目次

  1. 1. 広い地域で路線価が地価を上回る場合に補正措置の導入を検討
  2. 2. 路線価を減額する「補正率」導入を検討
  3. 3. すでに申告済みの場合は更正請求で対応を

「相続会議」の税理士検索サービス

路線価は毎年1月1日を評価時点として、国税庁が時価の80%程度をめどに算定し、毎年7月に公表しています。路線価はその年に亡くなった人の相続税のほか、その年に贈与を受けた人の贈与税の算定にも使われます。

今年は新型コロナウイルスの影響などで経済活動が低迷したことにより、1月時点よりも地価が下落する可能性を想定し、国税庁は、全国の広い範囲で地価が下落し、路線価が地価を上回り多くの納税者に影響が出ると判断した場合に、納税者への便宜を図る措置をとるとしています。

【関連】路線価は5年連続で上昇 全国平均で1.6% 新型コロナの影響で地価を上回る懸念も

路線価の補正を検討する場合のイメージ

国税庁が検討しているのは、路線価を減額できる補正率の導入です。地価が下落して路線価を下回るような場合に、地域を市区町村などに区切って補正率を出して、路線価に掛け合わせることで減額修正ができる方法が検討されています。

検討されているのは、1~6月までと7~12月までを区切って路線価と地価を比べたうえで、地価が20%以上下落して路線価よりも下回った地域を対象にして、補正率を出します。
通常、その年の相続税の課税には同じ路線価を基準としますが、補正率が導入された場合、年の前半と後半に分け、その期間内に亡くなった人の相続税申告に対して適用される補正率になります。

国税庁は国土交通省から定期的に出されている「地価LOOKレポート」を参考にしたり、外部業者に依頼して独自に地価調査をしたうえで、補正率を導入するかどうかを検討するといいます。早ければ、10月にも補正措置の導入などについて公表されるようです。

相続税申告は10カ月以内に申告することが原則です。このため、1月に亡くなった人の場合は10月に申告期限を迎えます。補正率を導入する措置が発表される前に申告を済ませてしまっても、申告内容を修正する「相続税申告の更正請求」で対応できるようです。また、補正率が導入された対象者には、申告期限の延長なども検討されているようです。補正率などが導入された場合には、近くの税務署などに相談してみてください。

(記事は2020年7月1日現在の情報に基づきます)

「相続会議」の税理士検索サービス