相続税申告を税理士に頼む時の費用の目安 頼むべきケースとは?

相続税申告は納税者である相続人らが自ら行うことも当然可能ですが、税理士に頼んだ方がよいケースもあります。その場合に気になる税理士報酬の考え方や相場感、相続税申告に強い税理士の見つけ方などについてまとめました。
相続税申告は納税者である相続人らが自ら行うことも当然可能ですが、税理士に頼んだ方がよいケースもあります。その場合に気になる税理士報酬の考え方や相場感、相続税申告に強い税理士の見つけ方などについてまとめました。
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親が亡くなった後にしばらくしたら突然税務署から相続税申告の要否に関するお尋ね書類が届いたけど、どうしたらいいかわからないという方も多いかと思います。また、親はまだ元気だけど、それなりに財産があるので将来親が亡くなったら相続税申告が必要なのか気になる方もいらっしゃるでしょう。
そうした時いきなり税理士に相談してもよいですが、まずご自身で以下国税庁HPの相続税の申告要否判定コーナーを利用して相続税の申告が必要なのかどうかセルフチェックしてみることをお勧めします。税務署から届いたお尋ね書類の回答作成も下記判定コーナーで行えますし、税理士に相談する際にもセルフチェックした資料を持参した方がスムーズです。
国税庁HP「相続税の申告要否判定コーナー」
上記判定コーナーは、あくまでも相続税申告のおおよその要否を判定するものであり、仮に申告不要と判定されたとしても、100%申告不要とは言い切れません。したがって、例えば以下のような場合には、税理士に依頼した方がよいでしょう。
①セルフチェックの結果、課税遺産総額がギリギリゼロ以下の場合
この場合、自分では正しく入力したつもりでも、何らかの入力漏れの財産があれば課税遺産総額がプラスに転じ、申告要と判定される可能性が高いです。
国税庁の実地調査によれば、申告額が過少であると想定される事案や、申告義務があるにもかかわらず無申告と想定される事案はおよそ1万件(平成30事務年度)もあり、自分では申告不要と思い込んでいても実は申告が必要という場合が多いことがうかがえます。
②セルフチェックの結果、課税遺産総額がプラスの場合
この場合は相続税申告が必要となる可能性が高いです。書籍やネットで調べたり、税務署に事前予約のうえ訪問したりして疑問点を解消し、ご自身で相続税申告書を作成してもよいですが、相続税の申告納税期限(被相続人の死亡日の翌日から10カ月以内)は葬式等の諸手続きでバタバタしているとあっという間にやってきます。仕事もあるし自力で申告書を作る時間的余裕はないという方は税理士に依頼した方がよいでしょう。
また、単に自分で申告書を作成する手間を省くという以外に、税理士に依頼することで以下のようなメリットもあります。
相続税申告を税理士に依頼する際にいくらかかるのか?税理士報酬の相場が気になる方も多いかと思います。
昔は税理士会の定める税理士報酬規程というものがありましたが、平成14年4月1日以後は廃止され、税理士報酬は自由化されています。
したがって、税理士事務所ごとに報酬体系も異なり、一概に相場をつかむのが難しい状況ですが、遺産総額に応じた基本報酬(遺産総額の0.5%~1%程度)を設定し、その上で難易度等に応じて加算報酬を設定されているところが多い印象です。
例えば、遺産総額1億円であれば、基本報酬は50万円~100万円程度に以下のような追加報酬が加算されます。
追加報酬が発生するケース
最近では、税理士事務所のHP上で相続税申告の報酬体系を公開されているところも多いです。税理士に依頼検討する際にはご自身でも複数の税理士事務所HPの報酬体系を見比べてみることをお勧めします。
税理士登録者数は、79243人(令和2年11月時点)と非常に多く、一口に税理士といっても、税理士1人の事務所もあれば、何十人もの従業員や税理士を抱える大手税理士法人もあります。また、相続税申告が得意で積極的に受けている相続税専門の事務所もあれば、相続税申告は一切受けていないところもあります。
では、どういやって相続税申告に強い税理士を探すのか。その判断基準も挙げればきりがないですが、税理士報酬以外に以下2点は必ず確認された方が良いでしょう。
気になる税理士事務所の所長税理士のプロフィールで税理士試験の合格科目として相続税法の記載があれば、相続税法の基礎知識がある税理士であると推察されます。相続税法は税理士試験の必須受験科目ではないので相続税法を合格していない税理士も多くいます。また、これまでの相続税申告業務の経験の有無等の記載もあれば参考になります。さらに、相続税関連の書籍執筆やセミナー講師等をされているかどうかも記載があれば参考になります。
相続税申告を税理士に依頼する場合、単なる書類のやり取りだけでなく、亡くなられた方の生前の生活状況や通帳のお金の出入り等、税理士から相続人である依頼者に念入りに質問がなされます。税理士法や契約で税理士は守秘義務がありますが、依頼者の中にはあまり身内のプライベートな話は税理士にしたくないという方も少なからずいます。しかし、精度の高い相続税申告を行うためには、依頼者から税理士への情報提供(口頭、書面問わず)が必要不可欠です。したがって、情報提供しても大丈夫と信頼できる人柄の税理士かどうか、依頼者自ら直接会って話して確認された方がよいでしょう。
(記事は2020年12月31日現在の情報に基づきます)