目次

  1. 1. 相続税路線価と固定資産税路線価の違い
    1. 1-1. 求められる評価額や利用される税金の違いは?
  2. 2. 実勢価格や公示価格との違い
    1. 2-1. 都市部は実勢価格が短期間で変動
    2. 2-2. 「都道府県地価調査」との違いは?
  3. 3. 相続税路線価と固定資産税路線価の関係と計算方法
  4. 4. 相続税路線価と固定資産税税路線価の調べ方
    1. 4-1. 全国地価マップでの調べ方
  5. 5. 相続税路線価の利用方法
  6. 6. 固定資産税路線価の利用方法
  7. 7. まとめ

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「路線価」とは、道路に割り振られた土地単価のことを指します。
単に路線価というと「相続税路線価」のことを指すことが多いですが、路線価には「固定資産税路線価」も存在します。

相続税路線価は相続税評価額を求めるために用い、固定資産税路線価は固定資産税評価額を求めるために用います。
両者はそれぞれ異なる税金を算出するための評価額となります。
相続税路線価と固定資産税路線価の違いを一覧表でまとめると下表の通りです。

相続税路線価で求められる相続税評価額は、相続税や贈与税の算出根拠となります。
固定資産税路線価で求められる固定資産税評価額は、固定資産税や、都市計画税、登録免許税、不動産取得税の算出根拠です。

また、相続税路線価は毎年評価されるため、価格が毎年更新されます。
固定資産税路線価は3年に1度しか評価替えが行われないため、価格は3年ごとに更新されることになります。

さらに価格水準は、相続税路線価が公示価格の80%程度であるのに対し、固定資産税路線価は公示価格の70%程度です。
公示価格とは、国が毎年評価している全国約2万6000地点の土地の単価のことを指します。
国が行っている地価の調査のことを「地価公示」と呼びます。

次に、「実勢価格」や「公示価格」との違いについて解説します。
実勢価格とは時価のことであり、公示価格とは地価公示の価格のことです。
実勢価格や公示価格、相続税路線価、固定資産税路線価の価格水準をイメージすると下図のようになります。

まず、公示価格は公共用地の収用や相続税路線価・固定資産税路線価の算出のために国が毎年評価を行っています。
相続税路線価と固定資産税路線価の算出根拠となっているのが公示価格です。

公示価格は、建前上は実勢価格(時価のこと)を表すものとなっています。
ただし、実際の公示価格は実勢価格とは異なります。

郊外や地方の土地の場合、公示価格は実勢価格と比較的近い水準で求められています。
郊外や地方の実勢価格は、公示価格の90%~110%程度です。

一方で、都市部は実勢価格が短期間で変動してしまうこともあり、公示価格と実勢価格が離れている傾向があります。
都市部の実勢価格は、公示価格の150%以上となっていることも多いです。
場合によっては実勢価格が公示価格の2~3倍になっているケースもあります。

公示価格には、類似の制度に「都道府県地価調査」というものが存在します。
地価公示も都道府県地価調査も価格水準は同じです。
両者の違いは以下になります。

相続税路線価は公示価格の80%程度、固定資産税路線価は公示価格の70%程度という関係にあることから、両者は互いに以下の計算式で求めることができます。

【計算式】

相続税路線価は公示価格の80%なので、相続税路線価を0.8で割り戻せば公示価格水準になります。
また、固定資産税路線価は公示価格の70%なので、相続税路線価を0.8で割り戻したものに0.7を乗じれば固定資産税路線価となります。

ただし、固定資産税路線価は3年に1度、相続税路線価は毎年の評価となるため、単純に「その年の相続税路線価」を使っても「その年の固定資産税路線価」にピッタリ一致しないことが一般的です。
あくまでも価格の「目安」を求めているに過ぎないため、「参考までに」と考えてください。

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相続税路線価も固定資産税路線価も、『一般財団法人資産評価システム研究センター』の全国地価マップで調べることが可能です。
相続税路線価だけであれば、国税庁の『財産評価基準書路線価図・評価倍率表』で調べることができます。

操作性は全国地価マップの方が良いので、ここでは全国地価マップによる調べ方について紹介します。
全国地価マップを開くと、以下のようなトップ画面が出てきます。

相続税路線価等を選択すれば相続税路線価が、固定資産税路線価等を選択すれば固定資産税路線価を調べることが可能です。
また、地価公示・地価調査を選択すれば公示価格や都道府県地価調査価格も調べることができます。

例えば、日本で一番地価の高い東京の銀座4丁目の交差点の相続税路線価と固定資産税路線価は以下の通りです。

相続税路線価の数値は「千円/m2」であり、固定資産税路線価の数値は「円/m2」です。

尚、郊外には道路上に相続税路線価が振られていない地域があります。これらの地域は「倍率地域」と呼ばれるエリアです。
倍率表は、国税庁の『財産評価基準書路線価図・評価倍率表』でダウンロードすることができます。

倍率地域の相続税路線価水準の価額は、土地の固定資産税評価額に倍率を乗じて求めます。

【倍率地域の相続税路線価水準の価額】

また、固定資産税路線価のない地域は、「状況類似地域」と呼ばれる地域内の標準宅地の単価が固定資産税路線価水準の価格となります。
標準宅地は全国地価マップで調べることができます。

相続税路線価は、主に土地の相続税評価額を用いるのに計算します。相続税評価額は、概算額は相続税路線価に土地面積を乗じることで求めることが可能です。

ただし、実際の相続税評価額は「奥行価格補正」や「側方路線影響加算」と呼ばれる増減価修正を行います。
これらの修正は、相続税の申告に慣れた税理士でないと適切な評価が行われません。
正確な相続税評価額を算出するためには、相続税申告の実績が豊富な税理士に相談することをお勧めいたします。

固定資産税路線価は、主にこれから購入する土地の固定資産税や登録免許税、不動産取得税の概算額を知るために利用します。

土地の所有者は、毎年送られてくる固定資産税納税通知書に正確な固定資産税評価額が記載されているため、固定資産税路線価を調べる機会はほとんどないと思われます。

一方で、これから土地を取得予定の人は、固定資産税評価額がわからないことから、固定資産税路線価を利用して固定資産税評価額を推測することになります。

固定資産税評価額は、概算額は固定資産税路線価に土地面積を乗じることで求めることができます。
あくまでも概算額ですので、最終的には購入前に売主に正確な固定資産税評価額を確認することがポイントです。

以上、相続税路線価と固定資産税路線価について解説してきました。
相続税路線価は相続税評価額を求めるためのものであり、固定資産税路線価は固定資産税評価額を求めるためのものであることが最大の違いです。

相続税路線価は公示価格の80%程度、固定資産税路線価は公示価格の70%程度の水準で決定されているという関係性があります。両者の違いを意識して、それぞれの路線価をご利用ください。

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記事は2021年7月1日時点の情報に基づいています。

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