目次

  1. 1. 相次相続とは
  2. 2. 相次相続が発生した時は? 控除制度の概要は?
  3. 3. 対象となる要件
    1. 3-1. 被相続人の相続人であること
    2. 3-2. 一度目の相続から10年以内で、一度目の際に相続財産を取得している
    3. 3-3. 一度目の相続の際に取得した財産について、相続税が課税されている
  4. 4. 相次相続控除の計算方法
  5. 5. まとめ

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誰かが亡くなった場合に、亡くなった人が保有していた財産を他の誰かが引き継ぐことを相続といいますが、この相続が相次いで起こってしまうことを、相次相続といいます。

具体的には、10年以内に連続して相続が起こることを指しますが、相次相続の場合、相続税の負担が過度なものとなってしまう恐れがあるため、相次相続控除制度という相続税を減額する制度があります。

例えば、祖父、父、子の3世代の場合において、まず祖父が亡くなり、父が祖父の所有していた財産を相続し、そこから3年後に父が亡くなり、子が父の財産を相続するとします。

この場合、祖父が所有していた財産についてはまず、祖父から父への相続の際に相続税が課税されます。そして今度は、父から子への相続の際にも相続税が課税されることになります。

こうなると、同じ財産について比較的短期間に二度も相続税の課税対象となることになり、相続税負担が過重となってしまいます。

そのため相次相続控除という制度が設けられており、父から子への相続の際に、祖父から父への相続の際に課税された相続税額のうち一定の額を、減額できます。

相次相続控除を受けるためには一定の要件があり、次の全てに当てはまる必要があります。

相次相続控除を利用できるのは、相続人に限定されています。そのため、例えば相続を放棄した人や相続権を持たない人が遺言などにより財産を取得していたとしても、相次相続控除を利用することはできません。

一度目の相続が発生してから、二度目の相続が発生するまでの期間は10年以内であることが必要です。

相次相続控除を受けるためには、一度目の相続の際に相続税を納めていることが必要となります。

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では、相次相続控除で、どれくらい税金が減額されるのでしょうか。
この制度はあくまでも相続が相次いで起こった場合において、相続税の負担が過度なものにならないようにする制度であるため、減額できる金額は一度目の相続税額がベースとなります。イメージとしては、一度目の相続税額をベースとして、1年につき10%の割合で減額した金額を、二度目の相続の相続税額から減額することができます。

詳細な計算式は以下の通りです。

各相続人の相次相続控除額 = A×C/(B−A)[求めた割合が100/100を超える時は、100/100とする]× D/C ×(10−E)÷10

A~Dで示した項目の内容は、以下の通りです。

A:今回の被相続人が前回の相続の際に課せられた相続税額

この相続税額は、相続時精算課税分の贈与税額控除後の金額となります。
また、その被相続人が納税猶予の適用を受けていた場合の免除された相続税額ならびに延滞税、利子税及び加算税の額は含まれません。

B:被相続人が前の相続の時に取得した純資産価額(取得財産の価額+相続時精算課税適用財産の価額−債務及び葬式費用の金額)

C:今回の相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した全ての人の純資産価額の合計額

D:今回のその相続人の純資産価額

E:前回の相続から今回の相続までの期間(1年未満の期間は切り捨て)

相続の発生は予想ができるものではありませんが、万が一に備えて、こういった制度があるということを頭に入れておいてもよいかもしれません。

(記事は2020年4月1日時点の情報に基づいています)

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