路線価とは? 固定資産税路線価との違い・調べ方・見方・計算方法を解説【令和5年最新路線価も紹介】
路線価とは、相続や贈与によって不動産を取得したときに、土地の評価額の算定基準となるものです。路線価の調べ方から見方、計算方法、また同じく「路線価」との言葉が含まれる「固定資産税路線価」との違い、令和5年最新路線価まで、不動産鑑定士が解説します。
路線価とは、相続や贈与によって不動産を取得したときに、土地の評価額の算定基準となるものです。路線価の調べ方から見方、計算方法、また同じく「路線価」との言葉が含まれる「固定資産税路線価」との違い、令和5年最新路線価まで、不動産鑑定士が解説します。
目次
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路線価とは、道路に割り振られた土地の1平方㍍あたりの単価を指します。単に路線価というと「相続税路線価」のことを指すことが多く、相続税や贈与税を算定する際の基準となります。路線価は国税庁が毎年発表し、その年の1月1日から12月31日までの間に相続、または贈与によって土地を取得した場合に適用されます。
不動産の「相続税評価額」の概算額は、路線価に土地面積を乗じることで求めることが可能です。
相続税評価額(概算)=路線価×土地の面積
ただし、実際の相続税評価額は土地の形状や接する道路の数などによって様々な補正が必要です。たとえば「奥行価格補正」や「側方路線影響加算」と呼ばれる増減価修正を行います。土地の評価額は金額が大きく、計算を誤ると相続税の計算が大きく狂ってしまう恐れがあります。正確な相続税評価額を算出するためには、相続税申告の実績が豊富な税理士に相談することをお勧めします。
路線価には「固定資産税路線価」も存在します。同じ「路線価」との言葉が含まれますが、両者は違います。違いは下表の通りです。
上述したように路線価(相続税路線価)は、相続税の算出根拠となる相続税評価額を求めるために用います。一方で、固定資産税路線価は、固定資産税や都市計画税、登録免許税、不動産取得税の算出根拠となる固定資産税評価額を求めるために用います。
また、相続税路線価は毎年評価されるため、価格が毎年更新されます。固定資産税路線価は3年に1度しか評価替えが行われないため、価格は3年ごとに更新されることになります。
なお、土地の所有者は、毎年送られてくる固定資産税納税通知書に正確な固定資産税評価額が記載されているため、固定資産税路線価を調べる機会はほとんどないと思われます。
一方で、これから土地を取得予定の人は、固定資産税評価額がわからないことから、固定資産税路線価を利用して固定資産税評価額を推測することになります。
固定資産税評価額は、概算額は固定資産税路線価に土地面積を乗じることで求めることができます。あくまでも概算額ですので、最終的には購入前に売主に正確な固定資産税評価額を確認することがポイントです。
次に、「実勢価格」や「公示価格」との違いについて解説します。
実勢価格とは、実際に売買取引されている相場水準の価格のことで、つまり土地の時価です。
公示価格とは、国土交通省が発表している全国約2万6000地点の土地の単価のことで、土地取引や資産評価の目安です。国が行っている地価の調査のことを「地価公示」と呼びます。
なお路線価も公示価格も、評価時点は毎年1月1日時点であることは同じです。
価格水準にも違いがあります。公示価格は実勢価格の50~90%程度です。相続税路線価が公示価格の80%程度、固定資産税路線価は公示価格の70%程度です。
実勢価格や公示価格、相続税路線価、固定資産税路線価の価格水準をイメージすると下図のようになります。
郊外や地方の土地の場合、公示価格は実勢価格と比較的近い水準(90%~110%)で求められています。一方で、都市部は実勢価格が短期間で変動してしまうこともあり、公示価格と実勢価格が離れている傾向があります。都市部の実勢価格は、公示価格の150%以上となっていることも多いです。場合によっては実勢価格が公示価格の2~3倍になっているケースもあります。
国税庁は7月3日、2023年分の路線価を発表しました。全国平均は昨年を1.5%上回り、2年連続の上昇となりました。都道府県庁がある都市の最高路線価は29都市で上昇。新型コロナウイルス感染拡大の経済への影響が緩和したことで、地価も回復傾向が続いています。
下記の実際の路線価図を使って、見方や具体的な計算方法を解説します。
まず路線価図の上段に記載の年度が被相続人の相続開始日の年度である点を確認しましょう。上記路線価図は令和4年のものです。
次に、相続した土地に面する路線価を確認します。例えば、この土地が「500C」の数字が書かれている道路に面しているとします。単位は宅地1㎡あたり千円ですので、この宅地は1㎡あたりの価格は500千円(50万円)であることを意味します。従って、土地の面積が50㎡であるとすれば、概算の評価額は「50万×50」で2500万円であることがわかります。
なお、「C」は借地権割合を示します。もしこの土地が借地である場合は、相続財産として借地権を評価する必要があり、この場合は「C=70%」ですので、2500万円に70%を乗じることになります。
相続税評価額を計算するには、路線価図の見方を知らなくてはなりません。路線価図に記載されている数字やアルファベット、記号は何を意味するのでしょうか。以下の記事で詳しく説明しています。
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相続の相談が出来る税理士を探す相続税路線価も固定資産税路線価も、一般財団法人資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」で調べることが可能です。
相続税路線価だけであれば、国税庁の「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」で調べることができます。
操作性は全国地価マップの方が良いので、ここでは全国地価マップによる調べ方について紹介します。全国地価マップを開くと、以下のようなトップ画面が出てきます。
相続税路線価等を選択すれば相続税路線価が、固定資産税路線価等を選択すれば固定資産税路線価を調べることが可能です。また、地価公示・地価調査を選択すれば公示価格や都道府県地価調査価格も調べることができます。
例えば、日本で一番地価の高い東京の銀座4丁目の交差点の相続税路線価と固定資産税路線価は以下の通りです。
相続税路線価の数値は「千円/m2」であり、固定資産税路線価の数値は「円/m2」です。
なお、郊外には道路上に相続税路線価が振られていない地域があります。これらの地域は「倍率地域」と呼ばれるエリアです。
倍率表は、国税庁の「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」でダウンロードすることができます。
倍率地域の相続税路線価水準の価額は、次の計算方法で求めます。
相続税路線価水準の価額=固定資産税評価額×倍率
また、固定資産税路線価のない地域は、「状況類似地域」と呼ばれる地域内の標準宅地の単価が固定資産税路線価水準の価格となります。標準宅地は「全国地価マップ」で調べることができます。
路線価は、相続税の申告の便宜、および課税の公平を図る観点から、国税庁が決めた道路ごとの土地の価格です。国土交通省が発表する地価公示価格や実際の不動産の売買事例、不動産鑑定士などの専門家の評価などを参考にしながら、国税局が決めます。
国税庁による路線価の発表は毎年7月1日です。2023年は7月1日が土曜日だったため、週明けの7月3日に発表となりました。
相続税や贈与税において土地などは、原則として時価で評価することとされています。かつて路線価が公示価格の7割を目途に評価されていた時代がありましたが、当時は公示価格と実勢価格との乖離が大きく、相続税対策上、土地を保有することの優位性が今よりもかなり高い時期がありました。そのような税制のゆがみを解消する目的で、1992年分の評価から路線価を公示価格の8割水準にすることが決定されました。つまり、土地の評価額を本来の原則論である時価へと近付けるために現在では8割水準で評価が行われています。
全国で路線価が最も高いのは、東京都中央区銀座5丁目の文具店「鳩居堂」前です。2023年は1平方メートルあたり4272万円で、1986年分から38年連続でトップとなっています。昨年の1平方メートルあたり4224万円と比べると1.1%増で、3年ぶりに上昇に転じました。なお、コロナ禍の影響が出ていない2020年は4592万円でした。
路線価の調べ方や見方、活用方法、固定資産税路線価との違い、令和5年の路線価などについて解説してきました。相続税評価額の概算は「路線価×土地の面積」で求められますが、実際の相続税評価額の計算は、土地の形状や接する道路の数などによって、補正が必要です。正確な計算には、税理士に相談することをお勧めいたします。
相続ポータルサイト「相続会議」では、相続税の申告に強い税理士を検索することが可能です。自分の財産の相続税評価額を知りたい方は、検索サービスを利用して税理士に相談してみてください。
(記事は2023年7月3日時点の情報に基づいています)
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