目次

  1. 1. 相続人でない長男の妻も寄与分を主張できるか?
  2. 2. 「特別の寄与」のハードルは高い
  3. 3. 扶養義務を果たさなかったきょうだいへの請求は?
  4. 4. 民法改正で定められた「特別寄与料」とは?
  5. 5. まとめ 相続の前から介護について話し合いを

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そもそも「長男の妻は、相続人ではない」という問題があるのですが、家庭裁判所は一般的に「相続人である長男自身が行ったものと同視できる場合には、その相続人が貢献したものとみなして、相続人である長男の寄与分として遺産分割協議で取り扱うことができる」としています(同視説ないし包含説)。

ただ、問題となるのは、寄与分が認められるには、それが「特別の寄与」であったと言えなければいけないことです。

というのも、民法は親族間に扶養義務を定めています(民法877条1項)。そこで、親の介護が扶養義務の範囲内ということになれば、遺産分割の際に寄与分として考慮すべきではないことになります。

このハードルは意外と高く、例えば日常の家事を手伝っていたという程度では、どんなに長期間であっても「特別の寄与」とは一般に認められません。

また、病気療養中の親の看護をしていたとしても、完全看護やそれに近いサービスを受けられる施設にいた場合、相続人やその妻が看護する必要はなかったとして、たとえ看護していたとしても「特別の寄与」とは認められないのです。

「特別の寄与」が認められるには、高いハードルがあります。くわえて、請求できる期間も決まっています。気になることがある方は、弁護士への相談をお勧めします。

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同居して介護していた相続人側からよく聞く不満は「介護が扶養義務の範囲内だから寄与分は認められないと言うが、ほかの兄弟はまったく扶養義務を果たしていなかった。それなのに遺産分割でまったく差がつかないのは、むしろ不公平だ」というものです。

たしかに一理ありますが、扶養義務者の間で負担をどう調整するかの問題は、法律上、遺産分割の問題とは別の問題と考えられています。ですから、他の相続人が同意しない限り、扶養義務の負担調整の問題は遺産分割協議では取り扱えません。あえて請求したいのであれば、別途、求償請求という形で地方裁判所に訴えることになります。

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先ほど説明した「同視説」によっても、「親と同居していた長男夫婦の長男が先に死亡して、その後、長男の嫁が長年にわたって長男の親の介護を続けてきた」というケースでは、妻の貢献は遺産分割になんら反映されなくなってしまいます。

そこで、このような場合の不公平をなくすために、令和元年7月に施行された改正民法で「特別寄与料」という制度が導入されました。これは、相続人ではない親族が、無償で療養看護そのほかの労務を提供したことにより、被相続人の財産の維持・増加に寄与した場合に「特別寄与料」を請求できるとした制度です。

注意が必要なのは、「特別寄与料」の請求をするには、従来の寄与分の場合と同様に、その行為が「特別の寄与」と言えなければいけないという点です。また、請求できる期間の制限もある(最長で相続開始から1年)ことにも注意が必要です。

このように「寄与分」や「特別寄与料」を裁判所に認めてもらえるためのハードルは意外と高いので、相続の場面でもめないようにするために、相続発生前から親の介護の問題などについて、兄弟姉妹の間でよく話し合っておくことが必要です。

また、ほかの相続人に納得してもらえるようにするためには、介護費用や要した時間などの記録を残しておき、それを遺産分割の話し合いの中で示せるようにしておくことも大切です。

(記事は2020年2月1日時点の情報に基づいています)

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