遺産分割調停とは?申立てるケースは?方法は?専門家が解説
相続人同士が集まって遺産分割協議をしても、意見がまとまらずに決裂した場合、家庭裁判所へ「遺産分割調停」を申し立てることができます。 遺産分割調停とは何か、その申立方法はどうなっているか、どのような流れで進むのか、専門家が紹介します。
相続人同士が集まって遺産分割協議をしても、意見がまとまらずに決裂した場合、家庭裁判所へ「遺産分割調停」を申し立てることができます。 遺産分割調停とは何か、その申立方法はどうなっているか、どのような流れで進むのか、専門家が紹介します。
目次
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遺産分割調停とは、相続人が全員参加して、家庭裁判所で遺産分割の方法を話しあう手続きです。相続人のうち1人もしくは何人かが、他の相続人を相手方として申し立てます。遺産分割調停をすると、裁判所の「調停委員」が間に入って調整してくれるので、相続人同士では合意できないケースでも話がまとまりやすくなります。もめている相手と直接顔を合わせる必要もありません。
調停が成立したら「調停調書」という書類が作成されます。調停調書があれば「遺産分割協議書」がなくても、不動産の名義変更や預貯金の払い戻しなどの相続手続きができます。自分たちだけで話し合いができない場合でも、遺産分割調停を利用すれば相続トラブルを解決できる可能性が高くなります。
以下のようなケースでは、遺産分割調停の申し立てを考えましょう。
遺産分割調停を申し立ては、以下のように進めます。
調停申立書を作成します。裁判所のサイトから申立書の書式をダウンロードできます。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本類、相続人全員の戸籍謄本や住民票に加え、不動産登記簿謄本などの相続財産に関する資料が必要です。必要な書類は個別のケースによっても異なるので、わからないときには弁護士などの専門家に相談して確認しましょう。
書類が揃ったら印紙(被相続人1人について1,200円)と郵便切手を添えて、管轄の家庭裁判所へ提出します。これで申立手続が完了します。
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相続の相談が出来る弁護士を探す調停の申立をすると、数週間ほどで申立人と相手方となる相続人へ第1回期日の呼出状が届きます。そこには「どこの家庭裁判所でいつ調停が開かれるか」が書いてあります。
呼び出された日に家庭裁判所に行き、出頭した相続人間で話し合いが始まります。相手方とは別々の待合室で待機し、話をするときには間に調停委員が入ります。相手の話は調停委員から伝えられ、こちらの希望は調停委員から伝えてもらいます。
1回の話し合いでは調停が成立しないことがほとんどのため、その後は月1回程度の頻度で調停期日を開き、話し合いを繰り返します。
調停によって全員が合意できれば調停が成立し、まとまらなければ調停は不成立となります。
調停にかかる期間はケースによってさまざまです。半年程度で終わることもありますが、長びけば1年以上かかるケースもあります。
調停で相続人全員の意見が一致したら、裁判官から相続人全員に対し合意事項の確認があり、間違いがなければその場で調停が成立します。すると数日後に自宅宛に「調停調書」が届きます。調停調書があれば、それを使って不動産名義変更や預貯金の払い戻しなどの遺産相続手続きを進められます。調停調書を使って相続手続きをするときには相手の協力は不要で、1人でも法務局(不動産登記)や金融機関(預貯金)、陸運支局(車やバイク)、証券会社(株式や投資信託)などに申請して、名義変更や解約などの手続きを進められます。
遺産分割調停を行っても合意できない場合、調停は不成立となり、調停から「審判」という手続きに移ります。審判になると担当の裁判官が「審判」によって遺産分割の方法を指定します。
審判の内容は当事者の主張に拘束されないので、自分や相手が期待した結果になるとは限りません。またなるべく自分の希望に近い審判を出してもらうためには、法律に従った正しい主張を行い、適切な資料を提出する必要があります。
他の相続人ともめてしまった場合、放っておくといつまでも解決できません。早めに遺産分割調停を申し立てて解決への道筋を立てましょう。
(記事は2019年9月1日時点の情報に基づいています)