目次

  1. 1. 公正証書遺言の必要書類
    1. 1-1. 公正証書遺言とは
    2. 1-2. 公正証書遺言の必要書類一覧
    3. 1-3. 各必要書類の取得方法・交付手数料
  2. 2. 公正証書遺言にかかる手数料
    1. 2-1. 公正証書遺言作成の手数料
    2. 2-2. 出張してもらう場合の手数料
    3. 2-3. 証人を紹介してもらう場合の手数料
  3. 3. 公正証書遺言を作成する手順
  4. 4. 公正証書遺言の作成を弁護士に相談するメリット
    1. 4-1. 遺言内容をいろいろと相談できる
    2. 4-2. 面倒な手続きを任せられる
    3. 4-3. 証人になってもらえる
    4. 4-4. 遺言執行者になってもらえる
  5. 5. まとめ

公正証書遺言は公証人に作成してもらう遺言書のことです。下記のメリットがあることから、費用はかかるものの、自筆証書遺言よりも公正証書遺言の作成がおすすめです。

  • 公証人が関与することから、方式不備で無効になるおそれがない
  • 公証役場で原本を保管するため、紛失・隠蔽等のおそれがない
  • 相続人が遺言を発見することも容易(遺言検索サービス)
  • 家庭裁判所での検認が不要
  • 文字を書けなくても作成できる

公正証書遺言を作成するには、どのような書類が必要なのでしょうか。一般的には、少なくとも下記の資料が必要です。

  • 遺言者本人の本人確認資料(印鑑登録証明書又は運転免許証等顔写真入りの公的機関の発行した証明書のいずれか一つ)
  • 遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本
  • 財産を相続人以外の人に遺贈する場合には、その人の住民票(法人の場合には資格証明書)
  • 財産の中に不動産がある場合には、その登記事項証明書(登記簿謄本)と、固定資産評価証明書又は固定資産税・都市計画税納税通知書中の課税明細書
  • 財産の中に株式等の有価証券や預貯金がある場合には、その種別とだいたいの金額を書いたメモ
  • 遺言書の方で証人を用意する場合には、証人予定者の名前、住所、生年月日及び職業を記載したメモ

必要書類は遺言内容によって異なります。また、公証役場によって若干運用も異なるので、事前に公証役場に確認するのが確実です。

では、上記の必要書類はどのように集めたらよいのでしょうか。取得にかかる手数料や取得できる場所を表にして説明します 。

公正証書の作成に必要な書類の交付手数料と取得できる場所
公正証書の作成に必要な書類の交付手数料と取得できる場所

書類集めにかかる手数料
前記のとおり、印鑑登録証明書や戸籍謄本を集めるのに手数料がかかります。それぞれ数百円程度ですので、合計で数千円以内に収まることがほとんどです。

公正証書遺言を作成する際には、公証人に手数料を支払う必要があります。手数料は、下記の表のとおり、遺言の目的とする財産の価額に対応する形で定められています。相続人・受遺者が複数の場合は、各相続人・各受遺者ごとに財産の価額・手数料を算出します。また、遺言加算といって、全体の遺産が1億円以下の場合は、下記の表によって算出された手数料に1万1000円が加算されます。

公正証書遺言を作成する費用の目安
公正証書遺言を作成する費用の目安

【例】遺言者・一郎さんが妻・正子さんに3500万円の自宅不動産を、子・太郎さんに1000万円の預金を相続させる遺言を作成する。
この場合、手数料は5万7000円(2万9000円<正子さん分>+1万7000円<太郎さん分>+1万1000円<遺言加算>)です。

遺言者が高齢あるいは病気などのため、公証役場に出向くことが難しい場合には、公証人に遺言者の自宅や老人ホーム、病院などに出張してもらい遺言書を作成することができます。ただし、この場合は、前記の「公正証書遺言作成の手数料」記載の表の手数料が1.5倍になります。
また、公証人の日当(1日2万円、4時間まで1万円)と、現地までの交通費がかかります。

公正証書遺言を作成するには、作成に立ち会ってくれる証人2人が必要です。ただ、推定相続人や受遺者などは証人になれません。そのため、証人を手配することが難しいこともあるでしょう。
このように、ご自身で証人を手配できない場合は、公証役場で紹介してもらうことができます。その場合、証人1人につき、6000円前後(病院などに出張してもらう場合は9000円前後)の費用がかかります。

公正証書遺言は概ね下記の手順で作成していきます。

  1. 公証役場に出向いて公正証書遺言作成のための打合せ
  2. 打合せの結果を元に、公証人が遺言の原案を作成
  3. 遺言者が遺言の原案を確認・検討し、適宜加筆修正を依頼
  4. 遺言の原案が確定したら、作成日の調整・決定
  5. 作成日当日
    (1)遺言者の本人確認
    (2)公証人が、公正証書遺言の原案を読み上げ、遺言者にその内容に間違いがないかどうかを確認
    (3)内容に間違いないことが確認できたら、原本に遺言者と証人2名が署名捺印、公証人も署名捺印して、完成

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公証人も遺言内容に関して助言などはしてくれますが、それにも限度があるでしょう。せっかく費用をかけて大切な遺言を作るわけですから、遺言者の立場に立って最善策をともに考えてくれる専門家のサポートを得ておくと安心です。弁護士は相続発生後の紛争を扱っていることから、どのようなことが原因で紛争が発生しているかを経験上理解しています。そのため、トラブルを予防する内容の遺言を提案することが可能です。

上記のとおり、公正証書遺言は、自筆証書遺言と比較すると、書類を集めたり、公証人とやり取りをしたりする必要があるため、やや手続きが面倒です。弁護士に依頼することで、このような面倒な手続きを任せられるので、負担が軽減されます。

公正証書遺言の原案作成を弁護士に依頼すると、証人にもなってもらえることがほとんどです。そのため、証人2人を手配しなければならないという不安は解消されます。

遺言執行者とは、相続人に代わって遺言の内容を実現する者のことをいいます。弁護士に遺言執行者になってもらうことで、より速やかかつ円滑に遺言の内容を実現することができます。

せっかく遺言書を作成するのであれば、多少の費用はかかっても、トラブルを防止し、自分の意思を確実に実現できる内容の遺言書を作成することを第一に考えるべきです。公正証書遺言を作成するにはいろいろと手間もかかりますので、円滑に手続きが進むよう、弁護士に相談することがおすすめです。

(記事は2021年7月1日時点の情報に基づいています。)