目次

  1. 1. 戸籍謄本とは
    1. 1-1. 現在の正式名称は「戸籍全部事項証明書」
    2. 1-2. 戸籍謄本の見本
    3. 1-3. 戸籍謄本と戸籍抄本の違い
    4. 1-4. 戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本の違い
  2. 2. 戸籍謄本の記載事項
  3. 3. 戸籍謄本の取得方法
    1. 3-1. 戸籍謄本が必要になる手続き|何通くらい必要?
    2. 3-2. 相続で戸籍謄本が必要な手続き
    3. 3-3. 相続以外で戸籍謄本が必要な手続きの例
  4. 4. 法定相続情報一覧図は戸籍謄本の代わりになる
  5. 5. 戸籍集めを依頼できる専門家
  6. 6. まとめ|相続手続きの戸籍集めは司法書士に相談を

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戸籍謄本とは、個人の身分事項が記載された「戸籍簿」の写しです。戸籍簿には出生や結婚、死亡など個人の一生が記録されています。

また、戸籍簿は役所で保管されており、本人などが役所へ申請すると戸籍謄本を発行してもらえます。住民票には現住所が記載されていますが、戸籍謄本には本籍地と身分事項が書かれているという違いがあります。

相続が発生すると、主に以下のようにさまざまな場面で戸籍謄本が必要になります。

戸籍謄本が必要となる相続手続きの例

  • 相続人調査
  • 不動産の名義変更
  • 預貯金払い戻し
  • 株式名義変更
  • 車の名義変更
  • 相続税申告
  • 生命保険の請求

実は戸籍謄本というのは少し古い呼び方です。現在は多くの役所で戸籍が電子化されているので「戸籍全部事項証明書」が発行されるのが一般的です。

ただし、「戸籍謄本」といったほうがわかりやすいので、今でも戸籍全部事項証明書を含めて「戸籍謄本」と呼ばれるケースがよくあります。

なお、戸籍謄本と戸籍全部事項証明書は同じものです。戸籍の電子化以前のものが戸籍謄本、電子化後のものが戸籍全部証明書と理解しましょう。

以下は、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の見本です。戸籍謄本には、同じ戸籍内の全員の身分事項が記載されています。

戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)のイメージ図。戸籍謄本には、同じ戸籍内の全員の身分事項が記載されています
戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)のイメージ図

相続で必要となる戸籍謄本などの必要書類の取得漏れがあると手続きが滞ってしまいます。手間を省いて確実に進めるためには司法書士に依頼するとよいでしょう。

戸籍謄本と似た書類に戸籍抄本があります。

戸籍謄本には、同じ戸籍内の全員の身分事項が記載されていますが、戸籍抄本には、同じ戸籍内の人のうち、特定の個人の身分事項のみが記載され、それ以外の人の情報は省かれています。たとえば自分だけの分の証明書が必要な場合には戸籍抄本で足ります。

なお、戸籍の電子化以降、戸籍抄本の正式名称は「戸籍一部事項証明書」となっています。

戸籍謄本に似た言葉に、除籍謄本や改製原戸籍謄本もあります。

除籍謄本とは、戸籍内に誰もいなくなった戸籍の写し(謄本)です。結婚や死亡などによって戸籍内に誰もいなくなったら除籍謄本(除籍全部事項証明書)が交付されます。戸籍謄本は「戸籍簿」の写し、除籍謄本は「除籍簿(戸籍内に誰もいなくなった場合に作成される)」の写しとも言えます。

戸籍は法改正により様式が変更されたことが何度もあります。改められる前の戸籍(古い戸籍)の写しのことを「改製原戸籍謄本」と言います。

相続の際には被相続人(以下「亡くなった人」)に関する戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本のすべてを集める必要があります。

【関連】除籍謄本とは? 取得方法や戸籍謄本との違い、必要となる場面を解説

戸籍謄本には以下のような事項が記載されます。

  • 氏名
  • 出生年月日
  • 戸籍に入った原因及び年月日
  • 実父母の氏名や実父母との続柄
  • 養子であるときは、養親の氏名や養親との続柄
  • 夫婦については、夫や妻である旨
  • ほかの戸籍から入った人については、元の戸籍の表示
  • 届出や申請の受付年月日、事件の本人でない者が届出または申請をした場合には、届出人または申請人の資格、氏名(父または母が届出人または申請人であるときは、氏名を除く)
  • 報告の受付年月日と報告者の職名
  • 請求や嘱託、証書もしくは航海日誌の謄本の受付年月日
  • ほかの市町村長や官庁から受理した届書、申請書その他の書類の送付を受けた場合には受付年月日やその書類を受理した者の職名
  • 戸籍の記載を命ずる裁判確定の年月日

戸籍謄本は基本的に本籍地の市区町村役場で取得できます。窓口へ行くと交付請求できますが、郵送での請求やマイナンバーカードを利用したコンビニ交付も可能です。

なお、コンビニ交付は対応していない市区町村もあるので、詳細は個別に確認しましょう。

【関連】戸籍謄本を郵送で取り寄せる方法 必要書類や申請する手続きの流れを紹介

戸籍謄本が必要になるのは、不動産の相続登記や自動車の名義変更、預貯金の相続手続きなどの場面です。

必要な通数は、ケースによって大きく異なります。

基本的に亡くなった人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本類が必要になるので、結婚や離婚を繰り返した人、本籍地の移動を繰り返した人の場合には通数が多くなるでしょう。

また、家族構成(相続関係)が複雑になると子どもや親の戸籍謄本なども必要になる可能性があるので、必要な通数が増える可能性があります。

なお、各相続手続きでは原本還付を受けられるので、戸籍謄本は最低1通ずつあれば手続きに足ります。ただし原本還付申請をしても実際に書類が戻ってくるまでに時間がかかるので、並行して相続手続きを行うために同じ戸籍謄本を複数通取得するケースもよくあります。

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相続で戸籍謄本が必要となるのは以下のような手続きを行う場面です。

相続登記
不動産の名義変更をする際には法務局へ提出しなければなりません。

預貯金の払い戻し
預貯金の払い戻しを受ける際には金融機関へ提出します。

自動車の名義変更
自動車の名義変更等相続手続きをする際にも戸籍謄本が必要です。

株式の名義変更
株式の名義変更をする際にも戸籍謄本が必要です。

相続以外で戸籍謄本が必要な手続きには以下のようなケースが挙げられます。

  • パスポートを申請するとき
  • 本籍地以外の役所へ婚姻届を提出するとき
  • 年金を受給し始めるとき
  • 遺言書を作成するときなど

相続手続きの際、すべての戸籍謄本類を毎回集めるのは大変です。不動産の名義変更や預貯金払戻しなどの相続手続きが多数あって戸籍集めが面倒な場合は「法定相続情報一覧図」を利用すると良いでしょう。

法定相続情報一覧図とは、法務局が発行してくれる身分関係についての証明書です。法務局に戸籍謄本などの必要書類を提出すれば、相続関係を一覧に表した図面(法定相続情報一覧図)の交付を受けられます。

法務局や金融機関などでは、戸籍謄本の束の代わりに法定相続情報一覧図でも申請を受け付けています。そこで法定相続情報一覧図を利用すれば、戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍謄本などの束を各機関に何度も出し直す必要がなくなり、スムーズに相続手続きを進めやすくなるメリットがあります。

相続手続きに際して戸籍謄本類を集めるのは大変な手間になります。自分で取り組むと必要な戸籍類を全部集められず、抜け漏れが生じてしまうケースも少なくありません。そうなると相続手続きが滞ってしまいます。

スムーズかつ正確に戸籍謄本類を取得するには、専門家に依頼するのが得策です。

戸籍集めを依頼できる専門家は、司法書士や弁護士、行政書士などです。特に相続財産に不動産が含まれている場合、後に司法書士へ不動産の相続登記を依頼すると名義変更の手続きが楽になります。

そこで遺産に不動産が含まれている場合には、戸籍集めの段階から司法書士に依頼するとスムーズに進めやすいでしょう。

相続手続きで必要となる戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍謄本は通数が多くなるケースも多く、取得漏れが生じると相続手続きが滞ってしまいます。手間を省いてスムーズに相続手続きを進めるためには専門家に取得を依頼するのが良いでしょう。

司法書士は不動産登記や戸籍調査などの相続の専門家です。戸籍謄本を取得しなければならない場合、まずは一度、相続に力を入れている司法書士に相談して見るようお勧めします。

(記事は2023年3月1日時点の情報に基づいています)

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