目次

  1. 1. 遺産分割調停が不成立になるパターンやタイミング
    1. 1-1. 相手とこれ以上話し合っても合意の見込みがない
    2. 1-2. 相手が出頭してこない
  2. 2. 遺産分割調停が不成立になったあとの流れ
    1. 2-1. 遺産分割審判へ移行
    2. 2-2. 審判期日が数回開かれる
    3. 2-3. 審判が下される
  3. 3. 遺産分割調停と遺産分割審判の違い
    1. 3-1. 手続きの進め方や解決方法
    2. 3-2. 審判では調停委員は関与しない
    3. 3-3. 審判は訴訟に近い手続き
  4. 4. 遺産分割審判を有利に進める方法
  5. 5. 遺産分割調停や審判を依頼する弁護士の選び方
    1. 5-1. 遺産相続案件に積極的に取り組んでいる
    2. 5-2. 親身になってくれる
    3. 5-3. 税理士や司法書士と連携している
  6. 6. 調停と審判は同じ弁護士に依頼すべき?
  7. 7. 調停と審判の弁護士費用について
    1. 7-1. 調停が不成立になったら弁護士が必要
  8. 8. まとめ

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遺産分割調停が不成立になる「よくあるパターン」やタイミングをみてみましょう。

これ以上話し合っても合意の見込みがないと判断されると、調停は不成立になります。
たとえば不動産の相続方法で争っていて、誰が取得するかや評価方法などで合意できない場合、寄与分や特別受益で争っていて合意できない場合などです。

調停を数回開催しても相手方が出頭しなければ、続ける意味がないので不成立になります。

調停が不成立になったら、手続きは遺産分割審判へ移行します。
審判の日はあらためて指定されるので、調停が不成立になった日はそのまま帰宅して裁判所からの連絡を待ちます。

審判期日が指定されたら、当事者は審判に出廷します。
当日は当事者が書面や資料などを出し合って自分の主張を行い、審判官が確認しながら審理を進めていきます。
通常は1回では争点を整理できないので、数回審判期日が開かれます。

すべての主張や資料の提出が終了したら、期日は終了し審判が下されます。
ただし審判内容はその日に決定されるのではなく、後に郵便で審判書が届きます。裁判と違い、判決言い渡しの期日は設定されません。

根本的な違いとして、調停は話し合いの手続きであるのに対し、審判は審判官が遺産分割方法を指定する手続きという点が挙げられます。審判では、当事者が納得しなくても審判官が遺産分割方法を決めてしまいます。

また調停と違い、当事者が欠席していても遺産分割の方法が決まるので、相手が審判を無視して出頭しなくても相続問題を解決できます。

調停では2名の調停委員が間に入って話を進めますが、審判には調停委員は関与しません。

調停は話し合いなので素人の方が自分で対応しても不利になりにくいと手続きです。主張内容が必ずしも法律的に正しくなくても話を聞いてもらえますし、立証資料も必須ではありません。

審判では審判官が法律的な観点から判断するので、希望通りの審判を出してもらうには法律的な主張をしなければなりません。有利な審判を得るためには資料の提出も必須となります。素人の方が独断で取り組むと不利になってしまうでしょう。

審判の結果には強制力があります。審判官が「相続した実家の競売命令」を出せば、望まなくても実家が競売にかかってしまう可能性もあります。適当に対応していると大変な不利益を受けてしまうので、しっかり準備して慎重に対応しましょう。

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遺産分割審判を有利に進めるには法律的な知識や専門的な対応スキルが必須です。
必ず相続案件の経験豊富な弁護士に任せましょう。
特に相手に弁護士がついているのにこちらには弁護士がついていない状態だと、極端に不利になってしまうリスクが高まります。

遺産相続関係の案件の取り扱い件数が多く、積極的に取り組んでいる人を選びましょう。普段からあまり相続案件を扱っていない弁護士に依頼しても、効果的に対応してもらうのは困難です。

遺産分割調停や審判には長い時間がかかります。調停申立から審判が終了するまで1年以上かかるケースも珍しくありません。
どうしても感情をかき乱されてしまう方が多いため、精神的な支えになってくれる人が必要です。依頼者のストレスを理解して親身になってくれる弁護士であれば安心して任せられるでしょう。

相続案件では、相続税や不動産の名義変更が必要となるケースがよくあります。
相続税は税理士に、不動産登記は司法書士へ依頼しなければなりません。
これらの他士業と連携している弁護士に相談していれば、税金や登記の際にわざわざ税理士や司法書士を選ぶ必要がなく、手間を省けます。

遺産分割調停時に弁護士に依頼していた場合、不成立になったあとの審判も同じ弁護士に依頼する方が多数です。ただ調停時に「頼りにならない」「相性が合わない」と感じたなら、変更してもかまいません。

調停が不成立になって審判に移行するとき、別途着手金が必要かどうかは弁護士によって異なります。調停から引き続く審判の場合、別途費用が発生しない事務所もあれば、審判の着手金が別途必要な事務所もあります。調停を依頼する際に、不成立になったときに着手金があらためてかかるのか、確認しておきましょう。

なお調停と審判で弁護士を変える場合には、新しい審判の弁護士に着手金を払う必要があります。調停は不成立になっているので、前の弁護士に報酬金を払う必要はありません。

繰り返しになりますが、審判では必ず弁護士をつけるべきです。
弁護士をつけると、自分で取り組むより「納得できる審判」を得られる可能性が大きく高まります。
遺産分割調停は自分で取り組んでいた場合でも、不成立になったらすぐに審判の代理人をつとめてくれる弁護士を探しましょう。

遺産分割調停が不成立になったら遺産分割審判に移行して、最終的に審判官が遺産分割の方法を決定します。審判では法律の知識と専門的な対応が必要なので、自分一人で対応すると不利になってしまうでしょう。調停が不成立になったら、早めに相続案件に積極的に取り組んでいる弁護士を探して相談してみてください。

(記事は2021年11月1日時点の情報に基づいています)

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