目次

  1. 1. 法務局で相続登記の相談はできる?
  2. 2. 相続登記の無料相談窓口として法務局を活用する前に知っておくこと
    1. 2-1. 法務局で相談できること
    2. 2-2. 法務局の無料相談が向いている人
  3. 3. 法務局で相続登記の無料相談をする際の注意点
    1. 3-1. 相談できる日時や回数、時間が限られている
    2. 3-2. 不動産相続の個別の悩みの相談には対応してもらえない
    3. 3-3. 担当した職員が相続登記に詳しいとは限らない
  4. 4. 法務局を窓口として相続登記の無料相談をする流れ
    1. 4-1. 【STEP1】相続不動産を管轄している法務局を探す
    2. 4-2. 【STEP2】相談の日時を決めて予約する
    3. 4-3. 【STEP3】相談に必要な資料を集める
    4. 4-4. 【STEP4】法務局を尋ね、相談する|電話やオンラインでも相談可能
  5. 5. 法務局以外に相続登記の無料相談ができる窓口
    1. 5-1. 【お勧め】相続に強い司法書士事務所
    2. 5-2. 各市区町村役場の相談会
    3. 5-3. もめている場合は弁護士事務所
  6. 6. 相続登記を司法書士に依頼するべきケース
    1. 6-1. 手間なく確実に相続登記を済ませたい
    2. 6-2. 平日の日中に相談する時間がとれない
    3. 6-3. 相続する不動産が複数ある
    4. 6-4. 未成年の相続人や認知症の相続人がいる
    5. 6-5. 相続する不動産をすぐに売りたい
  7. 7. 法務局の無料相談窓口に関連してよくある質問
  8. 8. まとめ|相続登記に不安がある場合、司法書士への相談も検討を

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「相続登記」とは、亡くなった人が所有していた不動産の名義を相続人の名義へ変更する手続きです。

相続登記を含め、登記申請に関する無料相談を法務局で受け付けてもらえます。

法務局は全国に中心となる各本局があり、その出張所、支局で構成されています。不動産登記の場合はそれぞれの不動産の所在地ごとに管轄が分かれているので、該当する不動産を管轄する法務局に相談するとよいでしょう。相続登記に関する相談が可能かどうかなどの詳細は、各法務局のホームページや、出張所や支局への電話での問い合わせであらかじめ確認することをお勧めします。

なお、この登記相談は完全予約制となっており、法務局によってはかなり混雑している場合があります。

【関連】相続登記の義務化とは【4月開始】 罰則から過去の相続分の扱いまでわかりやすく解説

法務局で相続登記の無料相談を予約する際、あらかじめ知っておくべきことが2つあります。

法務局で対応してもらえる相続登記の相談は、あくまでも登記申請に伴う書類の内容や作成方法に関することに限られています。たとえば「相続人の間で遺産分割の話し合いがまとまらない場合はどうしたらよいか?」「疎遠になっている相続人がいるがどうやって進めたらよいか?」といった、個別の事情に応じた相談や法的判断には対応してもらえません。

前述のとおり、法務局での無料相談は申請書類の内容や作成方法に関する相談に限られています。そのため、すでに遺産分割協議で相続登記の内容が決定しているものの、書類の作り方や具体的な申請方法がわからないというケースに適しています。

法務局で相続登記の無料相談を予約する場合、以下の3点に注意するとよいでしょう。

法務局は土曜日と日曜日のほか、祝日も閉庁しているため、無料相談は平日に限られます。また、各法務局が開いている時間帯での受付になりますので注意が必要です。

また、1回の相談時間は20分以内と定められています。1回ですべての相談内容が解決しなかった場合には、再度予約をすることにはなるケースもあるでしょう。ただし、相談員が前回と同じとは限らず、そもそも継続相談を予定していないため「前回の続きからお願いします」といった相談方法は現実的ではありません。

法務局では個人的な事情に基づく相続相談や法的判断を伴う相談には対応してもらえません。そのため、自身の相談内容が書類作成に関する内容にとどまるかどうかをあらかじめ考えて、個別の悩みではない場合のみ予約するのが望ましいです。

法務局の相談員は、基本的には相続登記を把握しているものと考えられますが、必ずしも相続登記に精通しているとは限りません。

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法務局の無料相談の予約から実際に相談するまでに、次の4つのステップを踏むことになります。

相続登記の対象となる不動産を管轄する法務局を調べます。法務局の管轄一覧は法務局のホームページの「管轄のご案内」で確認することができます。

法務局の無料登記相談は、基本的にはその法務局の管轄にある不動産が対象でなくとも受け付けてもらえます。ただし、相続登記の対象となる不動産が遠方にある場合は、あらかじめ最寄りの法務局で対応してもらえるかを確認しておくのが望ましいです。

実際に相談に行く法務局が確認できたら、法務局の予約方法に従って予約を入れます。法務局の空きの日時が希望の日時と合致するかわからないため、予約をする際にはいくつかの候補日時を想定しておくとよいでしょう。

法務局の無料相談時間は、1人あたり20分以内です。この時間内に聞きたいことがすべて聞けるように、可能な限り書類を集める準備やシミュレーションをしておくことが理想です。聞きたいことを事前にメモしておくのもよいでしょう。

もし、まったく何から始めてよいかわからない段階で、何から着手すべきかを相談したい場合には、相続関係がわかる図を作成したり、不動産の情報がわかるものを用意したりするなど、該当の相続登記に関連する資料をすぐに提示できるようにしておきましょう。

法務局に実際に出向いて対面で相談する方法のほかに、電話での相談や「ウェブ登記手続案内」もあります。「ウェブ登記手続案内」はウェブ会議のシステムを利用するもので、法務局の担当者に登記手続きに関する質問をして、説明を受けることができるサービスです。

前述のとおり、法務局の無料相談窓口は個別の事情には応じておらず、継続相談もできません。そのため、自身が抱えている疑問や事情によっては、法務局の無料相談では不十分なケースもあるでしょう。そこで、ほかにも相続登記に際して相談することのできる窓口を3つ紹介します。

書類の作成方法や内容確認のみではなく、個人的な事情や法的判断を含めて相談したい場合には、相続登記に強い司法書士事務所に相談することをお勧めします。

多くの司法書士事務所が初回相談を無料としているので、インターネットなどで近くの司法書士事務所を探して確認してみましょう。司法書士検索サービスを展開している「相続会議」のようなポータルサイトを活用するのも一つの方法です。

また、⽇本司法書⼠会連合会をはじめとする全国の司法書士会においても無料相談を受け付けています。司法書士会のホームページから自宅近くの相談窓口を確認できます。

多くの市区町村役場では、弁護士による無料法律相談や司法書士による無料登記相談を定期的に行っています。相談時間は30分程度と限られており、継続の相談予約が認められていないことがありますが、有資格者に対応してもらえることで、個人的な事情の相談や法的な判断についても相談できる場合が多いです。

司法書士は登記の専門家なので、基本的には相続登記に関する相談はすべて受け付けてもらえます。しかし、相続登記の前段階で、相続人同士が遺産分割方法でもめているようなケースでは、まず相続人の間での調整が必要となります。

相続人の間に入って話し合いをまとめたり、代理人として交渉したりできるのは弁護士だけです。したがって、そのような事情がある場合には、弁護士事務所に相談するか、司法書士事務所に相続登記の相談を兼ねて弁護士を紹介してもらい、総合的に解決する方向性を考えるとよいでしょう。

相談内容と適した無料相談先
相談内容 適した相談先
書類の作成方法を教えてほしい
書類に不備がないかみてほしい
法務局の無料登記相談
法律的な相談も含め
今後の手続きの方向性を知りたい
市区町村役場の無料法律相談会
法律的なことも含めて相談し、
手続きを依頼したい
司法書士事務所の無料相談、
司法書士会主催の無料法律相談会
相続人間のもめごとを含め相談したい 弁護士事務所の無料法律相談、
弁護士会主催の無料法律相談会

相続人の間で争いがない場合、自分で相続登記をせずに司法書士に依頼したほうがよいケースは主に以下の5つです。

  • 手間なく確実に相続登記を済ませたい
  • 平日の日中に相談する時間がとれない
  • 相続する不動産が複数ある
  • 未成年の相続人や認知症の相続人がいる
  • 相続する不動産をすぐに売りたい

相続登記を申請するのが初めての場合には、いろいろなことを調べて何種類もの書類を準備して、ミスなく申請する必要があります。

申請書類にミスがあると法務局から訂正を求められます。正しい書類を郵送することで、差し替えで訂正の対応ができるような場合を除いては、遠方の法務局であっても直接行って訂正するか、もし行けなければいったん取り下げて申請し直さなければなりません。

これらの手間やリスクをなくして安心して手続きしたい場合には、司法書士に依頼するのが賢明です。

自分で調べてもよくわからず、時間的にも法務局や市区町村役場での無料相談を利用できない場合には、司法書士に戸籍謄本などの取り寄せを含め、一任すると楽に手続きを終わらせることができます。

相続登記の申請は、不動産の所在地を管轄する法務局で行わなければなりません。したがって、相続する不動産が複数あり、それらが異なった管轄区域にある場合は、いくつもの法務局で申請しなければなりません。漏れなく相続登記を完了させられるか不安があるのであれば、司法書士に依頼すると確実です。

【関連】相続登記はどこの法務局でもできる? 法務局の管轄から提出書類、申請の流れまで解説

相続人のなかに18歳未満の未成年者が含まれているケースがあります。

たとえば、父が亡くなり、母と長男(20歳)、次男(16歳)の3人が相続人である場合、このまま3人で遺産分割協議をして登記申請をすることはできません。遺産分割協議をする際に、親と未成年の子の間で利益が相反する場合には、子が不利益を被る可能性があるので、未成年の次男に代わって遺産分割協議に参加する特別代理人の選任をあらかじめ家庭裁判所に申し立てる必要があります。

また、相続人のなかに認知症の人がいる場合にも、成年後見人等の選任を家庭裁判所に申し立てる必要が出てきます。

私が司法書士として実務を行うなかでも、認知症が問題となるケースは年々増加してきている印象を受けています。

このような事情があるケースでは、家庭裁判所への申し立てを含めて早い段階で司法書士に相談するとよいでしょう。

不動産の相続では「両親が住んでいたが、2人とも亡くなって今後誰も住まないので売却したい」といったケースが少なくありません。

このようなケースでは、不動産業者を含めて売却込みで話が進んでいくことが多く、その際には対象不動産を購入する予定の買主がいます。相続登記に時間をかけることができないため、司法書士に売却までを一括して依頼するのがよいでしょう。

Q. 管轄外の法務局でも相続登記の無料相談を受けられる?

相談予約をする予定の法務局にあらかじめ確認すると確実ですが、多くの場合において、相続登記の対象不動産が管轄外の不動産であっても無料相談は可能であると考えられます。

相続登記はその性質上、親などが所有していた不動産であるため、相続人自身が現在住んでいる地域の不動産ではないことが多いです。したがって、相談希望は自分の居住する地域の法務局で相談したいというケースが少なくありません。

該当する不動産が遠方にあり、自宅近くの法務局では管轄内の不動産しか相談を受け付けていない場合は、電話相談や「ウェブ登記手続案内」を検討するとよいでしょう。

Q. 相続登記を司法書士に依頼する場合の相場は?

相続登記に必要となる費用は、戸籍謄本などの収集にかかる手数料、登記申請の際の登録免許税(収入印紙代)、その他登記事項証明書の取得費用などの実費のほか、司法書士に依頼した場合には報酬が必要となります。実費は自分で相続登記をしてもかかる費用です。

実費を除いた司法書士の報酬だけを見ると、全国一律の基準はありません。事務所ごとの報酬基準に委ねられるため金額は一概には言えませんが、私がいくつかの司法書士事務所を経験してきた相場的な感覚としては、相続人が複雑でなく、不動産も自宅の土地建物のみのケースでは、戸籍謄本の取り寄せからすべてを依頼しても10万円前後に収まることが多いと言えます。

【関連】相続登記にかかる費用は? 司法書士報酬、必要書類の取得費用、税金を解説

Q. 自分で相続登記の手続きを行うのは難しい?

自分で相続登記をすることが難しいかどうかは、人それぞれです。以下のいずれかに当てはまる場合は、司法書士の手を借りる選択肢を検討しましょう。

・インターネットやパソコンを使い慣れてない
・書類関係の作業が苦手
・相続の内容や不動産が複雑である
・ミスが許されない状況である(相続人に実印をもらい直すことができない関係性の人がいる、申請先の法務局が遠方で補正に出向けない、急いで相続登記を終わらせなくてはならない事情があるなど)

逆に言えば、以上のいずれも該当しない場合は、自分で相続登記の手続きを行う作業は必ずしも難しいとは言えません。

亡くなった人が所有していた不動産の名義を相続人の名義へ変更する手続きである相続登記に関する相談は、全国各地にある法務局でも可能です。ただし、相談できる日時や回数、時間が限られている、不動産相続の個別の悩みの相談には対応してもらえない、担当した職員が相続登記に詳しいとは限らない、といった側面があります。

相続登記は、内容によっては自分で申請できるケースもありますが、手間なく確実に相続登記を済ませたい、平日の日中に相談する時間がとれない、相続する不動産が複数あるといった状況では、相続の専門家である司法書士の助けを借りるのが適切でしょう。

相続登記について相談事や不安がある場合は、法務局の利用も視野に入れつつ、司法書士事務所の無料相談を活用することお勧めします。

(記事は2024年7月1日時点の情報に基づいています)

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