目次

  1. 1. 相続登記は法務局に申請
  2. 2. 相続登記はどこの法務局でもできる?
  3. 3. 法務局への申請前にやることは?
    1. 3-1. 相続する不動産を確認する
    2. 3-2. 引き継ぐ人を決める
    3. 3-3. 必要書類を収集、作成 
    4. 3-4. 申請書の作成
  4. 4. 法務局での申請の流れは?
    1. 4-1. 窓口での申請
    2. 4-2. 管轄法務局が遠方の場合、郵送やオンラインでもできる
  5. 5. 相続登記の申請についてよくある質問
    1. Q. 相続登記について法務局で相談できる?
    2. Q. 相続登記は自分でできる?
    3. Q. 相続登記の義務化とは?罰則もある?
  6. 6.まとめ|相続登記に不安や疑問があれば司法書士に相談を

「相続会議」の司法書士検索サービス

各地に「法務局」という公的機関が存在します。不動産の登記は、この法務局に原則として当事者が申請し、登記官が書類に不備がないかを審査した上で問題なければ申請された内容の登記を完了させます。

各法務局には、不動産の所在地ごとに管轄が決まっています。したがって、管轄を確認した上で正しい法務局に登記申請を行う必要があります。もし、被相続人(亡くなった人)が、複数の不動産を異なった管轄区域に所有していた場合には、それぞれの法務局に登記申請をする必要があります。

法務局のHPで管轄区域が確認できますので、参考にしてください。

例えば、不動産の所在地が「東京都港区」であれば、東京法務局港出張所に申請します。

まずは亡くなった人が、どこに不動産を所有していたのかを確認しなければなりません。手掛かりとして最も信頼できるのが「固定資産納税通知書」です。毎年不動産の所有者あてに送られてきていますので、そこに記載されている不動産が被相続人の所有不動産ということになります。

ただし、公衆用道路など固定資産税が非課税の土地を所有している場合があり、非課税であれば「固定資産納税通知書」には記載されていません。そのため「固定資産納税通知書」だけを手掛かりにして、公衆用道路の相続登記を忘れているケースも見受けられます。これを避けるためには、「名寄帳」を確認する方法があります。名寄帳は、市区町村ごとに被相続人が所有していた不動産がすべて記載されたものです。市区町村ごとになりますから、ゆかりのある地の市区町村役場にはすべて請求するのがよいでしょう。

亡くなった人が所持していた権利証なども確認してみましょう(なお、2026年2月2日に個人が所有する不動産を一覧としてリストアップしてもらえる「所有不動産記録証明制度」が施行されます)。

不動産は、土地であれば「地番」、家屋であれば「所在・家屋番号」が振られています。上記の資料からそれがわかれば、近くの法務局で「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得することができます。まずは取得して登記記録の内容を確認することをおすすめします。

生前に被相続人が作成した遺言書がある場合、その内容通りに遺産を分けることになります。不動産についても、遺言の中で指定された人が取得します。

遺言書がない場合は、相続人のうちの誰が取得するかを相続人全員で話し合います。この話し合いのことを「遺産分割協議」といいます。

法律で規定された相続分割合で、相続人全員の共有名義にすることもできます。この場合には法律どおりに遺産を分けるため話し合いは不要です。しかし、後に売却する場合には共有者全員が売買契約等に関与しなければなりませんし、売却しない場合でも将来的に共有者の持ち分についてさらにそれぞれ相続が発生することになりとても煩雑ですから、共有名義の相続登記はおすすめしません。

誰が不動産を相続するかが決定すると、法務局に提出するための書類を用意します。現在のところ、被相続人の死亡からいつまでに申請しなければならないという期限はありませんが、2024年4月1日より相続登記が義務化され、「不動産を相続したことを知った時から3年以内」に登記をしなければなりません。

法定相続分で共有名義にするか、遺産分割協議をして不動産を取得する人を決定するか、あるいは被相続人が遺言書を作成しているかによって必要となる書類が異なってきます。
詳しくは、下記の必要書類の一覧表を参考にして下さい。

相続登記の添付書類の一覧
相続登記の添付書類の一覧。どの相続登記を申請するかによって必要書類も変わります

一覧表にある固定資産評価証明書(納税通知書)は法律で決められている添付書類ではないので、コピーでも結構です。登記申請には、「登録免許税(収入印紙代)」を納付する必要があり、その税額を計算する根拠資料として添付します。ここでいう不動産価格とは、管轄の市区町村役場が算定した価格で、一般の市場価格とは異なります。

登録免許税は、不動産価格に1000分の4を乗じた額となります。ただし、100万円以下の土地の相続登記については登録免許税は非課税となっています。

添付する書類が用意できたら、次に登記申請書を作成します。登記申請書は、申請内容によって書き方が決められており、法務局HPからフォーマットをダウンロードすることができます。例えば、遺産分割した場合の相続登記申請書は、20)をダウンロードしましょう。

申請書を作成したら、申請書を一番先頭にして、次に白紙の紙に収入印紙を貼付したもの、戸籍謄本・遺産分割協議書等の添付書類の順にホチキスで合綴します。添付書類の中で登記完了後に原本を返却してほしいものがある場合は、その書類をコピーし、コピーしたものに「原本に相違ありません。氏名 印」と奥書したものを添付すると返却してもらえます。この場合には原本は合綴せずに、別に返却してほしい原本だけをまとめてクリアファイルに入れて一緒に提出します。また、相続関係説明図を作成して提出する場合には、戸籍謄本のみコピー及び奥書をしなくても原本を返却してもらえます。戸籍謄本の通数が多い場合には作成を検討しましょう。

【関連】登記申請書の書き方 見本付きで司法書士が解説! どこでもらえるかも紹介

司法書士への相続相談お考え方へ

  • 初回
    無料相談
  • 相続が得意な
    司法書士
  • エリアで
    探せる

全国47都道府県対応

相続の相談が出来る司法書士を探す

登記申請は、直接管轄の法務局に出向いて申請することが一番確実です。通常は約10日前後で完了します。登記が完了すると、窓口で登記識別情報(権利証)と登記完了証及び原本還付書類が返却されます。受け取りには、本人確認書面(運転免許証等)と申請書に押印した印鑑が必要となります。

完了書類の返却を郵送で受け取りたい場合は、本人限定郵便の返信用封筒を申請時に提出しておきます。

管轄法務局が遠方である場合には、郵送での申請が可能です。申請書と添付書類一式を書留郵便で送付し、完了書類の返信用封筒(本人限定郵便)を同封しましょう。

オンラインでの申請も可能ですが、事前に申請環境を整えなければならないため、1回きりの申請のために時間と労力を費やすのは、ややハードルが高いかもしれません。

【関連】相続登記はオンライン申請もできる 手順や注意点をいちから解説

相続登記の申請に関してよくある質問と回答を紹介します。

法務局では、登記相談を設けています(要予約)。登記相談では、主に申請書の書き方や添付書類の過不足などの相談に乗ってもらえます。特に遠方の管轄法務局に郵送申請をする場合には、申請内容に不備があると申請人自身が補正(訂正)をしなければならず、書類の追加提出など郵送だけでできる場合を除いては、直接法務局に出向いて訂正する必要があるため、事前に最寄りの法務局で登記相談を予約して確認しておくことをおすすめします。

相続登記は、自分でもできます。ただし、相続関係や権利関係が複雑な場合や事後の売却が決定していて準備に時間がかけられない場合などは、登記の専門家である司法書士に依頼されることをおすすめします。また、相続人の中に署名・実印をもらい直すのが難しい人(頼みにくい相続人)がいるなど、やり直しができない場合も司法書士に依頼されることをおすすめします。

【関連】相続登記を自分で手続きするには? 必要書類や費用、デメリットや注意点を解説

2024年4月1日より、相続登記が義務化されます。相続登記が何代にも渡り放置されているケースが多く、もはや相続人が誰かがわからなくなった不動産が増え続けたため、今回の義務化に至りました。義務化が始まると、手続きを怠っている相続人に罰金が課せられることになります。今後はできるだけ速やかに手続きをする必要があります。

【関連】相続登記の義務化はいつから?  罰則から過去の相続分、経緯までわかりやすく解説

相続登記は、法務局に行けば簡単にできるものではありません。書類をそろえるのにも時間や手間がかかります。相続関係や権利関係が複雑な場合や時間をかけられない場合は、登記の専門家である司法書士に依頼することをおすすめします。不安や疑問があれば、ぜひお近くの司法書士に相談してみてください。

(記事は2023年10月1日時点の情報に基づいています)

「相続会議」の司法書士検索サービス