目次

  1. 1. 遺産になるもの
    1. 1-1. 資産
    2. 1-2. 負債
    3. 1-3. 一定の契約上の地位や権利義務
  2. 2. 相続の対象にならないもの
    1. 2-1. 一身上の権利義務
    2. 2-2. 祭祀財産
    3. 2-3. 祭祀財産を引き継ぐ決め方
  3. 3. みなし相続財産について
  4. まとめ

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遺産になるものには次のようなものがあります。

以下のような資産はすべて遺産になり、相続財産として扱います。

  • 現金 預貯金
  • 株式などの有価証券
  • 投資信託
  • 不動産
  • 被相続人が受取人となっている保険金
  • 積立金
  • 宝石類、時計、絵画や骨董品などの動産

これらは、相続財産として遺産分割の対象になり、相続税の課税の対象にもなります。

負債も相続の対象になります。

  • 借入金(住宅ローンなど金融機関からの借り入れ、クレジットカードの未決済分など)
  • ツケ払いの未払い分
  • リース料
  • 未払いの家賃
  • 未払いの税金や健康保険料
  • 未払いの損害賠償債務(交通事故など)

被相続人が借金をしていた場合には、相続人へ相続されます。相続したくない場合には、被相続人が亡くなり、相続することを知ってから3カ月以内にすべての遺産を放棄する「相続放棄」か、または相続する財産の範囲で負債を背負う「限定承認」という手続きをする必要があります。

被相続人の一定の契約上の権利や義務も相続の対象になります。たとえば以下のような権利や義務が引き継ぎます。

  • 賃貸住宅などを貸している賃貸人の地位(権利義務)
  • 賃貸住宅などを借りている賃借人の地位(権利義務)
  • 損害賠償請求権、損害賠償すべき義務
  • 貸金の請求権、借入金の返済義務

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次のようなものは相続財産になりません。

契約上の地位であっても、被相続人の一身上の権利義務は相続対象になりません。一身上の権利義務とは被相続人に個人的に認められる権利や義務のことです。たとえば次のようなものが該当します。

  • 養育費の請求権や支払い義務
  • 婚姻費用の請求権や支払い義務
  • 年金を受給する権利
  • 生活保護を受ける権利など

被相続人に上記のような権利義務、契約があった場合、すべて消滅します。子どもが親から養育費をもらっている場合、親が死亡したら養育費を請求できなくなりますし、親が年金をもらっていても子どもが相続して年金をもらえることはありません。生活保護についても同様です。

祭祀財産とは、先祖をまつるための財産です。次のようなものが当てはまります。

  • 仏壇仏具
  • お墓
  • 位牌
  • 墓碑
  • 霊屋、霊廟
  • 神棚

遺産相続の対象にならないので、相続人が遺産分割協議によって分けることができません。

祭祀財産については、以前の祭祀主宰者(祭祀財産を管理して祭祀を行っていく人)が指定できます。指定されていない場合、慣習によって決まります。それでも決められない場合には、家庭裁判所が指定します。誰を祭祀承継者にするかでもめてしまった場合、家庭裁判所で「祭祀承継者指定調停」を申し立てて、話し合いによって決定します。

財産の中には法律上は相続財産にならないものの、税務上は相続財産になるものがあります。「みなし相続財産」と言います。代表的なのが「死亡保険金」と「死亡退職金」です。死亡保険金は、被相続人が死亡したことによって生命保険会社から受け取れる保険金です。死亡退職金は、被相続人が死亡したことによって支給される退職金です。

これらは基本的に法律上の相続財産にならないので遺産分割協議の対象になりませんが、税務上は相続財産となって相続税の課税対象となります。

ただし、「法定相続人数×500万円」の相続税控除が認められています。

つまり、相続人が3人いれば、1500万円までの保険金を受け取っても相続税がかかりません。相続財産になるものと、ならないものを確認したうえで、相続手続きを進めることが大切です。

相続財産に「なるもの」「ならないもの」「法律上はならないが、税務上はなるもの」について、それぞれ説明してきました。円滑な遺産分割を進めるためには、相続財産がどれだけあるかを把握することが大切です。わからないことがあれば、弁護士など専門家への相談を検討してみるのもよいでしょう。

(記事は2019年9月1日時点の情報に基づいています)

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