習い事で知り会った女性を相続人にしたい!?

いやぁ私も驚きました。こんな話が実際にあるなんて……。私は「その人がすごいお金持ちだったらシンデレラストーリーじゃない。私がもらってあげようか?」などと茶化してみましたが、ママ友はとても戸惑っています。
そこでまずはMさんに電話をして事情を伺ってみました。

Mさんの話を要約すると以下のようなことでした。

  • 自分はもうすぐ60歳になるが、結婚をしたことがなく今後も結婚するつもりはない
  • 両親は他界しているので、唯一の相続人は姉である
  • しかし姉とは仲が悪く、姉の子どもたちとも折り合いが悪い
  • 自分の死後、一生懸命働いて蓄えた財産が、嫌いな姉の家族のものになることだけは避けたい
  • かわいがっている猫がいて、自分が死んだら優しい人に引き取ってもらいたい。財産はペットを育ててくれる人にもらってほしい
  • 自分には親しい友人があまりおらず、習い事で出会った彼女がとても優しい人なので、財産を受け取ってもらいたい

なるほど、Mさんの気持ちはわかりますが、月に一度だけ習い事で顔を合わせる程度の人から突然「財産をもらってほしい」なんて言われたら、誰だって戸惑いますよね。

しかも、バリバリ働いてきたMさんは、自分名義のマンションやそこそこの額の預金などもお持ちなんです。

ママ友には Mさんから聞いた希望を伝えましたが、「やはりそんなものいただけないので、断ってほしい」と言われ、Mさんに事情を話して納得していただきました。

行き場のない遺産は国に渡る 相続人がいないなら寄付という選択肢も

Mさんの行動はちょっと奇抜でしたが、同じように考えているおひとり様もいらっしゃるのではないでしょうか。かくいう私も、子どもができたのが遅かったため、子どもができるまでは「がんばって稼いだ私の財産が(といってもスズメの涙くらいしかないのですが)、ゆくゆくは弟のものになって、自由に使われてしまうのは、ちょっと腹立たしい」と思っていました。

幸いにも、私は弟の子どもたち(甥っ子・姪っ子)をかわいがっていましたので、「甥っ子と姪っ子に相続させる(遺贈する)」という遺言書を書こうかと思っていたほどでした。遺言書さえ書けば、兄弟姉妹には遺留分がありませんから、弟に財産を相続される心配はありません。

一人っ子でおひとり様、ご両親は既に他界という方の場合は、法律で定められた相続人がいません。この場合、遺言書等がないと、残された相続財産は、まず家庭裁判所が選任した相続財産管理人が整理をすることになります。

整理後に財産が残ると、「法定相続人ではないが財産を相続する権利がある」と主張する人がいるかどうかを確認するため、官報という、国の発行している機関誌に公告(告知)を出します。

遺言書がない場合、事実婚や連れ子など、相続権はないが利害関係があるという方は、この段になって、やっと相続できる可能性が出てくるというわけです。もし、その間に「私が相続します!」という方が現れなかった場合、財産は最終的には国に帰属することになります。

せっかくの財産がこんな風に国のものになるくらいなら、自分で財産の行く先を決めておきたいと思いませんか? お世話になった方に感謝の気持ちとして託すのもいいですし、お気に入りの団体などに寄付をするという選択肢もあります。

ただし、そのためには遺言書が必要です。おひとり様の場合は、せっかく遺言書を書いても見つけてもらえなかったり、遺言書通りに財産を処分してくれる人がいない可能性もあります。心配な場合は、遺言執行者(遺言書通り財産の手続きをする人)を指名した上で遺言書を残しておくといいでしょう。いずれにしても、専門的な手続きですので、相続に詳しい弁護士に相談してください。

(記事は2021年12月1日時点の情報に基づいています)