目次

  1. 1. 不動産取得税とは
  2. 2. 不動産取得税が課税されるケース
  3. 3. 不動産取得税と贈与
  4. 4. 不動産取得税の計算方法と軽減措置の要件
    1. 4-1. 基本的な計算式
    2. 4-2. 軽減措置が適用される要件
  5. 5. 生前贈与の事例で見る不動産取得税と軽減措置
  6. 6. 不動産取得税の軽減措置の適用を受けるための手続き
  7. 7. まとめ

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はじめに、不動産取得税の基本を理解しておきましょう。不動産取得税とは不動産を取得した際に払う税金のことです。建物と土地のそれぞれに課税されます。この税金が課税されるのは「取得の時点」の1回だけです。新たな不動産の持ち主となった人が納めることになります。

不動産取得税は取得したのが有償か無償かに関係なくかかります。また、登記がされていなくても取得したのであれば納税義務が生じます。さらに、売買契約の解除などにより不動産が取得者から元の持ち主の手元に戻るとしても、不動産取得税を納めなくてはなりません。

ただし、相続や包括遺贈、相続人への特定遺贈による不動産の取得には不動産取得税はかかりません。公共用・公益目的の不動産の取得、公共事業など地方自治体の事情による不動産の取得の場合も、税金がかからないことがあります。また、不動産の価格が一定金額以下だと税金はかかりません。

原則、不動産取得税は申告が必要ですが、仮にしなくても登記後半年くらいで納税通知書が届きます。通知書に記載された期限までに納税しなくてはなりません。

不動産取得税がかかるのは、主に次のような理由で不動産を取得したときです。

  • 売買
  • 交換
  • 建築(新築や増改築)
  • 贈与

以下では、不動産を主に贈与で取得した際の不動産取得税について解説します。

不動産の贈与であれば原則、不動産取得税がかかります。夫婦間贈与の特例や相続時精算課税制度など、贈与税の優遇制度を利用した不動産贈与で贈与税がかからない場合であっても、不動産取得税はかかります。ただし、後述するように、一定の要件を満たしていれば、別途不動産取得税の軽減措置を受けることができます。

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不動産取得税は原則、次の算式で計算します。税率はいずれも2024年3月31日までに取得した分に適用されます

  • 土地及び住宅用の建物の不動産取得税=課税標準額×税率3%
  • 住宅用以外の建物の不動産取得税=課税標準額×税率4%

この算式で用いられる課税標準額とは、次の価格から特別控除額を差し引いた金額を言います。

  • 新築や増改築した建物…法律に従って評価、決定した価格
  • 売買・交換・贈与等で取得した建物と土地…固定資産課税台帳に登録された価格

不動産の課税標準額≒固定資産税評価額」と考えて差し支えありませんが、新築と増改築については固定資産税評価額よりも若干高くなります。 また、宅地や宅地と同等の評価がつく土地を取得した場合、課税標準額は上記価格の半分になります(2024年3月31日まで)。

固定資産税評価額は取得した不動産を管轄する各都道府県の市町村の役所(東京都23区は都税事務所 )に備え付けてある固定資産課税台帳で確認できます。ただし通常、縦覧は毎年4月1日から5月31日までしかできません。また、台帳を見られるのは固定資産税の納税義務者本人や相続人など一部の人に限られます。それ以外の人が見るには委任状が必要です。

不動産取得税は取得した物件が住宅用だと安くなります。新築や増改築で住宅を購入すると「建築または購入価格-特別控除額」が課税標準額となります。

特別控除額は住宅が新築や増改築なら最大1200万円です。新築住宅が長期優良住宅なら最大1300万円が控除額になります(2024年3月31日まで)。この他、耐震基準に適合する中古住宅を取得者の自宅用に取得すると、築年数によって最大1200万円の特別控除が適用されます。ただし、新築・増改築・中古のいずれも面積要件を満たさなくてはなりません。

特別控除の対象である住宅を取得すると、敷地にも軽減措置が適用されます。次のいずれか多い金額が本来の納税額から差し引かれるのです。

  • 4万5000円
  • (土地1㎡あたりの価格(※))×(課税床面積×2(200㎡が上限))×3%
    ※土地1㎡あたりの価格は「不動産価格×1/2÷土地の面積」

この制度は耐震基準に適合する中古住宅の敷地の取得についても適用されます。ただし、新築・中古いずれについても、土地の取得と住宅の新築・取得の間が1年から3年とそれほど開いていないことが求められます。

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ではここで生前贈与された不動産が軽減措置でどれだけ節税できるかを見てみましょう。

生前贈与の不動産が軽減措置の適用対象となる中古住宅1500万円(延床面積150㎡)と敷地1000万円(面積250㎡)で、受贈者が取得後住むものを例に挙げます。

【軽減措置の適用前】
〈中古住宅〉
1500万円(課税標準額)×3%=45万円

〈住宅の敷地〉
1000万円×1/2(課税標準額)×3%=15万円

【軽減措置の適用後】
〈中古住宅〉
(1500万円-1200万円)×3%=9万円

居住用中古住宅として不動産取得税の軽減措置を受けられるので、住宅価格1500万円から1200万円(最大額の場合)を控除した額に、住宅用の税率3%を乗じた金額が納税額となります。

〈住宅の敷地〉
1000万円×1/2÷250㎡×200㎡(※)×3%=12万円≧4万5000円 ∴12万円
(※150㎡×2=300㎡≧200㎡ ∴200㎡)
15万円-12万円=3万円

まず、土地1㎡あたりの価格を計算します。土地の価格1000万円の半分の値を土地の面積で割るので、2万円となります。課税床面積150㎡を2倍すると上限の200㎡を超えてしまうので、ここでは1㎡あたりの価格2万円に200㎡を乗じ、さらに3%を乗じると12万円となります。この額と4万5000円を比較して大きい方の金額、つまり12万円が軽減税額となります。これを本来の納税額15万円から引いた金額3万円が軽減措置適用後の納税額となります。

軽減措置を適用した結果、住宅分は36万円、敷地分は12万円節税できました。

最初に不動産取得税申告書を期日までに管轄の自治体に提出しなくてはなりません。期日は自治体ごとに異なります。東京都23区は取得後30日以内 ですが神奈川県は10日以内 です。申告書の提出後、軽減措置の適用を申請し、還付を受けるのが基本的な流れとなります。

生前贈与でも軽減措置を上手に使えば不動産取得税の負担を減らすことができます。ただ、制度は自治体ごとに異なります。活用する際は管轄の市町村の役所や都道府県税事務所に確認しましょう。

不動産取得税は、有償か無償かに関わらず、不動産を取得した人が納める税金で、生前贈与も例外ではありません。ただし、軽減措置を上手に使えば不動産取得税の負担を減らすことができます。

不動産取得税の軽減措置を活用することでどのくらい節税できるのか、自治体への申告はどうすればいいのかなど、迷うことがあれば、まずは税理士など専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

(記事は2022年12月1日時点の情報に基づいています)

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