目次

  1. 1. 特別方式遺言とは
  2. 2. 危急時遺言とは
  3. 3. 隔絶地遺言とは
  4. 4. 突然の出来事で困ったときの遺言書作成方法
  5. 5. まとめ|効率的な相続対策は弁護士に相談を

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特別方式遺言とは、通常の遺言書を作成する余裕のないときに利用できる、特殊な方式の遺言です。通常の遺言を「普通方式遺言」というのに対し、緊急時の遺言書を「特別方式遺言」といいます。たとえば病気やけがで死期が迫り、普通方式遺言を作成できない場合に「特別方式遺言」を利用できる可能性があります。
一般に「遺言」といったときにイメージされる「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」はすべて普通方式遺言です。
特別方式遺言には、「危急時遺言」と「隔絶地遺言」の2種類があります。以下でそれぞれみていきましょう。

危急時遺言とは、病気やけが、遭難などの特殊事情によって死期が迫っている人が利用できる遺言です。一般危急時遺言と難船危急時遺言の2種類に分けられます。

1. 一般危急時遺言
病気やけがなどの一般的な事情により死亡の危機が迫っている人が、利用できる遺言方式です。一般危急時遺言を作成するには、3人以上の証人が立ち会わねばなりません。

・遺言者の作成方法
自分で遺言書を書いても証人に代筆を依頼してもかまいません。証人へ遺言内容を口頭で伝えて書き取ってもらうこともできます。書き取られた内容は他の証人や遺言者本人に伝えられ、間違いがなければすべての証人が署名押印し、遺言書が完成します。

・家庭裁判所での確認手続き
一般危急時遺言が作成されたら、20日以内に家庭裁判所で確認手続きを受けなければなりません。期限内に手続きをしないと無効になるので注意しましょう。

・確認手続きの必要書類
 申立書
 申立人の戸籍謄本
 遺言者の戸籍謄本
 証人の戸籍謄本
 遺言書の写し
 診断書(遺言者が存命の場合)

2. 難船危急時遺言
船や飛行機に乗っていて遭難などの危難に遭い、死亡の危機が迫っている人が利用できる遺言方式です。2人以上の証人が必要となります。

・遺言書の作成方法
遺言者が自分で遺言書を書くだけではなく証人に代筆してもらったり、口頭で伝えて書き取ってもらったりすることも可能です。遺言内容を遺言者や証人が確認し、証人全員が署名押印すると、遺言書が完成します。

・家庭裁判所での確認手続き
難船危急時遺言の場合にも、家庭裁判所で確認手続きをしなければなりません。ただ一般危急時遺言と異なりすぐに家庭裁判所で手続できないケースも多いので、期限は設定されていません。危機が去ってから速やかに手続きを行えば、遺言の効力を維持できます。

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隔絶地遺言とは、伝染病や乗船中などの事情により、一般社会や陸地から離れた場所にいる人が利用できる遺言方式です。
一般隔絶地遺言と船舶隔絶地遺言の2種類があります。

1. 一般隔絶地遺言
一般隔絶地遺言は、伝染病などで遠隔地に隔離され、通常の遺言方式を利用するのが難しい場合に認められる遺言方式です。作成時には、警察官1名と証人1名の立会が必要となります。
また危急時遺言と異なり、遺言書は本人が作成しなければなりません。代筆や口頭で伝えて書き取ってもらう方法は利用できないので、注意しましょう。遺言書を完成させるには、立会人全員の署名押印が必要です。なお本人が作成しているため、後日における家庭裁判所での確認手続きは不要となります。

2. 船舶隔絶地遺言
船舶隔絶地遺言は、長期にわたる航海で陸地から離れた場所にあり、通常の遺言書を作成できない人が利用できる遺言方式です。作成時には、船長もしくは事務員と、2名以上の証人が立ち会わねばなりません。
一般隔絶地遺言と同様に遺言者本人が作成する必要があり、証人などに代筆してもらったり口頭で伝えて書き取ったりすることはできません。遺言書には遺言者と立会人の署名押印が必要です。本人が作成しているため、後日家庭裁判所で確認の手続を経る必要はありません。

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遺言書の作成や相続対策は、早めにしておくことが望ましいといえます。ただ、対策しないまま病気やけがで命の危機が迫ったり遭難したりしたときには、特別方式遺言の利用も検討できるのでおぼえておいてください。
病気やけがをしても、すぐに命の危機が及ぶとは限りません。そういった場合には、普通方式遺言も利用できます。たとえば入院中や自宅療養中に自筆で遺言書を書けないときには、公証人に出張してもらって「公正証書遺言」を作成する方法がお勧めです。遺言書を何とか自筆できるなら、自宅や病院まで弁護士に来てもらって自筆証書遺言を作成し、預けても良いでしょう。

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効果的な相続対策のためには、早めに相続に詳しい弁護士に相談しながら対応するのがベストです。「遺言書を作成しなければ」と思っているなら、1度相続に詳しい弁護士に相談してみてください。

(記事は2020年10月31日時点の情報に基づいています)

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