目次

  1. 1. 相続同意書とは
    1. 1-1. そもそも相続同意書とは何か?
    2. 1-2. 遺産分割協議書との違い
  2. 2. 相続同意書が必要な手続き、場面
    1. 2-1. 預貯金を解約したい
    2. 2-2. 車の名義変更
    3. 2-3. 許認可が必要な事業の承継
    4. 2-4. 相続同意書が不要なケースとは
  3. 3. 相続同意書の作成方法とひな型
    1. 3-1. 相続同意書の作成方法
    2. 3-2. 相続同意書のひな型
  4. 4. まとめ

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相続同意書とは、特定の遺産の分け方について相続人全員が同意している事実を証明する書類です。
たとえば相続人が話し合い、1人の相続人(Aさん)が〇〇銀行の預貯金を取得することになったとしましょう。そのとき「Aが〇〇銀行の預貯金を相続することに相続人全員が合意する」という相続同意書を作成します。
Aさんがその書面を銀行に示すと、銀行がAさんに預貯金を払い戻してくれます。

このように相続同意書があると、銀行預金の払い戻しや車の名義変更などの手続きをスムーズに進められるメリットがあります。

相続人の合意内容を示す書類には「遺産分割協議書」もあります。
相続同意書と遺産分割協議書は、何が違うのでしょうか?

遺産全体の分け方を示すかどうか
遺産分割協議書と相続同意書の違いは「遺産全体」の分け方を示すのか「特定の遺産」の分け方を示すのか、という点です。
遺産分割協議書には「すべての遺産」についての分け方を記載します。
一方相続同意書の場合、特定の銀行預金や車などの「特定の遺産」についての分け方を記載するのが通常です。
その分、相続同意書の方が遺産分割協議書より簡単な書面になります。遺産分割協議書を作成するのが手間になる場合や、一部の遺産だけを先に分けてしまいたいときに相続同意書が役立つでしょう。

不動産登記に使えるのは遺産分割協議書のみ
不動産を相続した場合の相続登記は、「遺産分割協議書」でないとできません。
相続人が簡易に作成した「相続同意書」では登記申請を受け付けてもらえないので、注意しましょう。

相続同意書は、手続きをスムーズにするメリットがあります。ただ、作成に手間取るなど、思い通りにいかない時には、お近くの弁護士に相談してみてください。有益なアドバイスを受けられます。

相続同意書が必要になるのはどういった場面なのか、みていきましょう。

遺産分割協議自体は済んでいないけれど、先に預貯金の相続人だけ決まった場合や、遺産分割協議書を作成するのが大変なので先に預貯金だけ払い戻したい場合などには、作成が簡単な相続同意書が役に立ちます。

車の名義変更をするときには「遺産分割協議書」が必要とされます。ただ運輸局の紹介している書式をみると、特定の車に関する同意のみ示すものとなっているので、実質的には「相続同意書」と同じものといえるでしょう。

事業経営に必要な許認可を、相続同意書によって引き継げるケースがあります。
● 理容室、美容室
● 食品営業許可(飲食店、食品製造、食品販売など)
● 興業場所
● 公衆浴場
● たばこ販売
● クリーニング業

なお許認可に関しては所轄庁によって取扱いが異なるので、すべてのケースにおいて相続同意書により手続きができるとは限りません。個別に問い合わせてください。

以下のようなケースでは相続同意書は不要です。

相続人が1人
相続人が1人の場合、他の相続人による同意は不要です。相続同意書がなくても各種の相続手続きが可能となります。

遺言によって指定されている
遺言によって相続方法が指定されている場合には、遺言書を使って相続手続きができます。

相続同意書を作成する必要はありません。

遺産分割協議書を作成した
正式な遺産分割協議書を作成したら、遺産分割協議書を使って相続手続きができます。
相続同意書を作成する必要はありません。
ただし遺産分割協議書を持ち出して紛失するリスクが気になる場合などには、別途相続同意書を作成してもかまいません。

相続同意書には、以下のような内容を記載しましょう。
● 被相続人の氏名、生年月日、死亡年月日、住所
まずは亡くなった方の氏名と生年月日、死亡年月日、住所を記載しましょう。これにより、誰の遺産なのかを特定します。
● 相続される遺産の内容
たとえば預貯金なら金融機関名、支店名、預金の種類や預金番号を記入しましょう。
● 相続人全員が合意したこと
相続人全員が、遺産の分け方に合意した事実を示します。
● 相続人全員の署名押印
相続人が全員「実印」で署名押印する必要があります。印鑑証明書も添付しましょう。
● 作成日付
相続同意書には「作成日付」も入れなければなりません。忘れないようにしましょう。

相続同意書によって預貯金の払い戻しを行うときには、戸籍謄本などの相続を証する資料も必要となります。事前に金融機関へ問い合わせてから手続きしましょう。

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相続同意書は遺産分割協議書よりも簡単に作成できます。早めに預貯金払い戻しなどを受けたい場合には、便利に活用できるでしょう。自分だけで対応すると間違いが発生する可能性もあります。相続手続きに迷ったときには、弁護士に相談してみてください。

(記事は2020年12月1日現在の情報に基づいています)

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