子どもにまつわる贈与の特例が延長 子育て資金贈与と結婚資金はいつまで利用できる?
昨年12月に発表された税制改正大綱をまとめるシリーズは、今回で最終回です。延長が決まった特例制度について取り上げます。
昨年12月に発表された税制改正大綱をまとめるシリーズは、今回で最終回です。延長が決まった特例制度について取り上げます。
「相続会議」の税理士検索サービスで
新たに発表された税制改正大綱では、一部の特例を延長することも盛り込まれました。
どんなものですか。
教育資金贈与と結婚・子育て資金贈与の二つです。
両方とも子どもの生活に密着したものですね。
教育資金の贈与は、30歳未満の子か孫が対象で、1500万円までの贈与が非課税となります。
教育資金と言うけれど、子どもを育てるには、いろいろなことにお金がかかるなぁ。どんなことに使ってもいいんですか。
使い道は、入学金や授業料に加え、留学の渡航費も含まれます。この制度を2023年3月末から26年3月末まで延長します。
ピアノとか習い事も対象になるのかしら。
学校以外の学習塾や習い事などには、上限を500万円として活用できますよ。
けっこう手広く使えるんですね。
使える期間が延長されたので、お孫さんの教育を支援しようと具体的に考えている人は検討してみてください。贈与した人が亡くなっても、子どもや孫が23歳未満か在学中であれば、手元に残ったお金に相続税は原則かかりません。
もう一つの結婚・子育て資金の贈与は、どれぐらい延長されるんですか。
25年3月末まで延ばすことになります。この制度は、18歳以上50歳未満の子や孫1人につき、結婚・子育て資金1千万円、そのうち結婚費用300万円を上限として贈与できます。
結婚や子育ても使い道が多そう。どんな活用法があるのでしょう。
たとえば、挙式費用、家賃などの新居費用のほか、不妊治療、幼稚園・保育所の保育料などにも使えます。
贈与の特例と一口に言っても、いろんな使い道があるんだなぁ。
ただし、所得要件があります。前年の合計所得金額が1千万円以下の場合に限定されます。贈与した人が亡くなって、使い切れていない残額があると相続税の対象になりますよ。贈与する相手が孫の場合は、2割増しになるので注意してください。
二つの特例をそれぞれ活用する時は、特別な手続きが必要でしょうか。何もしないでお金を受け取ってもいいんですか。
いずれも、金融機関に専用口座を開設してください。申告書は金融機関を経由して税務署に提出します。お金を使った領収書や請求書などを金融機関に提出すれば、払い出しを受けられます。
今回は制度が延長になりましたが、今後、どうなるのでしょうか。
税制改正大綱の発表時期になると、贈与税の特例が延長されるかどうかに多くの注目が集まります。「特例がなくなるかもしれない」と聞くと、損するように思えて活用を考える人もいるかもしれませんね。ただ、家庭や資産の状況で活用した方がいい仕組みは異なります。このため、まずは税理士に相談してみてください。
今回のソーゾク博士=税理士法人山田&パートナーズ・税理士清三津裕三さん、構成=相続会議編集部
■特例期間延長のポイント
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2023年2月1日時点での情報に基づきます)
「相続会議」の税理士検索サービスで