目次

  1. 1. 焦って解約すると困ったことも
  2. 2. 契約解除のほか、電話番号をのこす「承継」も
  3. 3. 戸籍謄本や身分証をそろえて手続きへ
  4. 4. 大切なデータはバックアップがお勧め

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今回も編集部スタッフからの質問です。

質問:「亡くなった父のスマートフォンですが、その後も契約料の支払いが続いています。早く解約したほうがいいと思うのですが、その後にスマホがなくなってしまうのも嫌なので困っています。どうしたらいいでしょうか?」

スマホの料金体系は複雑になっていることが多いですが、スマホそのものの料金と通信通話契約は別物なので、解約してもスマホを失うことはありません。スマホ本体の代金の分割支払いが途中の場合は、手続き時に残金を支払うだけです。

ただ、亡くなった直後に焦って解約すると、故人の関係者から連絡が受け取りにくくなったり、電話番号に紐付いたショートメッセージ(SMS)などが葬儀前に使えなくなったりと困った事態になりかねません。毎月の振り込み指定日が近いと、やきもきしてしまいますが、たとえ一ヶ月分を支払ったとしても、故人の周辺や遺品の調査がある程度落ち着いてから動き出すのが良いと思います。

故人のスマホの契約ですが、遺族などの法定相続人であれば通信キャリアのショップで解除できます。ただ、解約してしまうと、その電話番号は二度と使えません。総務省の「電気通信番号規則」に基づき、一定期間をおいた後に別の誰かの番号として再利用されます。

電話番号を残しておきたい場合は、相続人が権利を引き継ぐ「承継」を申請する手段があります。NTTドコモとau、ソフトバンクの3大キャリアはいずれも対応していますが、MVNO(仮想移動体通信事業者)が提供する格安ブランドの一部は非対応となるので事前の確認が欠かせません。

なお、故人のスマホの契約先が承継に対応していなくても、契約解除時にMNP(携帯電話番号ポータビリティ)を申請して承継可能な別の通信キャリアに移すという方法もあります。少しややこしいですが、絶対に残しておきたい番号なら何とか残せる道筋はあるのです。

方針を決めたら、手続きに必要な書類を揃えます。具体的な必要書類は通信キャリアごとに異なりますが、大まかにいえば次の3種類となります。

・契約対象の品と書類……スマートフォン、SIMカード、契約時の書類など
・契約者の死亡が確認できる書類……戸籍謄本や会葬礼状など
・手続きする人の身分証明……運転免許証、契約者との続柄が証明できる書類、印鑑と印鑑証明など

詳細を調べるには、やはり該当する通信キャリアのサイトや問い合わせ窓口が頼りです。キャリアショップでの手続きは順番待ちを含めて時間がかかるので、書類の不備でやり直しとならないように万全の準備をして臨みましょう。

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さて、残ったスマホはどうすればいいでしょうか。故人の電話番号と一緒にスマホも使い続けたいという場合は、ショップでは端末の初期化を促されるはずです。故人であっても、プライバシーの問題があります。スマホアプリには契約者が死亡したら権利が消失するものも多いです。新しい持ち主が無断でアプリを起動してネットにつなぐと、不正アクセス禁止法に抵触するおそれもあります。

一方で、故人のスマホを生前の状態のまま形見として残しておきたい人も少なくありません。ネットにつないで故人の契約を無断で利用することがなければ、不正アクセス禁止法には関わりませんから、そうした保管方法も選択肢の一つです。ただし、故人のプライバシーという倫理面の問題は常にはらんでいるので、取り扱いは慎重にすべきだと思います。

また、機械的な耐用年数の問題も考える必要があります。スマホのデータが保存されているストレージは10年、20年とデータを保持できるようには設計されていません。家族写真や別れの手紙のようなかけがえのないデータが残っているなら、別の機器にバックアップを取ることをお勧めします。

(記事は2019年11月15日時点の情報に基づいています)

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