相続税の申告・納付期限 遅れれば遅れるほど支払う税金が増える
朝日さん一家は相続税申告をするときの税務署の対応について聞いています。今回は申告期限や納付期限、期限内に申告しなかった場合のペナルティーについて、ソーゾク博士に聞きました。今回、記事を監修してくれるソーゾク博士は、元国税専門官・ライター小林義崇さんです。
朝日さん一家は相続税申告をするときの税務署の対応について聞いています。今回は申告期限や納付期限、期限内に申告しなかった場合のペナルティーについて、ソーゾク博士に聞きました。今回、記事を監修してくれるソーゾク博士は、元国税専門官・ライター小林義崇さんです。
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相続税の申告期限って、たしか10カ月以内でしたよね?
10カ月以内に、申告と納税を済ませるのが原則です。
家族が亡くなった後だけにあっという間に過ぎそうだ。
葬儀から始まって四十九日法要などをして、財産確認や遺産分割協議、相続税申告書の作成など、やることがたくさんありますからね。
相続税申告が必要な人が、期限に遅れたらどうなるんですか?
申告が遅れると無申告加算税が、納税が遅れると延滞税がかかります。そもそも申告ができていないと納税もできないので、二つの追徴税は同時にかかってきますね。
怖いなあ。追徴税ってどれくらいかかるものなんですか?
無申告加算税は、納付すべき税額に対して、原則15または20%の税率をかけて計算します。ただ、税務署から税務調査の通知を受ける前に、自主的に期限後申告をした場合、無申告加算税の税率は5%に下がります。
遅れたときは、できるだけ早めに自主申告したほうがいいですね。延滞税はどうでしょう。
無申告加算税と違い、延滞税は支払いが遅れた日数に応じて加算されます。
DVDをレンタルしたときの延滞料金みたいですね。
はい。延滞税で注意が必要なのが、納付期限の翌日から2カ月を経過すると、税率が高くなるという点です。期限内に納税するのが一番ですが、遅れたとしても、2カ月以内に納税したほうがいいでしょう。
どうしても納税するお金がない場合は、どうなりますか?
遅れれば遅れるほど延滞税が増えます。また、ほかの相続人も連帯納付義務があるので、納められていない旨のお知らせが届きます。滞納を放置していると「滞納処分」が執行され、財産を強制的に差し押さえられたり、公売にかけられたりします。
それはまずい……。
相続財産よりも相続税が高くなることはありませんが、相続税は金銭で一括納付が原則です。相続財産の大半を不動産が占める場合、納税資金が足りなくなるおそれがあります。
それは困りますね。
相続税を分割で払う「延納」や、相続した財産そのものを納める「物納」という方法もありますが、いずれも条件があります。やはり、相続した現金や預金で相続税の納税を済ませるのが理想的です。
わかりました。相続税のことを考えて、現金や預金もある程度残しておくようにします。
僕もお金をためておいたほうがいいかも。
・ 納付期限は10カ月以内
・期限を過ぎると追徴税
・相続財産に不動産が多い場合、納税用資金の準備を
(今回のソーゾク博士=元国税専門官・ライター小林義崇さん、構成=相続会議編集部)
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2022年5月1日時点での情報に基づきます)
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