目次

  1. 1. 財産目録とは?
    1. 1-1. 遺言書へ添付するため
    2. 1-2. 限定承認をする場合
    3. 1-3. 遺言執行者を選任して財産目録を作成する場合
    4. 1-4. 相続税の把握のため
    5. 1-5. 遺産分割調停の申立てをする場合
  2. 2. 弁護士に財産目録の作成を相談すべきケース
    1. 2-1. 遺産内容が複雑な場合
    2. 2-2. 相続人の間でもめ事になりそうな場合
  3. 3. 弁護士に財産目録の作成について相談するメリット
    1. 3-1. 手間がかからない
    2. 3-2. 正確な財産目録を作成できる
    3. 3-3. 相続手続き全般を依頼できる
  4. 4. まとめ

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「財産目録」とは、被相続人が死亡時に所有していた財産について、幅広く多岐にわたり記載された書面のことです。財産目録は法律上の作成義務があるわけではありませんが、一目見ただけで遺産の内容がわかるようになっているため、遺産分割をスムーズに進めるには必要になってきます。

■財産目録が必要な場面とは?

「財産目録」が必要となるケースは、以下の5つが考えられます。

自筆証書遺言をする場合に、財産目録を添付することができます。複数の預金口座や不動産がある場合など、財産目録を作成しておくことで遺言書の記載を簡単にすることができます。

その場合、たとえば、「別紙財産目録1:記載の財産をAに遺贈する」「別紙財産目録2:記載の財産をBに相続させる」などと記載をすると、どの財産を誰に相続させるのかが一目でわかるようになります。

なお、相続法の改正により、財産目録は自書する必要がなくなったため、パソコンなどで作成することも可能です。

限定承認をする場合、相続人は自分に相続があったことを知ったときから3カ月以内に相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出しなければなりません。

そもそも限定承認とは「被相続人に借金があり、遺産とどちらが多いかわからない」という場合に、相続財産の限度で被相続人の債権者に弁済を行う制度です。

便利なようにも思えますが、限定承認という手続きは非常に煩雑で時間のかかるものであり、税金がかかってくるという問題もあるため、現実にはあまり使われていません。

もし、限定承認をしたいと検討しているのであれば、本当に限定承認をしたほうがよいケースなのかを弁護士に相談することをおすすめします。

遺言をする人は、遺言により遺言執行者を選任することができます。もし遺言執行者に選任された者が就任を承諾する場合、直ちにその任務を開始し、遺言の内容を相続人に通知しなければなりません。また、遺言執行者は、遅滞なく相続財産の目録を作成して相続人に交付しなければなりません。

財産目録を作成しておくことで、相続財産の総額がいくらになるのか把握することができます。

そのため、財産目録を作成しておけば、相続税の申告が必要であるかどうかや、相続税がいくらかかってくるのかを把握しやすくなるといえます。

遺産分割調停を申し立てる場合、申立書に財産目録を添付することになります。ただ、遺産分割調停を申し立てる場合は弁護士に依頼することが通常ですので、財産目録については弁護士が作成すると思われます。

次に、「財産目録」を弁護士に作成依頼した方がいいのはどんなケースかを説明します。

たとえば、相続財産として預金口座や不動産、有価証券など複数あることがわかっている場合、すべての相続財産を漏れなく把握することは非常に手間と労力がかかる作業です。

そのため、相続を専門としており、財産調査を得意としている法律事務所などに相談して財産目録の作成を依頼することをおすすめします。

ただし、財産調査や財産目録の作成だけで依頼を受ける弁護士というのは少数です。

また、遺産内容が複雑な場合は、財産目録の作成をした後の遺産分割などの手続きについてもきちんとしておいたほうが、その後の紛争予防にも役に立ちます。

相続が発生し、遺産分割をしたいが相続人の間で話し合いができないという場合や、特定の相続人にとって不利な遺言書などがありもめ事になりそうな場合などは、財産目録の作成も含めて根本的な事件の解決を弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士に財産目録の作成を依頼するメリットは以下の通りです。

相続財産の調査は、被相続人名義の口座について金融機関に問い合わせをしたり、固定資産税課税台帳を閲覧したり、慣れない手続きが必要となってくる場面が多々あり、非常に面倒です。

財産調査なども含めて弁護士に依頼することで、このような手続きはすべて法律事務所の方でやってくれます。

そもそも財産目録の作成を相続人が検討するようなケースでは、不動産や預貯金、有価証券など様々な資産があるため、相続人がすべてを正確に把握することはかなり困難です。

この点、専門家である弁護士などに依頼すれば、弁護士の権限で照会をかけることができ、被相続人の財産について正確な記録を取り寄せることができます。また、相続専門の弁護士であれば、それまで把握できなかった財産についても、弁護士の経験と知恵で見つけ出すこともできるかもしれません。

相続が発生した場合、財産目録の作成だけでなく、相続人の間で遺産分割協議をして遺産を分ける必要がでてきます。被相続人が遺言をしているケースや、その内容に問題があるというようなケースも多く、生前に与えられた利益である特別受益問題など相続人間で話し合いをしても折り合いがつかないということも考えられます。

そのため、財産目録の作成だけでなく、遺産分割などその後の手続きについても弁護士に依頼することをおすすめします。

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財産目録の作成は、遺言書の作成の際や遺産分割の際に必要となるものです。
ただ、目録の作成自体は相続や遺産分割の手続きを円滑に進めるために作成されるものであるため、目録の作成だけを弁護士に依頼するというような場面はあまりないのではないかと思われます。

そのため、もし相続が発生するか、あるいは遺言をするため財産目録を作成したいという場合、その後の相続について手続きを問題なく進めるためにも弁護士に相談し、依頼することをおすすめします。

(記事は2021年9月1日時点の情報に基づいています)

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