目次

  1. 1.そもそも「親等」とは?
    1. 1-1. 配偶者は「0親等」
    2. 1-2. 血族と姻族とは?
    3. 1-3. 民法上の「親族」とは
    4. 1-4. 相続の際に重視される親族の範囲
  2. 2.親等の数え方
    1. 2-1.「血族」の親等
    2. 2-2.「姻族」の親等
  3. 3.親等の数え方を間違いやすいケース
    1. 3-1.内縁関係の場合
    2. 3-2.異母きょうだい、異父きょうだいは2親等
    3. 3-3.離婚した場合の親等の数え方
    4. 3-4.養子も実子と変わらず1親等
  4. 4.まとめ 親等を理解しておくと相続がスムーズに

親等とは「親類関係の遠近を表す数字」です。親等の数字が小さいほど近い親戚であり、数字が大きくなると遠い親戚になります。

親等の数字は「親」や「子ども」などの「世代」を介するごとに1ずつ増えていきます。たとえば親は「本人→親」なので1親等となり、兄弟姉妹は「本人→親→兄弟姉妹」となるので2親等になります。

親世代や子ども世代を介しない「配偶者」には親等がありません。本人と同じ位置づけになります。いわば0親等のようなものです。

親等によって表現できるのは、「血族」と「姻族(いんぞく)」関係です。血族とは自分と血のつながった親族、姻族とは配偶者の親族をいいます。

民法では「親族」の範囲が規定されています。民法725条において、「親族」は「3親等内の姻族」と「6親等内の血族」、「配偶者」とされています。

  • 3親等内の姻族…配偶者の親や祖父母、兄弟姉妹や甥姪など
  • 6親等内の血族…自分の子ども、孫、ひ孫、親、祖父母、曽祖父母、叔父叔母、甥姪、いとこなど

法律上、単に「親族」と表現されている場合、上記の範囲の親戚を表すと考えましょう。

相続をはじめとするさまざまなシーンで「親族の範囲」が問題となります。たとえば扶養義務は「3親等内の親族(民法877条2項)」に及ぶ可能性がありますし、成年後見人の申立人になれるのは「4親等内の親族」です。

相続人は誰になるのか―? 相続で遺産分割に直面すると、相続人の確定から始めないといけません。しかし、中には連絡を取りたくなかったり、行方が分からなかったりする人もいるかもしれません。そのほかにも、不安を感じた人は、一度、弁護士に相談してみてください。

次に、具体的な「親等」の数え方をみてみましょう。

親等は「自分や配偶者」を0として、親世代や子ども世代を介するごとに1つ数字を足して計算します。近い親族であるほど数字が小さく、遠い親族になるほど数字が大きくなっていきます。配偶者の親族である姻族関係の親族についても同じ考え方です。

血族は、自分の親、祖父母、叔父叔母、子ども、孫、甥姪など「血のつながりのある親族」です。「親」や「子ども」など、世代を経ると数字が1増えます。

血族の親等の例を挙げると以下のとおりです。

  • 1親等の血族:父母、子ども
  • 2親等の血族:兄弟姉妹、祖父母、孫
  • 3親等の血族:叔父叔母、甥姪、ひ孫、曽祖父母
  • 4親等の血族:いとこ、祖父母の兄弟姉妹
主な親等の数え方

姻族は、配偶者や義両親、義兄弟姉妹、義理の甥姪など「配偶者と血のつながった親族」です。親等の計算方法は血族の場合と同じです。ただし自分と直接のつながりがないので「配偶者を0」として親等の計算をしていきます。

例を挙げてみてみましょう。

  • 1親等の姻族:配偶者の両親
  • 2親等の姻族:配偶者の兄弟姉妹、祖父母
  • 3親等の姻族:配偶者の叔父叔母、甥姪など
  • 4親等の姻族:配偶者のいとこなど

このように「本人と配偶者を0」として、親や子どもなどの世代を介するごとに1親等ずつ増えていきます。血族でも姻族でも数え方が同じなので、自分の親も配偶者の親も同じ親等になります。

姻族だからといって親等が遠くなるわけではないので、注意しましょう。

関連記事:法定相続人とは誰のこと? 対象者の範囲と順位を詳しく解説

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親等の数え方に関しては間違いやすいケースがいくつかあるので、注意が必要です。

配偶者や配偶者の親族について

内縁関係の場合、配偶者や配偶者の親族は親戚ではありません。籍が入っていない以上、姻族関係は成立しないので注意しましょう。扶養義務なども発生しません。

子どもの親等
内縁関係のまま子どもが生まれると、子どもと母親は「1親等」の関係になります。父親との関係については、「認知」が成立していれば1親等となりますが、認知していなければ親族とは認められません。認知が成立しない限り子どもは父親の遺産相続もできないので、留意しましょう。

一方、認知が成立していれば、子どもは父親側の祖父母やきょうだい(子どもにとっての叔父叔母)などとも親族となり、「親等」の関係が成立します。

異母きょうだいとは母親が異なる兄弟姉妹、異父きょうだいとは父親が異なる兄弟姉妹です。たとえば母親が再婚している場合、前婚の子どもと後婚の子どもは「異母きょうだい」となります。このような「半分だけ血のつながっている兄弟姉妹」を「半血の兄弟姉妹」といいます。

異母きょうだいや異父きょうだいの場合でも、両親が同じ兄弟姉妹と親等の計算方法は変わりません。「親世代」を介して兄弟姉妹へ行き着くので「2親等」となります。両親が同じ全血の兄弟姉妹でも片親のみが同じ半血の兄弟姉妹でも、「親等」は同じです。

親が亡くなったときには同じだけの法定相続分が認められます。半血の兄弟姉妹だからといって「親等」が遠くなるわけではないことを知っておきましょう。

関連記事:異母兄弟姉妹の相続分はどのくらい? 遺産分割協議を進める際の注意点も解説

離婚して前婚の際の子どもがいる場合、「親子」の親等計算はどうなるのでしょうか?

離婚しても親等の計算方法は変わりません。親子であれば「1親等」です。たとえ親権者にならなくても、音信不通になっていても「1親等」で「最も近い親族」となります。遺産相続の際には死亡時の家族の子どもと同じだけの相続分が認められるので、間違えないように覚えておきましょう。

養子をとった場合には、どのような親族関係になるのでしょうか?

法律上、実子であっても養子であっても同じ「子ども」という位置づけです。親等計算においても実子と同じく「1親等」となります。遺産相続権についても実子と同じだけの法定相続分が認められるので、間違えないようにしましょう。

扶養義務や成年後見の申立の際など、さまざまな場面で「親等」が問題となる可能性があります。また法律上の「親族」の範囲を知っていると正しく法律を解釈しやすくなるので、ぜひ理解しておいてください。

ただし、親等の計算を自分で行うと、間違えてしまう可能性もあります。遺産相続権が認められる親戚の範囲など、不明点がある場合には専門家に相談してみてください。

(記事は2022年12月1日時点の情報に基づいています)