目次

  1. 1. 遺産5000万円に相続税はかかる? 判断のポイントを確認
    1. 1-1. 基礎控除額以下か
    2. 1-2. 「遺産5000万円」は正しいか
  2. 2. 遺産5000万円に相続税はいくらかかる?
    1. 2-1. 相続税の正確な計算方法とは
    2. 2-2. 相続税をざっくり知るなら「早見表」
  3. 3. 相続税がかかる財産・かからない財産
    1. 3-1. 相続税がかかる財産
    2. 3-2. 相続税がかからない財産
  4. 4. 相続税を抑える方法
    1. 4-1. 小規模宅地等の特例を使う
    2. 4-2. 控除額を正しく確認する
  5. 5.相続税がかかるときの手続きと期限
    1. 5-1. 相続税の計算の前の手続き
    2. 5-2. 相続財産の評価
    3. 5-3. 相続税の計算
    4. 5-4. 相続税の申告
    5. 5-5. 相続税の納付
  6. 6. まとめ|相続税は税理士に相談した方が安心

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遺産5000万円で相続税がかかるのでしょうか。ここでの判断の基準は次の2つになります。

昔は遺産が5000万円だと相続税はかかりませんでした。相続税がかからない目安である基礎控除額が「5000万円+(1000万円×法定相続人の数)」だったからです。しかし税制改正で2015年1月1日以降、基礎控除額は次の金額となりました。

相続税の基礎控除額=3000万円+(600万円×法定相続人の数)

遺産が5000万円なら、法定相続人が4人いれば相続税がかかりません。しかし3人以下だと相続税がかかります。

相続税基礎控除の範囲のイメージ図
相続税基礎控除の範囲のイメージ図

「遺産が本当に5000万円なのか」も重要です。相続税の計算の基準となる金額は財産の売買価格ではありません。原則、相続や贈与で取得した財産の評価方法について国税庁が示した「相続税財産評価基本通達」に沿って評価した金額です(後述)。

また見落としている財産があるかもしれません。財産をもれなく計上し、かつ正しく評価していることが大切です。

遺産5000万円だと相続税はいくらになるのでしょうか。計算方法を確認しましょう。

相続税は、個別に引き継いだ財産から直接計算するものではありません。「法定相続分で相続した」と仮定して仮の相続税を計算し、合計します。それを実際の相続分に振り分けていく流れです。

【関連】【保存版】7ステップの相続税の計算式 税率は個人が相続した財産額で決まらない

相続税を正しく計算するのは大変です。できれば、今すぐざっくりとした金額を知りたいもの。そういうときは、早見表を使うといいでしょう。遺産全体の金額と法定相続人の数から、おおよその金額がわかります。下の表は、相続人が配偶者と子の場合の相続税の早見表です(法定相続分で相続し、配偶者控除を適用したとします)。

相続人が配偶者と子の場合の相続税の早見表
相続人が配偶者と子の場合の相続税の早見表

上の早見表から、遺産が5000万円で法定相続人が配偶者と子1人の場合、相続税は40万円になることがわかります。配偶者と子2人の場合は相続税10万円、配分者と子3人以上の場合には相続税は0円です。

下記の「相続会議」サイトのシミュレーションツールを使えば、一次相続と二次相続両方のおおよその相続税額を把握できるのでお勧めです。
【関連】相続税計算シミュレーション

相続税を計算するにあたっては、相続税がかかる財産とかからない財産があるので、よく確認しましょう。

相続税がかかるのは、次のような財産です。

  • 相続や遺贈で取得した財産(預貯金、不動産、有価証券、美術品など)
  • みなし相続財産(死亡保険金や死亡退職金、個人年金の受給権など)
  • 相続時精算課税制度で生前贈与された財産(年110万円の基礎控除あり)
  • 死亡日以前7年以内に相続人が被相続人から贈与された財産

なお、相続人が被相続人から贈与された財産については、2023年度の税制改正で、死亡日以前「3年」以内から「7年」以内に変更となりました。2024年1月1日以降の贈与から段階的に期間が延長され、2031年1月1日からは完全に7年間の加算になります。

また、相続時精算課税制度に2024年から新設された年間110万円の基礎控除を使って贈与された財産には、贈与税も相続税もかかりません。

【関連】生前贈与は亡くなる7年前まで相続税対象に 実質増税への対応策も解説
【関連】相続時精算課税制度とは?【改正内容を図解】年110万円非課税 2500万円まで贈与税もかからない

次のようなものには相続税はかかりません。

  • 宗教的な財産
  • 死亡保険金・死亡退職金の非課税枠

墓地や仏壇・仏具など、日常礼拝している宗教的な財産に相続税がかかりません。ただし、投資目的や商売目的で所有しているものは除きます。

また、死亡保険金・死亡退職金それぞれのうち、相続人が受け取ったものについては「500万円×法定相続人の数」まで相続税がかかりません。

その他、厚生年金や国民年金などの遺族年金 は相続税がかかりません。公的年金のうち未支給のものは、相続人固有の権利にもとづいて請求すべきものであるため、相続財産ではありません。また、運転免許や国家資格は、個人に専属するものなので相続の対象から外れます。

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相続税を抑える方法には主に次の2つがあります。

小規模宅地等の特例とは、被相続人の不動産を相続したときに、その宅地の評価額を下げる制度です。自宅の土地なら330㎡を上限に80%減額できます。この特例を使うなら、相続税の申告書の提出が必要です。

【関連】小規模宅地等の特例 評価額を引き下げ相続税節税 適用条件を解説

最終的な納税額は、個々人の納税額から控除額を差し引いて算出します。主な控除として次のようなものがあります。

  • 贈与税額控除(死亡日以前の一定期間内〈*〉に相続人が贈与された財産にかかる贈与税)
  • 配偶者の税額軽減(相続税の申告が必要です)
  • 未成年者控除
  • 障害者控除
  • 相次相続控除
  • 贈与税額控除(相続時精算課税制度で生前贈与された財産にかかる贈与税)

この他、外国税額控除や医療法人持分税額控除額があります。こういった控除は、相続人や受遺者それぞれの事情に合わせたものです。つまり、相続人それぞれが控除の条件に当てはまるかどうかを理解しないと、控除もれで余計な相続税を納めることになるので注意が必要です。

〈*〉2023年までに行った贈与については「3年」、2024年1月1日以降の贈与については「7年」以内が対象となります

相続財産の正しい把握や、相続税の計算は複雑です。相続に強い税理士に相談すれば、その手間も省けますし、申告ミスも防げます。また適切に節税してもらえる可能性もあります。下記の記事では、相続に強い税理士の選び方を説明していますので参考にして下さい。
【関連】相続に強い税理士はどう探す? 選び方のコツと注意点を解説

相続税がかかるときは10カ月以内に申告と納税が必要です。次の順に行います。

相続税の計算の前に、次の3つの準備が必要です。できるだけ早めに着手します。

  • 遺言書の捜索・検認
  • 相続人の捜索…前妻の子や養子などがいないかどうかを戸籍で確認
  • 相続財産の確認…現金や預貯金、不動産だけでなく借金の有無も確認

遺言書がある場合は、その内容通りに遺産を分けます。遺言書がない場合は、上記の準備が済んだ後で、遺産分割協議を行います。この協議は「遺言の指定のない財産をどう分けるか」を、相続人同士が話し合うものです。話し合いが完了したら遺産分割協議書を作成します。

相続税は、相続税財産評価基本通達にしたがって評価した金額を基準に計算します。そのため、それぞれの財産について財産評価が必要となります。

【関連】「財産評価基本通達」とは 相続税申告の評価の基本 最高裁判決で話題の例外規定も解説

財産評価を行った後は相続税の計算です。上述したように、相続人・受遺者全員が受け取った財産をすべて合計した後「法定相続人が法定相続分で相続した」と仮定して仮の相続税額を算出した後、実際に相続した財産額で仮の相続税額を按分します。

相続税を計算して申告書を作成したら、申告書の提出です。相続人・受遺者それぞれが、被相続人の死亡直前の住所地を管轄する税務署に提出します。期限は相続開始を知った日の翌日から10カ月以内です。

なお、未分割でも期限内に申告しておいた方がいいでしょう。「法定相続人が法定相続分で相続した」と仮定していったん申告し、遺産分割協議がまとまったら、申告をやり直すことができます。

相続税の納付も申告書の提出期限と同じく10カ月以内です。原則、現金で一括納付しなくてはなりません。なお、特定の相続人が納めていないと、他の相続人が代わりに納付することになります。

遺産が5000万円の場合を例に、相続税がかかるのかどうか、かかるとすればいくらになるのかなどについてみてきました。自分で判断することもできますが、正確な計算には手間がかかり、簡単ではありません。また、財産を見落としているかもしれません。一人で抱え込むより税理士に相談した方が安心です。

(記事は2024年2月1日時点の情報に基づいています)

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