目次

  1. 1. 遺産分割協議がまとまらないパターンの代表例
    1. 1-1. 相続財産の中に不動産が含まれている
    2. 1-2. 被相続人に再婚歴がある
    3. 1-3. 相続人同士が疎遠である、仲が悪い
    4. 1-4. 連絡を取れない相続人がいる
    5. 1-5. 遺産分割が終わらないうちに二次相続が発生した
    6. 1-6. 遺産を独り占めにしようとする相続人がいる
  2. 2. 遺産分割協議がまとまらない場合の対処法
    1. 2-1. 弁護士に遺産分割協議の仲介を依頼する
    2. 2-2. 遺産分割調停・審判を申し立てる
  3. 3. 遺産分割協議がまとまらない場合の調停・審判の流れ
    1. 3-1. 遺産分割調停の申立て
    2. 3-2. 調停期日|調停委員による話し合いの仲介
    3. 3-3. 調停成立または不成立
    4. 3-4. 遺産分割審判への移行
    5. 3-5. 事実の調査・証拠調べ・当事者の審問
    6. 3-6. 審判・即時抗告
  4. 4. 遺産分割協議をまとまりやすくするには?
  5. 5. まとめ:弁護士への相談が効果的

相続に関する事情が複雑なケースでは、遺産分割協議がまとまりにくくなってしまいます。たとえば以下のようなケースでは、遺産分割協議においてトラブルが発生する可能性が高いでしょう。

不動産の分割方法を巡って、相続人同士の争いが生じやすい傾向にあります。

前婚と後婚の各家族の間で、相続に関する争いが生じるおそれがあります。

各相続人が主張を激しくぶつけ合い、遺産分割協議がまとまらないことが予想されます。

遺産分割協議には相続人全員参加が必須なので、一部の相続人と連絡が取れない場合には、遺産分割協議を始めることができません。

2回分の遺産分割を併せて話し合わなければならず、論点が増えるため、遺産分割協議がまとまらない可能性が高まります。

法律のルールを無視して、遺産を独占しようとする相続人がいる場合、話し合いでの解決は期待できず、法的手続きに発展する可能性が高いです。

遺産分割協議がまとまらない場合、以下の方法によって解決を図りましょう。

弁護士を代理人として選任すると、遺産分割に関する争点を整理してくれるため、遺産分割協議がスムーズにまとまる可能性が高まります。

また、特別受益・寄与分・遺留分などの法的論点に関して、ご自身の権利を他の相続人に主張する際にも、弁護士のアドバイスを求めると安心です。

相続人同士での協議がまとまらない場合には、裁判所に遺産分割調停を申し立てましょう。
【参考:遺産分割調停|裁判所】
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_12/index.html

遺産分割調停では、調停委員の仲介のもと、相続人全員が納得できる形での合意を模索します。もし合意(調停)が成立しない場合には、裁判所が「審判」を行い、遺産分割の内容を決定します。

遺産分割調停・審判は家庭裁判所で行われ、準備や当日の対応に多くの時間と労力を要するため、弁護士のサポートを受けることをお勧めいたします。

遺産分割調停・審判は、大まかに以下の流れで進行します。

いずれかの相手方(他の相続人)の住所地を管轄する家庭裁判所(または全相続人が合意により定める家庭裁判所)に対して、遺産分割調停の申立てを行います。

必要書類等は、以下の裁判所ホームページをご参照ください。
【参考:遺産分割調停|裁判所】
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_12/index.html

調停期日では、調停委員が各相続人の言い分を公平に聴き取り、適宜譲歩を促すなどして、全相続人が納得できる遺産分割の内容を検討します。

おおむね1か月に1回程度開催され、論点が多ければ多いほど長引く傾向にあります。

裁判官が作成する調停案に対して、全相続人が同意すれば調停成立となり、その内容のとおりに遺産分割が行われます。

一方、一人でも調停案に反対する相続人がいれば、調停は不成立です。

調停が不成立となった場合、自動的に遺産分割審判へと移行します(家事事件手続法272条4項。審判の申立ては不要)。

家庭裁判所は、調停において提出された書面や、新たに相続人が提出した書面などをもとに、事実の調査・証拠調べを行います(同法56条1項)。

さらに、審判を行う前提として、家庭裁判所は相続人の陳述を聴取しなければなりません(同法68条1項)。
相続人の陳述の聴取は、審問期日において行われるのが一般的です(当事者の申出がある場合は、審問期日の開催が必須。同条2項)。

家庭裁判所は、心証形成が完了した段階で、遺産分割に関する審判を行います(同法73条1項)。

審判の内容に対しては、審判の告知を受けた日から2週間以内に限り、相続人による即時抗告が認められています(同法198条1項1号、86条1項、2項)。
適法な即時抗告がなかった場合、および即時抗告が認められなかった場合には、審判は確定して全相続人を拘束します。

弁護士への相続相談お考え方へ

  • 初回
    無料相談
  • 相続が
    得意な弁護士
  • エリアで
    探せる

全国47都道府県対応

相続の相談が出来る弁護士を探す

遺産分割協議を少しでもまとまりやすくするには、他の相続人の立場に配慮することが大切です。

他の相続人の言い分に耳を傾け、感情的にならずに建設的な話し合いをすることで、全相続人が納得できる公平な解決に繋がりやすくなります。

その前提として、遺産分割に関する法的な論点を整理することが重要です。

法律上のルールをベースとして話し合いを行えば、自ずと公平な遺産分割が実現するでしょう。

なかなか遺産分割協議がまとまらずに困っている場合は、論点整理や協議の仲介について、お早めに弁護士にご相談ください。

遺産分割協議がまとまらない場合、弁護士のサポートを受けつつ、必要に応じて調停・審判を利用して解決を目指しましょう。弁護士に相談すれば、当事者だけでは対処に困っていた問題が、スムーズに解決できるケースも多いです。

特に遺産の分け方で揉めている場合は、弁護士による専門的・第三者的な視点からのアドバイスが有効に働きます。

遺産分割に関するトラブルに巻き込まれた場合には、迅速・円滑に問題を解決するためにも、一度弁護士に相談してみることをお勧めします。

(記事は2021年11月1日の情報に基づいています)