目次

  1. 1. 大切なのは、最後まで自分の意思どおり生活できること
  2. 2. 遺言書を作成することもその一つ
  3. 3. 判断能力がなくなった際の金銭管理―成年後見制度もあるが…
  4. 4. 任意後見契約という選択肢
  5. 5. 任意後見契約と同時に、委任契約や死後事務委任契約も
  6. 6. 最後まで自分の意思どおり生活するために

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どんな人でも、将来年をとれば認知症になったり、認知症にはならなくても、物事を判断する力が衰えてきたりすることは当たり前にありえます。物事を判断する力が衰えてくると、それまで自分で判断できていたことを判断できなくなり、自分が望んでいるような生活が送れなくなることがあります。
最後まで自分の意思通りの生活ができるようにするため、自分で判断することができるうちに、将来に備えた準備が必要です。

元気な間にしておくべき将来のための準備として、もっともわかりやすいのは遺言書作成です。
遺言書は、判断能力がなくなれば、作成できなかったり、作成しても無効になってしまったりする可能性があります。そのため、自分の財産をどのように分けるかについては、元気なうちに考えて遺言書を作成しておいたほうがよいでしょう。
遺言書は、元気な間は何度でも書き直すことができ、最終的には一番新しい日付のものが有効になります。一度書いておいて、後々気持ちが変われば、作成し直せばよいのです。

将来、自分で自分の金銭を管理するのが大変になったとき、詐欺にあったり必要のないものを買い込んでしまったりしないように、信頼できる人に代わりに管理してもらう必要が出てきます。
信頼できる管理者を選ぶ手段の一つが「成年後見制度」です。「成年後見制度」は判断力が衰えてから裁判所に頼んで、金銭を管理してもらう後見人を選んでもらう方法です。ただ、判断力が衰えてからでは、自分の財産をどのように管理してほしいかという自分の考えを後見人に伝えることができません。
また、成年後見人を誰にするかは裁判所が決めるので、自分で自分の信頼できる人に金銭管理を頼むことはできません。
さらにいえば、成年後見制度は「金銭を無駄に使わず残す」ことに重点が置かれている制度です。そのため、「体が元気なうちにちょっと贅沢して旅行に行きたいな」「孫が遊びに来たからお小遣いをあげたいな」などと思っても、成年後見人はなかなか許可をしてくれず、「自分のお金なのに思うように使えない」という問題が起きる可能性があります。

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上記のように判断能力がなくなってから行う「成年後見」ではなく、自分で元気なうちに将来のことを決めておく「任意後見契約」という形がお勧めです。
任意後見とは、将来判断力が衰えた場合に備えて、判断力があって元気な今のうちに「将来誰にどのように財産を管理してもらうか」を決めておく制度です。この制度を利用すれば、自分で、将来誰に金銭を管理してもらうか、どのように管理してもらうかを具体的に考えて、将来はその意思通りに進めることができます。
管理してもらう人は、家族でも弁護士でもよいです。その上で、最後まで判断能力が衰えなければ、そのまま自分で金銭管理を続ければよいですし、もしも本当に判断能力がなくなってしまうようなことがあれば、自分が元気なうちに自分で決めたとおりの方法で、信頼できる人に金銭を管理してもらうことができるのです。金銭を管理してもらうようになった後も、成年後見よりも柔軟に、旅行に費用を使ったり孫にお小遣いをあげたりすることができます。

任意後見契約をする際、同時に「委任契約」や「死後事務委任契約」をすることもよくあります。
委任契約は、判断能力を失っているとまではいえないものの、少しずつ衰えてきたことにより、大事なものの保管や自分の財産を自分一人で管理するのが大変になってきたときに、自分の信頼する人に代わりに銀行に行ってきてもらったり、簡単な契約をしてもらったりすることができる制度です。また、任意後見契約は本人が亡くなると効力がなくなるので、亡くなった後の事務を誰かに頼みたい場合は、死後事務委任契約も合わせてしておくと便利です。
死後事務委任契約では、お墓のことや関係者への連絡、葬儀のことなどについて、自分の指定した人にあらかじめ依頼しておくことができます。

今は元気でも、将来何があるかはわかりません。将来どんな状態になっても、自分の思った通りに生活できるように、また、自分の亡くなった後にも自分の意思を貫けるように、遺言や任意後見、死後事務委任など、様々な準備が考えられます。
任意後見や死後事務委任は、おひとりさまの方にとっても、非常に有効な制度です。
それぞれの方に合ったご準備については、ぜひ専門家に相談されることをお勧めします。

(記事は2020年12月1日時点の情報に基づいています)

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