1.嫁は夫の実家のお墓に入る義務がある?

結婚して夫の戸籍に入ったなら、夫の実家のお墓に入らなければならないのでしょうか?

法律上、そういった決まりはありません。「嫁」だからといって夫と同じお墓、夫の実家のお墓に入る義務はないのでまずは安心しましょう。実家のお墓に入ったり、自分一人のお墓を建立してもらったりもできます。

1-1.夫のお墓に入りたくない場合、遺言書では対応できない!

夫のお墓に入りたくない場合、「遺言書」を書いておけば避けられるのでしょうか? 実は遺言書ではお墓の取り扱いについて指示できません。

確かに遺言書には残された人へ希望を伝える効果はありますが、相続人たちがその内容を守る義務はないのです。遺言書を書いてもお墓についての希望を実現できるとは限らないので注意しましょう。

1-2.遺言書で定められること

一般的に遺言書で定めて有効になるのは以下のような内容です。主に財産に関するものが多いですが、身分関係や遺言執行者の指定なども可能となっています。お墓に関する指定は含まれていません。

・相続分の指定
・遺産分割の指定
・遺贈
・寄附
・遺産分割の禁止
・特別受益持ち戻し免除
・遺言執行者の指定
・認知
・相続人の廃除や取消
・保険金受取人の変更など

2.夫のお墓に入りたくないときの基本的な対処方法

夫のお墓に入りたくないなら、夫や夫の実家と生前に話し合い、理解を求めておく必要があります。何も伝えていなかったら、死後に当然のように夫のお墓に入れられてしまう可能性が高くなるので注意が必要です。

「同じお墓には入らない」という希望を伝えてきちんと理解を得たうえで、希望内容に応じて次に解説するように対応しましょう。

3.実家のお墓に入りたい場合

実家のお墓に入るには、実家の「祭祀主宰者」の許可と理解が必要です。

3-1.祭祀承継者とは

祭祀主宰者とは、その家の中で先祖の供養や法要についてとりまとめる責任者です。お墓や仏壇、家系図などの祭祀財産を承継し、管理する権限を持ちます。

3-2.実家の祭祀主宰者と話をつけておく

実家のお墓を所有、管理するのは実家の祭祀主宰者です。生前に実家の祭祀主宰者と話をして「死亡したときには実家のお墓に入れてほしい」と伝え許可してもらえたら、死後に実家のお墓に入れる可能性が高まります。

自分よりも祭祀主宰者が年上で、死亡するまでに祭祀主宰者が変更されそうな場合、承継者となりそうな人も含めて話をしておくべきです。

祭祀承継者は先代の祭祀主宰者の指定によって決まりますが、指定がなければ地域の慣習によって定まります。それでも決まらない場合には家庭裁判所で指定してもらう必要があります。

4.自分のお墓を作ってほしい、樹木葬にしてほしい場合など

実家のお墓にも入りたくない、自分だけのお墓を作りたい方もおられるでしょう。
たとえば自分一人だけのお墓を建立してほしい、友人と同じお墓に入りたい、樹木葬にしたい、散骨してほしい、永代供養にしてほしいといったケースが挙げられます。

そういった場合には次に説明するような対処をとる必要があります。

4-1.事務委任契約を締結する

自分のお墓を作ってほしい場合や散骨してほしい場合などには、誰かにその手続きをしてもらわねばなりません。簡潔にいえば、「事務委任契約」を締結する必要があります。事務委任契約とは、葬儀の手配や役所への諸届など、さまざまな事務を第三者へ委任するための契約です。お墓の建立や埋葬も委任できます。

つまり、自分の希望する埋葬方法を実現したい場合には、死後に手続きをしてくれる第三者を探して事務委任契約を締結しておく必要があります。天涯孤独で死後の諸手続きをしてくれる家族がいない方なども、よく事務委任契約を利用しています。

4-2.誰に委任すべきか?

お墓の建立や散骨、樹木葬などの事務は誰に委任すればよいのでしょうか?

信頼できる親族のいる方は、そういった人に依頼するのも一つの選択肢です。ただし、配偶者のいる方の場合、親族に委任すると死後に配偶者や義両親と受任者の関係が険悪になるリスクが懸念されるでしょう。

そこで弁護士や司法書士など、資格を持った専門家に依頼するようお勧めします。生前にわざわざ専門家と事務委任契約をしていれば、残された遺族も本人の意思を尊重してくれるでしょうし、専門家であれば義実家に遠慮せずに事務手続を進めやすいからです。

天涯孤独で頼める方がいない場合、死後の葬儀や役所への諸手続などをまとめて委任しておけば安心できるでしょう。

まとめ:状況や希望に合った対応を検討しよう

夫のお墓に入りたくない場合、まずは夫や義実家との話し合いが必要です。そのうえで実家の祭祀主宰者と話し合ったり専門家と事務委任契約を締結したりして、対処していきましょう。

その方やご自身の置かれた状況やご希望内容によってとるべき対応方法が変わってくる可能性があるので、まずは一度弁護士に相談してみてください。

(記事は2021年3月1日時点の情報に基づいています)