「小規模宅地等の特例」で土地の評価額8割減 適用要件には注意が必要
相続について学んでいる朝日さん一家。今週からは相続税の負担を軽減できる制度について、ソーゾク博士に教えてもらいます。初回は自宅や店舗を相続した時に、土地の評価額を大きく下げられる「小規模宅地等の特例」について聞きました。今回記事を監修してくれた「ソーゾク博士」は税理士・不動産鑑定士の井上幹康さんです。
相続について学んでいる朝日さん一家。今週からは相続税の負担を軽減できる制度について、ソーゾク博士に教えてもらいます。初回は自宅や店舗を相続した時に、土地の評価額を大きく下げられる「小規模宅地等の特例」について聞きました。今回記事を監修してくれた「ソーゾク博士」は税理士・不動産鑑定士の井上幹康さんです。
「相続会議」の税理士検索サービスで
自宅の敷地は誰が相続するかで評価額が変わり、払う相続税を減らせると聞いたことがあります。
「小規模宅地等の特例」という制度です。亡くなった親の配偶者や同居していた子どもが相続した場合に土地の相続税評価額が減額され、相続税が軽減される仕組みです。
何のための制度なんですか?
この家と敷地の所有者の一郎さんが亡くなったとします。土地付きの家だと、評価額は高額になる可能性もあり、他の財産の保有状況によっては相続税も相当な金額になります。納税資金調達のため、家を売る選択を迫られるかもしれません。こういった事態を避けるための制度です。
どのくらい負担が軽くなる?
亡くなった人の住宅として使われていた土地「特定居住用宅地等」、亡くなった人の不動産貸し付け以外の事業に使われていた土地「特定事業用宅地等」、亡くなった人の不動産貸し付け用に使われていた土地「貸付事業用宅地等」などがあり、適用要件や限度面積、減額割合が違います。
特定居住用宅地等の土地だと一定条件を満たす人が引き継げば、330平方㍍まで評価額を80%減額できます。
おぉ、知らないと損ね。
ただ適用要件が細かく決まっていて注意が必要です。特定居住用宅地等の場合、①亡くなった人の配偶者が相続する②亡くなった人と同居していた親族が相続し、相続税の申告期限まで売らずに保有し住み続ける③配偶者も同居親族もいない場合、持ち家のない別居親族が相続し相続税の申告期限まで売らずに保有し続ける。この三つのいずれかを満たす必要があります。
特に配偶者以外が相続する時は要件が多く要注意です。③の場合、「持ち家のない」という部分について、相続開始前3年以内に自分や自分の配偶者、3親等内の親族、特別の関係にある一定の法人のいずれかが所有する家に住んでいないこと、及び相続開始時に住んでいた家を過去に自身で所有したことがないことなどの要件を全て満たすことが必要です。
そのほか注意することは?
特例の適用を受けるには所定の書類を添付した相続税の申告書の提出が必要です。そのためには遺産分割の話し合いが済んでいないといけません。判断を誤ると適用が受けられなかったり、軽減額が少なくなったりする恐れもあります。不動産の評価や相続税申告に詳しい税理士の判断を仰ぐなどして確認しましょう。
・特定居住用宅地等 330㎡まで80%
・特定事業用宅地等 400㎡まで80%
・貸付事業用宅地等 200㎡まで50%
(今回のソーゾク博士=税理士・不動産鑑定士、井上幹康さん、構成=相続会議編集部)
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2022年3月1日時点での情報に基づきます)
「相続会議」の税理士検索サービスで