割をやり直せる条件をみていきましょう。遺産分割をやり直せるのは、以下のいずれかの条件を満たす場合です。

一度、遺産分割協議を成立させても、相続人全員が合意すればやり直しが可能です。ただし1人でも反対すると、合意によるやり直しはできません。

また合意で遺産分割協議をやり直すときには、必ず合意内容を書面化して新たな遺産分割協議書を作成すべきです。同時に以前の遺産分割協議書は破棄しましょう。そうでないと、以前の遺産分割協議書によって合意内容と異なる不動産登記などが行われる可能性があります。

全員で合意して遺産分割のやり直しをしたら、新しい遺産分割協議書を作成し、相続人全員が実印で署名押印しましょう。

遺産分割後、新たな遺産が見つかった場合にも再協議が必要です。この場合、すべての協議をやり直す必要はありません。新たな財産の分け方だけ決めれば充分です。

ただし新たな遺産が発見されたことによって相続人全員が全部の遺産分割協議のやり直しに同意するなら、全部についてやり直すことも可能です。

また新たに発見された遺産が非常に重要なものであれば、全体のやり直しが必要となるケースも考えられます。

遺産分割協議には、相続人全員が参加しなければなりません。1人でも参加していない相続人がいたら、無効になります。また認知症で判断能力の無い相続人や未成年の相続人が単独で遺産分割協議に参加していた場合にも、遺産分割協議は無効です。

遺産分割協議が無効になると、以前の遺産分割協議書を使った名義変更などの手続きはできません。必ずやり直す必要があります。

誰かにだまされた(詐欺)、脅された(強迫)、重大な勘違いをしていた(錯誤)場合、遺産分割協議を取り消してやり直しを求められます。

遺産分割協議が無効となったり取消原因があったりする場合、やり直しを求めても対応しない相続人がいるなら裁判所で「遺産分割協議無効確認訴訟」という裁判を起こしましょう。

裁判所が事実認定を行い、以前の遺産分割協議を無効にしてくれます。

次に、遺産分割をやり直しする際の注意点を3つ紹介します。

いったん遺産分割を成立させると、合意内容を前提に第三者へ権利が移転されるケースがあります。たとえば不動産の相続人が売却してしまう場合です。

この場合、遺産分割協議をやり直しても基本的には第三者へ返還を求められません。第三者への売却は有効となります。

「すべて無効にして完全にやり直せる」とは限らないので、注意しましょう。

遺産分割協議をやり直すと「二重課税」となるリスクがあります。

再協議によって当初とは別の人に不動産などの財産を相続させると、税法上は「贈与」となるからです。対価の支払等があれば「売買」扱いになります。

つまり遺産分割協議をやり直すと、当初の「相続税」とは別に「贈与税」や「所得税」が発生してしまうケースがあるので注意しなければなりません。

遺産分割をやり直すとき、財産の中に不動産があれば注意が必要です。いったん行った相続登記もやり直さねばならないため、新たな手間や登録免許税が発生します。

またやり直した場合には「贈与」や「売買」の扱いとなるため、不動産取得税もかかります。

遺産分割協議をやり直すと税負担が重くなるケースが多いので、再協議前に税理士に相談して税金のシミュレーションを行っておきましょう。

遺産分割協議のやり直しには、基本的に時効がありません。相続人全員が合意すれば、いつでも再協議が可能です。

ただむやみにやり直しをすると、税金が二重にかかったり再度の不動産登記が必要となったりして不利益を受けるリスクがあります。遺産分割協議をやり直す前に、相続を得意とする税理士や司法書士へ相談しておくのが良いでしょう。

また「やり直したい相続人」と「やり直したくない相続人」との間には意識の差があり、親族同士でもめるリスクも高くなります。詐欺や強迫、錯誤を主張する場合には「時効」がありますし、他の相続人が否定するなら「証拠」も必要となるでしょう。困ったときには弁護士に相談しながら対応を進めてください。

(記事は2024年5月1日時点の情報に基づいています)

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