目次

  1. 1. 仏壇の処分、どんな時にする?
    1. 1-1. 両親が亡くなり、仏壇を受け継ぐ時
    2. 1-2. 実家を売却・解体する時
    3. 1-3. あととりがなく、お寺に永代供養を依頼する時
  2. 2. 仏壇の処分をする上ですべきこと
    1. 2-1. 閉眼供養(魂抜き)
    2. 2-2. 仏壇処分後のご先祖さまの供養
  3. 3. 仏壇処分の5つの方法と費用
    1. 3-1. お寺が引き取る
    2. 3-2. 仏壇店に依頼する
    3. 3-3. リサイクル業者や不用品回収業者に委託する
    4. 3-4. 自分で粗大ゴミや燃えるゴミに出す
    5. 3-5. インターネットのオークションに出品する
  4. 4. 閉眼供養のお布施の費用
  5. 5. 仏壇を処分するにあたっての注意点
    1. 5-1. 親族に相談して理解を得る
    2. 5-2. 菩提寺に処分の理由を話しておく
    3. 5-3. 仏壇の中に大切なものが残っていないか確認する
  6. 6. 仏壇を処分する流れ
    1. 6-1. 処分方法を決める(業者選定、自分でするかなど)
    2. 6-2. 業者と見積もり、日程、運搬方法など確認
    3. 6-3. 閉眼供養(魂抜き)
    4. 6-4. 仏壇の運び出し
  7. 7. 仏壇の処分について、よくある質問
  8. 7. まとめ 自分一人で抱え込まないで

「相続会議」の弁護士検索サービス

私が勤務する仏壇店には、日常的に仏壇の処分に関する問い合わせが寄せられます。その中で分かったこととして、仏壇の処分のタイミングとして多いのは、主に次の3つです。

これまで仏壇を守ってきた両親が亡くなり、いよいよ子があとを受け継がなければならないものの、実家の仏壇が大きすぎて、わが家に仏壇が納まらない。このような人が、仏壇の処分と、新しいコンパクトな仏壇への買い替えを検討します。

実家を売却あるいは解体する時も、必然的にいまある仏壇を処分しなければなりません。

おひとり様や子のない世帯では、仏壇を守りつづけることは現実的に困難です。この場合、自身が元気なうちにお寺に永代供養を依頼します。家の仏壇を処分して、その中で祀られていたご先祖さまの位牌をお寺に預けます。

「終活」として、仏壇の処分を考えている人もいるでしょう。終活の進め方について知りたい方は、下記の記事を参考にして下さい。
【関連】終活とは? 「終活やることリスト」10選! 始めるタイミングや相談先も解説

仏壇の場合、モノである仏壇をただ解体処分すればいいというものではありません。なぜなら、仏さまやご先祖さまが存在していることを前提に祀られるものだからです。これら目に見えない「霊魂」の尊厳をきちんと保つ形で処分を進めなければなりません。

仏壇の処分を検討する際には、次のことをきちんと考えましょう。

  • 閉眼供養(魂抜き)
  • 仏壇処分後のご先祖さまの供養

順に詳しく解説いたします。

仏壇を処分する際は、僧侶を招いて「閉眼供養」を行います。仏壇に宿っている仏様の魂を抜く儀式で、「魂抜き」や「性根抜き」などとも呼ばれます。

これまで家族を守ってきた本尊(仏さまのこと)に対し、役目を終えたことへの感謝の儀式と捉えられます。

こうした儀式を経ずに仏壇を処分することはいわゆる「バチあたり」につながると見なされ、実際に多くの業者は閉眼供養をしていない仏壇の引き取りを拒否しています。

また、霊魂の存在を否定する浄土真宗では閉眼供養は不要だという声も聞きますが、実際の現場では、浄土真宗でも同じような儀式を執り行います。浄土真宗の場合、「遷仏(せんぶつ)法要」や「遷座(せんざ)法要」と呼ばれ、「魂を抜く」のではなく、本尊に移動してもらうために行われます。

供養とは、亡き人やご先祖さまとのつながりを確認することですから、仏壇の有無に関わらず営まれるものです。仏壇を処分した後のご先祖さまの供養についてきちんと考えておかないと、「自分のしていることはバチあたりではないか」と、心の中に不安や違和感を残しかねません。

また、仏壇の中には、亡き人そのものとされる位牌が並べられており、これらも粗末には扱えません。新しく買い替えた仏壇の中に祀るか、お寺に位牌を預けて永代供養してもらうかのいずれかとなります。

親が亡くなると、仏壇の処分のように、やるべきことがたくさん生じます。その最たるものが、相続手続きです。一歩間違えると、相続は「争続」となり、親族と疎遠になる恐れもあります。もし相続に悩みがあるのであれば、以下の記事を参考にしてください。

お仏壇の処分には、次の5つの方法が挙げられます。

  • お寺が引き取る
  • 仏壇店に依頼する
  • リサイクル業者や不用品回収業者に委託する
  • 自分で粗大ゴミや燃えるゴミに出す
  • インターネットのオークションに出品する

いずれの方法も、事前に閉眼供養を済ませていることが前提となっていますので、その点は注意して下さい。費用とあわせてご紹介いたします。

ごく稀ですが、閉眼供養の際にお寺が仏壇を持ち帰ってくれることがあります。菩提寺と檀家の関係性がしっかり築けていたり、住職ひとりで持ち運べる大きさの時などに限られるようです。

費用はそのつど異なります。すでにお布施を納めているため、引取そのものは無料で構わないとするケースもあれば、感謝を込めて引き取り分をお布施に上乗せしてもよいでしょう。

最も多く選ばれている方法が、仏壇店への依頼です。なによりも仏壇仏具のプロなので、扱いもスムーズで、安心して任せられます。仏壇以外にも、仏壇の中や周辺で使う仏具も引き取ってもらえます。

また、仏壇店は、お寺ともしっかりとしたつながりを持っているため、万が一閉眼供養をお願いするお寺が見つからない場合も僧侶の派遣や紹介も手がけてくれます。

費用相場は、仏壇の大きさや仏具の量によって変動しますが、出張費、処分費用などを含めて2万円~10万円程度です。

リサイクル業者や不用品回収業者が引取処分に応じてくれることもあります。中には仏壇の引き取り処分を専門とする引取業者もあります。

中古の仏壇は買い手が少ないことから、リサイクル品としての需要は期待できませんが、高級仏壇に用いられている希少な木材(黒檀や紫檀など)や、金箔の再利用を目的として引き取る業者は少なくありません。

ただし、一般的な家財や家電と異なり、仏壇は扱いが難しく、すべてのリサイクル業者や不用品回収業者が他の処分品と同様に引取に応じてくれるとは限りません。

閉眼供養を行っていれば、その仏壇はただの木の箱に戻ります。したがって、自治体が行う回収サービスを利用し、粗大ゴミとして処分することもできます。価格は自治体や仏壇の大きさによって異なりますが、数百円~数千円程度で済みます。近所の目が気になる場合、自治体のごみ処理施設に直接持ち込む手もあります。

手間ですが、自分自身で解体してしまえば、燃えるごみとして無料で処分することもできます。ただし、大きな仏壇の場合、解体作業そのものが面倒ですし、自身の手で仏壇を解体すること自体に心理的抵抗を感じる人もいるでしょう。

インターネットのオークションに出品することで、もしかしたらお金を得られるかもしれません。しかし、そもそも中古仏壇の買い手は限りなく少数で、ほとんど期待できないというのが実情でしょう。

また、仮に売れるにしても、いつ買い手がつくかも分かりません。不動産の売却と合わせて仏壇の処分を検討されている方は、一日でも早く仏壇を処分したいでしょうから、ネットオークションへの出品は現実的ではありません。

弁護士への相続相談お考え方へ

  • 初回
    無料相談
  • 相続が
    得意な弁護士
  • エリアで
    探せる

全国47都道府県対応

相続の相談が出来る弁護士を探す

上記で紹介した処分費に加え、閉眼供養にも費用がかかります。閉眼供養は、お寺へのお布施として納めます。費用相場は1万円~5万円です。

お布施はそもそも納める側の「気持ち」を形にしたものなので、定額ではありません。地域性、お寺の格式、お寺と檀家の関係性などによっても変動するため、もっと具体的に金額を知りたい方は、直接お寺に訊ねてみましょう。

お布施袋に紙幣を納めて、閉眼供養の際に直接手渡します。表書きは「御布施」と書きます。あわせて「御車代」を用意するとより丁寧な対応となりますが、絶対に必要なものではありません。

仏壇の処分にあたっては、無用なトラブルを生み出さないためにも、次の点に注意しましょう。

仏壇は、家族だけでなく親戚もお参りする場所です。だからこそ、大切な親族には事前にこちらの想いや事情を伝えて、理解を得ておきましょう。相談せず処分すれば、「聞いてない!」と怒る親族が現れる可能性もあります。

菩提寺がある場合、なぜ仏壇の処分をするのかを事前に話しておきましょう。これまで継続的に先祖の供養をしてきたお寺だからこそ、よきアドバイスをもらえるかもしれません。

また逆に、仏壇の処分がそのまま離檀(檀家関係の解消)につながるケースもあります。その場合、何も伝えずに仏壇を処分することが離檀トラブルに発展するおそれもあります。

仏壇の引き出しの中には、お線香やローソク、仏具などのほかに、家族にとって大切なものが保管されていることが少なくありません。実際の現場でも、ご先祖さまの写真や手記、さらには遺言書や証書類、古いお金が出てくるのはよくあることです。

こうした大切なものを業者が間違って引き取ってしまわないよう、あらかじめ中を確認しておきましょう。

仏壇を処分する流れは、次の通りです。

仏壇をどのように処分するかを決めます。業者に依頼する場合は、複数の業者を比較するとよいでしょう。

価格が安いことはもちろん重要ですが、大切な仏壇をいかに丁寧に引き取ってくれるかなど、信頼のおける業者かどうかの見極めが大切です。

もしも自身で解体処分する場合、サイズや分別方法など、引取の際の条件や注意点を事前に自治体に確認しておきましょう。

業者のスタッフに現地に来てもらい、仏壇を運搬する日程、方法を決めます。費用についても確認しましょう。場合によっては電話やメールでのやりとりで済むこともあります。

僧侶を招いて閉眼供養のお経をあげてもらいます。所要時間は10分から20分程度です。

これまでお世話になった仏壇への最後の供養です。事前にお花やお供え物などを並べて、僧侶を迎えましょう。

なお、閉眼供養と仏壇の引き取り日は必ずしも同日でなくても構いません。僧侶と業者の都合が合わない時は、予め閉眼供養をしてもらい、日を改めて業者に来てもらいます。

業者がやって来て仏壇を運び出します。予め貴重品や手元に残しておきたいものを分別しておきます。費用は、作業終了とともにその場で支払うのが基本です。

私が仏壇店で勤務する中で、仏壇の処分に関してよくいただく質問にお答えします。

Q. 位牌や本尊も一緒に処分してもいい?

魂抜きの済んだ本尊や位牌であれば、仏壇と一緒に処分できます。実際は、まずこれらをどうすべきかを魂抜きをした僧侶に訊ねた上で、僧侶がお寺に持ち帰るか、そうでなければ業者が引き取ります。

Q. 仏壇はそもそも必要?

亡き家族やご先祖さまとのつながりを確認する場として、仏壇を自宅にお祀りすることを推奨します。最近では仏壇のかたちもさまざまで、コンパクトな仏壇や、宗派を問わない祈りの場所として、故人の位牌や写真に対して礼拝する人も少なくありません。

Q. 仏壇の処分、魂抜きしないとどうなる?

多くの業者は、魂抜きをしていない仏壇の処分には応じません。とは言うものの、お客様が「魂抜きをした」と申告すれば、業者側はその真偽を確かめるすべはなく、受け入れるしかないのが実情です。

魂抜きは、これまでご先祖さまを守ってきてくれた仏さまや仏壇という場所に対しての感謝を表明する儀式であり、心理的区切りとなる儀式です。

魂抜きをするしないの最終的な判断は家族に委ねられますが、あとからネガティブなことが起きた時に、「あの時、魂抜きをしなかったからかな…」と根拠のない不安に苛まれて後悔するようなことがないよう、きちんと魂抜きをしておくことをおすすめします。

Q. 仏壇は相続財産になる? 

仏壇はお墓と同様、相続財産ではなく、「祭祀財産」に該当します。祭祀財産を承継したとしても、遺産分割時に他の遺産の取り分が減ることはありません。相続放棄をした場合でも、祭祀財産を承継できます。

Q. 仏壇は誰が引き継ぐべき?

かつての民法では、家督を継ぐ長男が仏壇を引き継ぎましたが、戦後の新民法(第897条)では、仏壇をはじめとする祭祀財産の承継者は、次のように定められています。

(1)亡くなった人による指定
(2)慣習に従って決める
(3)家庭裁判所が指定する

亡くなった人が指定していれば、その人が承継者になります。指定がない場合は「慣習」に従い、故人との続柄によって決まることが多いです。しかし、「慣習」といっても地域や家ごとに違いますので、「家族や関係者の中で合意が取れた人」と受け取ればよいでしょう。ですから、必ずしも長男や男性である必要はありません。

たとえば、長男が海外移住していて両親の介護や医療を見てきた次男が仏壇を引き継ぐ、娘しかいないため長女が自身の実家の仏壇を守っていく、といったケースも珍しくありません。

「慣習」が定かでなく決められない場合は、家庭裁判所に対して、祭祀承継者を定める審判を申し立てることができます。

Q. 仏壇の処分はバチあたりにならない?

跡取りがいない、物理的に仏壇を置けないなど、やむを得ない事情で仏壇を処分するのは仕方ないことです。大切なのは、仏壇処分に対する心構えや、その後のご先祖さまとの向き合い方ではないでしょうか。

大きい仏壇を小さいものに買い替えて供養を継続していく。またはあととりがいないからお寺に永代供養をお願いする。このように、仏壇の処分後もご先祖さまをしかるべき形で供養するのであれば、それはバチあたりどころか、仏壇を無縁化させないという、子孫としての責務を全うしているすばらしいことだと考えます。

だからこそ、亡き人やご先祖さまの尊厳を保つ形で仏壇の処分を進めてほしいと思います。

仏壇処分の方法、費用、流れ、そして考え方について解説してきました。

仏壇処分は決してバチあたりな行為ではありませんが、「バチ」だと感じてしまう心の違和感をきちんと引き受けて、浄化してくれるのが僧侶の役割です。そして安心できる業者に引き取ってもらうことで、お仏壇に関する迷いや違和感がきれいに解消されることでしょう。

これまでご先祖さまが守ってきた仏壇を自身の手で処分するわけですから、自分ひとりで抱え込むことなく、僧侶や業者など、専門家の力を借りることをおすすめいたします。

(記事は2023年7月1日時点の情報に基づいています)

「相続会議」の弁護士検索サービス