遺産分割協議がまとまらない場合はどうする? 決裂後の手続き・対処法を解説
相続人がそれぞれ相続に関する希望や気持ちをぶつけ合った結果、遺産分割協議がまとまらないケースはよくあります。遺産分割協議がまとまらない場合、「弁護士に仲介を依頼する」「遺産分割調停・審判を申し立てる」などの対処法が考えられます。いずれにしても、専門家による第三者的視点からのサポートを受けることが有益です。今回は、遺産分割協議がまとまらないパターンや、決裂後の手続きの流れや対処法などを弁護士が解説します。
相続人がそれぞれ相続に関する希望や気持ちをぶつけ合った結果、遺産分割協議がまとまらないケースはよくあります。遺産分割協議がまとまらない場合、「弁護士に仲介を依頼する」「遺産分割調停・審判を申し立てる」などの対処法が考えられます。いずれにしても、専門家による第三者的視点からのサポートを受けることが有益です。今回は、遺産分割協議がまとまらないパターンや、決裂後の手続きの流れや対処法などを弁護士が解説します。
目次
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相続に関する事情が複雑なケースでは、遺産分割協議がまとまりにくくなってしまいます。たとえば以下のようなケースでは、遺産分割協議においてトラブルが発生する可能性が高いでしょう。
不動産の分割方法を巡って、相続人同士の争いが生じやすい傾向にあります。
前婚と後婚の各家族の間で、相続に関する争いが生じるおそれがあります。
各相続人が主張を激しくぶつけ合い、遺産分割協議がまとまらないことが予想されます。
遺産分割協議には相続人全員参加が必須なので、一部の相続人と連絡が取れない場合には、遺産分割協議を始めることができません。
2回分の遺産分割を併せて話し合わなければならず、論点が増えるため、遺産分割協議がまとまらない可能性が高まります。
法律のルールを無視して、遺産を独占しようとする相続人がいる場合、話し合いでの解決は期待できず、法的手続きに発展する可能性が高いです。
遺産分割協議がまとまらない場合、以下の方法によって解決を図りましょう。
弁護士を代理人として選任すると、遺産分割に関する争点を整理してくれるため、遺産分割協議がスムーズにまとまる可能性が高まります。
また、特別受益・寄与分・遺留分などの法的論点に関して、ご自身の権利を他の相続人に主張する際にも、弁護士のアドバイスを求めると安心です。
相続人同士での協議がまとまらない場合には、裁判所に遺産分割調停を申し立てましょう。
【参考:遺産分割調停|裁判所】
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_12/index.html
遺産分割調停では、調停委員の仲介のもと、相続人全員が納得できる形での合意を模索します。もし合意(調停)が成立しない場合には、裁判所が「審判」を行い、遺産分割の内容を決定します。
遺産分割調停・審判は家庭裁判所で行われ、準備や当日の対応に多くの時間と労力を要するため、弁護士のサポートを受けることをお勧めいたします。
遺産分割調停・審判は、大まかに以下の流れで進行します。
いずれかの相手方(他の相続人)の住所地を管轄する家庭裁判所(または全相続人が合意により定める家庭裁判所)に対して、遺産分割調停の申立てを行います。
必要書類等は、以下の裁判所ホームページをご参照ください。
【参考:遺産分割調停|裁判所】
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_12/index.html
調停期日では、調停委員が各相続人の言い分を公平に聴き取り、適宜譲歩を促すなどして、全相続人が納得できる遺産分割の内容を検討します。
おおむね1か月に1回程度開催され、論点が多ければ多いほど長引く傾向にあります。
裁判官が作成する調停案に対して、全相続人が同意すれば調停成立となり、その内容のとおりに遺産分割が行われます。
一方、一人でも調停案に反対する相続人がいれば、調停は不成立です。
調停が不成立となった場合、自動的に遺産分割審判へと移行します(家事事件手続法272条4項。審判の申立ては不要)。
家庭裁判所は、調停において提出された書面や、新たに相続人が提出した書面などをもとに、事実の調査・証拠調べを行います(同法56条1項)。
さらに、審判を行う前提として、家庭裁判所は相続人の陳述を聴取しなければなりません(同法68条1項)。
相続人の陳述の聴取は、審問期日において行われるのが一般的です(当事者の申出がある場合は、審問期日の開催が必須。同条2項)。
家庭裁判所は、心証形成が完了した段階で、遺産分割に関する審判を行います(同法73条1項)。
審判の内容に対しては、審判の告知を受けた日から2週間以内に限り、相続人による即時抗告が認められています(同法198条1項1号、86条1項、2項)。
適法な即時抗告がなかった場合、および即時抗告が認められなかった場合には、審判は確定して全相続人を拘束します。
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相続の相談が出来る弁護士を探す遺産分割協議を少しでもまとまりやすくするには、他の相続人の立場に配慮することが大切です。
他の相続人の言い分に耳を傾け、感情的にならずに建設的な話し合いをすることで、全相続人が納得できる公平な解決に繋がりやすくなります。
その前提として、遺産分割に関する法的な論点を整理することが重要です。
法律上のルールをベースとして話し合いを行えば、自ずと公平な遺産分割が実現するでしょう。
なかなか遺産分割協議がまとまらずに困っている場合は、論点整理や協議の仲介について、お早めに弁護士にご相談ください。
遺産分割協議がまとまらない場合、弁護士のサポートを受けつつ、必要に応じて調停・審判を利用して解決を目指しましょう。弁護士に相談すれば、当事者だけでは対処に困っていた問題が、スムーズに解決できるケースも多いです。
特に遺産の分け方で揉めている場合は、弁護士による専門的・第三者的な視点からのアドバイスが有効に働きます。
遺産分割に関するトラブルに巻き込まれた場合には、迅速・円滑に問題を解決するためにも、一度弁護士に相談してみることをお勧めします。
(記事は2021年11月1日の情報に基づいています)
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