市街化区域なら、届け出すれば宅地や駐車所にも

まず、対象の土地が農地であるかどうかを確認することが必要です。
農地法の規定を見てみましょう。

第二条 この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいい、「採草放牧地」とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。

この基準に従って、前回までに解説した権利移転等に制限がかかります。
法令上、土地が農地であるかどうかは客観的な現況によって判断されることになっています。これを「現況主義」といいます。

登記の実務では、登記簿の地目または固定資産評価の地目が農地に該当する場合は、農地として取り扱われます。農地が含まれていた場合は、都市計画図を確認するなどで、農地の所在する地域が、市街化区域なのか、そうでないかを確認しましょう。

市街化区域に農地が所在する場合は、売却等の処分は比較的しやすいと思います。
前回の記事で解説したとおり、市街化区域の農地は、許可ではなく届け出によって売却などの権利移転を行うことができます。

将来にわたって使用予定のない場合は、早期に処分することを勧めます。
相続登記が未了の場合は物件の近くに事務所がある司法書士に相談するとよいでしょう。

また、市街化区域内に所在する農地は、基本的に届け出によって自己転用することができます。条件が合う場合、農業委員会に届け出を行えば、宅地や駐車場として使用することが可能です。

第四条 農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事(農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に関する施策の実施状況を考慮して農林水産大臣が指定する市町村(以下「指定市町村」という。)の区域内にあつては、指定市町村の長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
(中略)
八 市街化区域(都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第七条第一項の市街化区域と定められた区域(同法第二十三条第一項の規定による協議を要する場合にあつては、当該協議が調つたものに限る。)をいう。)内にある農地を、政令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農地以外のものにする場合
(後略)

市街化区域外の農地なら、処分には原則として許可が必要

市街化区域外に農地が所在する場合は、売却などの処分に許可が必要になります。その場合は処分の方針に応じて、市役所や町役場の担当者に相談してみてもよいかもしれません。

以前の記事で書いたとおり、専業農家以外が農地を購入することは簡単ではありません。
私の知人も昨年、仕事を辞めて新規就農を目指しましたが、農地を取得することがなかなかできずに金銭的余裕がなくなり、農家になることをあきらめて再就職しました。

また、自治体と打ち合わせた案件が最終的に農地に処分が至らなかった際に、「個人的にはもう少し農地が簡単に処分できてもいいのではないかと思う」と漏らした職員もいました。

一方、農家の高齢化が深刻になっており、青森県八戸市近隣でも、休耕地や荒れた耕作放棄地が増えています。同じ状況にある地方は多いのではないでしょうか。
今後、実態に合わせて規定が変わる可能性もあるかもしれません。

いずれにせよ、相続は早期に情報収集を行った方が対策を取りやすいです。
不動産を相続しそうな人は、親世代と一度相談してみることをお勧めします。

(記事は2020年4月1日時点の情報に基づいています)