目次

  1. 1. 固定資産税評価額から調べる
  2. 2. 公示地価や路線価を参考にする
    1. 2-1. 不動産鑑定士に鑑定を依頼する
    2. 2-2. 不動産会社に査定を依頼する

相続した土地を、仮に売却するとしたらいくらぐらいで売れるのか。売れる値段によっては、急いで売却しようかとか、急がずに待とうかなど、今後の方針が変わる可能性もあるでしょう。

実際に土地の売買が行われた価格(いわゆる時価)のことを「実勢価格」といいますが、残念なことに、同じ住所の同じ広さの土地というのは、この世の中に一つしかありません。なので、実際にいくらで売れるのかは、買い手がいくらで買うのかがわからない限り、誰にもわからないのです。

とはいえ、大まかな金額を予想することは可能なので、その方法を解説していくことにしましょう。

そもそも、土地の価格と一口に言っても、実はいろいろな価格が存在します。主なものは以下の5種類です。

土地価格の主な指標

自己所有の土地については、「4.固定資産税評価額」から調べるのが簡単でしょう。
土地建物の毎年1月1日時点の所有者に対して課税される固定資産税や都市計画税については、毎年、所有者の手元に納税通知書や課税明細書が届いているはずです。その納税通知書等に固定資産税評価額が記載されています。

例えば、以下のような横浜市の課税明細書の場合、左のほうに載っている「価格」この見本の例だと、1932万5697(円)が固定資産税評価額となります。

課税明細書の見方(横浜市のホームページより)

そして、固定資産税評価額は、「1.公示地価」の70%程度の水準となっているのが通常です。したがって、固定資産税評価額がわかれば、公示地価の概算価格を計算することができます。

公示地価 × 70% ≒ 固定資産税評価額

ということは、

 固定資産税評価額 ÷ 70% ≒ 公示地価

となります。
例えば、固定資産税評価額が2100万円だったとすると、

2100万円 ÷ 70% ≒ 3000万円

という概算の公示地価を算出することができるわけです。

公示地価または地価公示というのは、国土交通省によれば「地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が、適正な地価の形成に寄与するために、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示(令和2年地価公示では、26000地点で実施)するもので、社会・経済活動についての制度インフラとなっています。」とのこと。

国土交通省のWEBサイトにある「土地総合情報システム」では、不動産の取引価格、地価公示・都道府県地価調査の価格を検索して見ることができます。

地図上での確認もできるようになっていますので、近隣の相場の確認がしやすく、便利なサイトだと言えます。ただし、実際の土地の売買価格は、そのときの需給関係によって決まってきますので、価格が上下にブレる可能性も十分に考えられることは認識しておくべきでしょう。

それから、「3.路線価」(相続税路線価とも呼ばれる)も参考になります。
路線価は、相続税や贈与税を計算する際に基準となる価格で、道路ごとに値段が定められ、その道路に面した土地の価格がわかるようになっています。なお、路線価の付いていない道路に面した土地については、固定資産税評価額に一定の倍率をかけて算出します。

路線価は、国税庁のWEBサイトにある「路線価図・評価倍率表」で見ることができます。

路線価図は以下のようになっていて、道路に値段が付いています。以下の例の「215D」と表記されている部分は、その道に面した標準的な土地の相続税評価額が1㎡あたり215千円(21万5000円)であることを意味していて、末尾の「D」はその土地を借りている場合の権利の割合(=借地権割合)が60%であることを意味しています。

路線価の見方(国税庁のホームページより)

また、実際の相続税評価額の算出においては、その土地の奥行の度合いによる補正や、複数の道路に面している場合の加算などが行われるようになっています。

ちなみに、路線価は、公示地価の80%程度の水準となっていますので、大まかな路線価がわかると、公示地価の概算額を計算することができます。考え方は、固定資産税評価額の場合と同様です。

公示地価 × 80% ≒ 路線価

ということは、

 路線価 ÷ 80% ≒ 公示地価

となります。
例えば、路線価が2400万円だったとすると、

2400万円 ÷ 80% ≒ 3000万円

という概算の公示地価を算出することができるわけです。

これらのほか、その土地の適正な評価額を知りたい場合は、不動産鑑定士に鑑定を依頼する方法があります。国家資格である不動産鑑定士の資格を持った人が評価する信頼度の高い評価額となります。

実際に、不動産鑑定書等が必要な場合は、きちんと不動産鑑定士に依頼して鑑定してもらいます。所定の費用はかかりますが、信頼度は非常に高いと言えます。

不動産鑑定書等が必要な場合の例としては、以下のようなものが挙げられます。
・不動産を担保に融資を受ける
・個人間で不動産の売買をする
・不動産を賃貸借する
・遺産分割で適正な時価が必要
・財産分与で適正な時価が必要      など

なお、不動産の鑑定にかかる費用は、不動産鑑定士や不動産鑑定事務所ごとに異なりますが、安い場合で10~20万円程度、高い場合で60~70万円程度といったところです。依頼する際には、比較検討することも重要でしょう。

ここまで主な方法を触れてきましたが、最後に、最も手間も費用もかからない方法を紹介しましょう。それは、不動産会社に査定を依頼するという方法です。

多くの不動産会社が無料で査定してくれるはずです。
「いまなら、近隣の相場からすると、〇〇〇〇万円あたりでしょう」
などと、大まかな金額を教えてくれます。

当然ながら、不動産鑑定士による鑑定評価のような信頼度はありません。法的な効力もありません。とはいえ、おおよその価格帯を知る程度で十分だと考えるのであれば、問題はないでしょう。

ただし、不動産会社によっては、その土地の売買を仲介することによる手数料収入を期待して、わざと高めの価格を言ってくるケースもあるようなので、複数社に査定を依頼して、比較検討することも大切でしょう。

また、査定にあたっては、個人情報の提供も必要になるでしょうし、その後、さまざまな営業攻勢を受ける可能性もあるでしょう。ある程度は仕方のないことだと思いますが、その際の言葉遣いや姿勢、対応の仕方などを冷静に観察しておくことも重要でしょう。将来的に仲介を依頼する業者選びにも役立つはずです。

(記事は2020年8月1日現在の情報に基づきます)

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