目次

  1. 1. 公正証書遺言とは
  2. 2. 公正証書遺言の必要書類 
    1. 2-1. 必要書類の一覧表|必要書類・取得先・費用
    2. 2-2. 基本的に必要になる書類(本人確認書類)  
    3. 2-3. 状況に応じて必要になる書類
  3. 3. 公正証書遺言の作成にかかる費用|相場は4万円~10万円
    1. 3-1. 必要書類の取得費用  
    2. 3-2. 公正証書遺言作成の手数料
    3. 3-3. 公証人に出張してもらう場合の手数料
    4. 3-4. 証人を紹介してもらう場合の手数料
    5. 3-5. 弁護士などの専門家に手続きを依頼した場合の依頼費用
  4. 4. 公正証書遺言を作成する手順 
  5. 5. 公正証書遺言の作成を弁護士や行政書士に相談するメリット
    1. 5-1. 作成に必要な書類収集をサポートしてくれる
    2. 5-2. 希望に沿った遺言内容を法的に有効な形で整理できる
    3. 5-3. 公証役場との調整や当日の手続きを任せられる
    4. 5-4. 証人を依頼でき、プライバシーにも配慮してもらえる
    5. 5-5. 遺言執行者として相続手続きを一括して任せられる
  6. 6. 公正証書遺言の必要書類に関してよくある質問
  7. 7. まとめ 公正証書遺言の必要書類で迷ったら弁護士や司法書士に相談を

公正証書遺言とは、公証人に作成してもらう遺言書のことです。法律の専門家である公証人が内容を確認しながら作成するため、形式面での不備が生じにくく、確実性の高い遺言方法といえます。費用や手間はかかるものの、次のようなメリットがあることから、自筆証書遺言よりも公正証書遺言の作成がおすすめです。

  • 公証人が関与することから、方式不備で無効になるおそれがない
  • 公証役場で原本を保管するため、紛失・改ざん等のおそれがない
  • 遺言検索システムにより、相続人が遺言の存在を把握しやすい
  • 家庭裁判所での検認が不要で、相続手続きをスムーズに進めやすい
  • 文字を書くことが難しい場合でも作成できる

公正証書遺言は「確実に遺言を残したい」「相続手続きを円滑に進めたい」と考える方に適した方法といえるでしょう。

公正証書遺言の作成には、本人確認書類や戸籍関係書類、財産に関する資料などが必要です。必要書類は内容や状況によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。ここでは、必要書類の一覧とポイントをわかりやすく解説します。

公正証書遺言の作成に必要となる書類・取得先・費用を一覧表でまとめました。

必要書類 取得先 費用
基本的に必要 ①印鑑登録証明書
または
②運転免許証、マイナンバーカードなど
①は遺言者の住所地の役所
②は自宅など
①は1通300円程度
状況に応じて必要 遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本や除籍謄本 最寄りの役所(広域交付制度の対象となる場合)または本籍地の役所 1通450円~750円程度
受遺者の住所の記載のある書類(住民票や手紙、ハガキなど) 自宅など
受遺者である法人の登記事項証明書または代表者事項証明書 全国の法務局(最寄りの法務局で取得可能) 1通600円程度
不動産登記事項証明書 全国の法務局(最寄りの法務局で取得可能) 1通600円程度
①固定資産評価証明書または②固定資産税納税通知書内の課税明細書 ①は不動産所在地の役所
②は自宅など
①は1通300円程度
預貯金通帳等またはその通帳のコピー 自宅など
不動産や預貯金以外の財産(株式等)の内容がわかる書類 自宅など
証人予定者の住所、氏名及び生年月日がわかる書類
遺言執行者の住所、氏名及び生年月日がわかる書類

本人確認書類として遺言者本人の3か月以内に発行された印鑑登録証明書が必要です。印鑑登録証明書は住所地の役所で取得可能です。

または、印鑑登録証明書に代えて、運転免許証、旅券、マイナンバーカードなどの官公署発行の顔写真付き身分証明書を本人確認書類とすることもできます。

・遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本や除籍謄本
遺言者の相続人(子など)に相続させる場合、相続人の続柄や生年月日などを客観的な資料から確認するために遺言者や相続人の戸籍謄本が必要です。相続人が甥や姪など、遺言者や相続人の戸籍謄本だけでは足りない場合にはその他の戸籍謄本も必要になります。

戸籍謄本は本籍地の役所で取得可能です。本籍地が遠方の場合は郵送で取得しましょう。また、広域交付制度の利用対象となる場合は最寄りの役所でも取得可能です。これまでは本籍地の役所でしか戸籍謄本は取得できませんでしたが、この制度によって全国の役所で自分や直系の親族(親・祖父母・子・孫など)の戸籍類を取得できるようになりました。

ただし、兄弟姉妹の戸籍類とコンピューター化されていない戸籍類は対象外となります。郵送や代理人による請求もできないため注意してください。

・受遺者の住所の記載のある書類(個人に遺贈する場合)
遺言者は、遺言によって相続人以外の者に財産を承継させることができます。これを法律上「遺贈(いぞう)」といい、遺贈を受ける者のことを「受遺者(じゅいしゃ)」といいます。

遺言者が受遺者に財産を遺贈する場合、受遺者を特定する情報として、受遺者の住民票や手紙、ハガキなど受遺者の住所の記載のあるものが必要になります。

・受遺者である法人の登記事項証明書または代表者事項証明書(法人に遺贈する場合)
遺贈は法人に対しても行うことができます。たとえば、NPO法人に寄付する場合です。この場合は、受遺者となる法人の登記事項証明書または代表者事項証明書が必要になります。これらの証明書は全国の法務局で取得できますので最寄りの法務局で取得するとよいでしょう。

・不動産登記事項証明書や預貯金通帳その他財産の内容がわかる書類
遺言者が特定の財産を相続人や受遺者に承継させたい場合、その財産の内容がわかる書類が必要です。
たとえば、遺言書上で「妻Aに○○銀行の預金及び○○県○○市○○区○○町○-○所在の土地を相続させる。」などと財産を特定して記載する場合です。この場合、不動産であれば登記事項証明書(全国の法務局で取得可能)、預貯金であれば通帳、株式であれば取引報告書などが必要になります。

一方、遺言書上で「妻Aにすべての財産を相続させる。」などと個々の財産を特定しない場合にはこれらの書類は不要です。ただし、公証人に支払う手数料の計算のために金額を知らせることが必要です。

・固定資産評価証明書または固定資産税納税通知書内の課税明細書
公証人に支払う手数料は遺言の対象とする財産の価額によって変わります。そのため、遺言の対象財産に不動産が含まれる場合には、手数料計算の資料として、固定資産評価証明書または固定資産税納税通知書内の課税明細書が必要です。

課税明細書は役所から所有者宛に毎年郵送されるので、基本的にはこちらを提出すると手間がかかりません。紛失して手元にない場合は、固定資産評価証明書を役所で取得しましょう。

・証人予定者の氏名、住所及び生年月日がわかる書類
公正証書遺言を作成する場合、証人2名以上の立会いが必要になります。証人を自分で手配する場合は、証人の氏名、住所及び生年月日がわかる書類(運転免許証のコピーなど)が必要です。

・遺言執行者の氏名、住所及び生年月日がわかる書類
遺言執行者とは、遺言の内容を実現してくれる人のことで、遺言者で遺言執行者となる人を指定することができます。相続人や受遺者以外を遺言執行者とする場合は、その人の住所、氏名及び生年月日がわかる書類(運転免許証のコピーなど)が必要です。

公正証書遺言の作成には、書類の取得費用に加え、公証人への手数料や証人費用など、さまざまな費用がかかります。ここでは、公正証書遺言の作成にかかる主な費用について、それぞれの内訳と目安をわかりやすく解説します。

公正証書遺言の作成にあたっては、印鑑登録証明書や戸籍謄本などの取得に手数料がかかります。これらの書類は、1通あたり数百円程度で取得できるため、必要な書類を一通りそろえても数千円以内に収まることがほとんどです。

もっとも、戸籍を出生から死亡までさかのぼって取得する場合や、相続関係が複雑な場合には、取得枚数が増えて費用がかさむこともあります。あらかじめ必要な書類の範囲を確認しておくと、無駄な出費を抑えやすくなります。

公正証書遺言を作成する際には、公証人に手数料を支払う必要があります。手数料は、遺言で分配する財産の価額に応じて定められており、相続人や受遺者ごとに個別に計算されます。また、遺産総額が1億円以下の場合には「遺言加算」として、算出された手数料に1万1000円が加算されます。それ以外に公正証書遺言の正本や謄本に相当する電子データや書面を発行する手数料が必要になります。電子データで発行する場合の手数料は2500円、書面で発行する場合の手数料は、発行された書面の枚数×300円です。

公正証書遺言の作成時にかかる公証人に払う手数料

財産の価額 公証人に払う手数料
50万円以下 3000円
50万円を超え100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 1万3000円
500万円を超え1000万円以下 2万円
1000万円を超え3000万円以下 2万6000円
3000万円を超え5000万円以下 3万3000円
5000万円を超え1億円以下 4万9000円
1億円を超え3億円以下 4万9000円+超過額5000万円までごとに1万5000円加算
3億円を超え10億円以下 10万9000円+超過額5000万円までごとに1万3000円加算
10億円を超える場合 29万1000円+超過額5000万円までごとに9000円加算

たとえば、A(遺言者)がB(Aの配偶者)に3500万円の自宅不動産を、C(Aの子)に1000万円の預金を相続させる内容の公正証書遺言を作成する場合、作成にかかる手数料は以下のとおりです。なお、これに加え、前記の電子データまたは書面の発行手数料がかかります。

Bの分:3万3000円
Cの分:2万円
遺言加算(遺産総額が1億円以下):1万1000円
合計:6万4000円

遺言者が高齢あるいは病気などのため、公証役場に出向くことが難しい場合には、公証人に遺言者の自宅や老人ホーム、病院などに出張してもらい遺言書を作成することができます。この場合、公証人の日当(1日2万円、4時間まで1万円)と、現地までの交通費を別途負担する必要があります。
また、遺言者の病床で行う場合は、 通常の公正証書遺言作成手数料が1.5倍に増額されます。

公正証書遺言を作成するには、作成に立ち会ってくれる証人2人が必要です。ただし、推定相続人や受遺者などは証人になることができないため、自分で適任者を用意できないケースも少なくありません。そのような場合には、公証役場に依頼して証人を紹介してもらうことができます。

紹介を受ける場合の費用は、証人1人につき6000円前後が目安となり、病院や自宅などへ出張してもらう場合には9000円前後に増額されることがあります。

弁護士費用はおおむね15万~25万円程度、行政書士費用はおおむね10万円前後です。

弁護士は遺言書を巡る紛争案件を取り扱っており、その経験に基づいてアドバイスを行うことができるなどの理由から、弁護士費用の方がやや高くなることが多いです。

また、弁護士や行政書士に自宅や老人ホーム、病院などに出張してもらう場合は、出張日当がかかることが多いです。出張日当の目安(旧日弁連報酬等基準)は、半日(往復2時間を超え4時間までの場合)で3~5万円、一日(往復4時間を超える場合)で5~10万円程度です。

公正証書遺言は、一般的に次のような流れで作成します。

【公証役場で事前打合せを行う】
遺言の内容や必要書類について、公証人と打合せを行います。

【公証人が遺言の原案を作成する】
打合せ内容をもとに、公証人が遺言書の原案を作成します。

【原案を確認し、必要に応じて修正する】
遺言者が内容を確認し、修正や加筆があれば公証人に依頼します。

【作成日を調整する】
原案が確定したら、公証人や証人と日程を調整し、作成日を決定します。

【作成日当日の手続き】
・遺言者の本人確認を行う
・公証人が遺言の内容を口頭で告げるとともに、公証人が遺言内容を読み上げ、遺言者が内容に誤りがないか確認する
・問題がなければ、遺言者と証人2名が電子サインし、公証人も電子サインし、電子証明することでて遺言書が完成する

このように、公正証書遺言は公証人が関与して進められるため、手続きの正確性が確保されやすい点が特徴です。

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公正証書遺言は自分で作成することも可能ですが、内容や手続きに不備があると、意図どおりに相続が進まないおそれがあります。弁護士や行政書士に相談することで、書類の準備から遺言内容の検討、公証役場との調整までサポートを受けることができ、より確実に手続きを進めやすくなります。ここでは、専門家に依頼する主なメリットを解説します。

公正証書遺言の作成には、戸籍謄本や印鑑証明書、財産に関する資料など、さまざまな書類を準備する必要があります。これらをすべて自分で収集しようとすると、手間や時間がかかるだけでなく、取得漏れや不備が生じるおそれもあります。

弁護士や行政書士に相談すれば、必要書類の種類や取得方法について具体的な案内を受けられるほか、場合によっては書類収集を代行してもらうことも可能です。そのため、手続きをスムーズに進めやすくなり、負担を軽減することができます。

公証人も遺言内容に助言などはしてくれますが、個別事情を踏まえた具体的な提案には限りがあります。費用をかけて遺言を作成するのであれば、遺言者の立場に立って最善策を考えてくれる専門家のサポートを得ておくのがおすすめです。

弁護士は相続発生後のトラブルを数多く扱っていることから、どのようなことが原因で紛争が発生しているかを経験上理解しています。そのため、将来の紛争を見据えたうえで、法的に有効かつトラブルを予防しやすい遺言内容を提案することが可能です。

公正証書遺言は、自筆証書遺言に比べて、必要書類の準備や公証人との事前打合せ、日程調整など、一定の手間がかかる手続きです。弁護士に依頼すれば、公証役場との連絡や書類のやり取り、当日の手続きに関する調整まで一任することができます。そのため、手続きをスムーズに進めやすくなり、遺言者の負担を大きく軽減することが可能です。

公正証書遺言を作成する際には、証人2人の立ち会いが必要です。ただし、推定相続人や受遺者などは証人になることができないため、適任者を自分で用意するのが難しい場合もあります。

弁護士や行政書士に証人になってもらうことで、知人や親族に依頼する必要がなくなります。その結果、遺言内容を第三者に知られる範囲を最小限に抑えることができ、プライバシーへの配慮という点でも安心です。

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために、相続人に代わって各種手続きを行う人のことをいいます。たとえば、預貯金の解約や不動産の名義変更など、相続手続き全般を担う役割を果たします。

弁護士に遺言執行者を依頼すれば、専門的な知識に基づいて手続きを進めてもらえるため、相続手続きをスムーズかつ確実に進めやすくなります。また、相続人の負担の軽減やトラブルの予防にもつながります

Q. 公正証書遺言に戸籍謄本は必要? 相続人全員の戸籍までは不要?

遺贈寄付など相続人以外の者に相続させる場合、戸籍謄本は不要です。また、財産を相続させる相続人の戸籍謄本があれば十分で、常に相続人全員の戸籍謄本が必要というわけではありません。

Q. 必要書類に有効期限はある? 

遺言者の印鑑登録証明書は発行から3か月以内のものが必要です。その他の戸籍謄本や登記事項証明書も3カ月以内のものが必要になることがありますが、公証役場によって取扱いが異なります。作成予定の公証役場に直接問い合わせることをおすすめします。

Q. 必要書類はコピーでも大丈夫? 原本が必要?

基本的には原本が必要です。コピーで足りる書類もありますので、作成予定の公証役場に直接問い合わせることをおすすめします。

Q. 公正証書遺言の必要書類収集を弁護士に任せることはできる?

できます。高齢や病気などで役所に出向くことが難しい場合や仕事で平日日中に時間が取れない場合など弁護士に任せて取ってもらうと良いでしょう。ただし、必要書類収集を代行してもらう場合には追加で費用がかかる場合がありますので、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。

Q. 高齢や入院中の場合、書類準備で注意することは?

このような場合、本人が役所に出向いて書類を準備することが大変なこともあるでしょう。その場合、家族や専門家に代理人として取得してもらうのも一つの方法です。また、本人が役所に出向く場合は、二度手間にならないように必要書類を記載したメモを持参するなどして一度に揃えられるようにしましょう。

遺言書を作成する際には、多少の費用がかかったとしても、将来のトラブルを防ぎ、自分の意思を確実に反映できる内容に仕上げることが重要です。形式に不備があったり、内容が不明確であったりすると、かえって相続人間の争いを招くおそれもあります。

公正証書遺言の作成には、必要書類の収集や公証役場との調整など、一定の手間がかかります。こうした手続きを円滑に進め、内容面でも万全を期すためにも、弁護士や行政書士といった専門家に相談することをおすすめします。

(記事は2026年7月1日時点の情報に基づいています。)

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