目次

  1. 1. 老老相続とは
  2. 2. 老老相続の背景
    1. 2-1. 平均寿命の延伸により相続の年齢が高くなっている
    2. 2-2. 高齢の親を高齢の子が介護している状況が多くなっている
    3. 2-3. 生前の準備が後回しになりやすい社会的傾向がある
  3. 3. 老老相続で発生しやすいトラブルやリスク
    1. 3-1. 相続人が認知症や要介護状態になっている
    2. 3-2. 手続きや意思決定が困難になる
    3. 3-3. 相続後すぐに二次相続が発生することがある
    4. 3-4. 相続財産の管理が放置される
    5. 3-5. 親族間のトラブルや無駄な納税負担につながる
  4. 4. 老老相続を円滑に進めるための対策
    1. 4-1. 家族で定期的に相続に関する話し合いをする
    2. 4-2. 財産の棚卸しと記録をしておく
    3. 4-3. 高齢者施設への入居や資産活用も選択肢に入れる
    4. 4-4. 遺言書を早めに作成しておく
    5. 4-5. 家族信託など柔軟な財産管理方法を検討する
    6. 4-6. 任意後見を検討する
  5. 5. 税理士・司法書士など専門家に相談するメリット
  6. 6. 老老相続に関連して、よくある質問
  7. 7. まとめ 老老相続はリスクも多く、早めの対策が重要

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老老相続とは、被相続人である高齢の親とその相続人である子どものいずれもすでに高齢になっている相続を指します。近年は平均寿命の延びや少子高齢化の進行により、相続を担う側も高齢である状況が広がっています。

老老相続では、相続人自身が持病を抱えていたり、認知機能や体力の低下がみられたりすることがあります。そのため、相続手続きに時間がかかる、複雑な判断が難しい、財産管理が後回しになるといった問題が生じやすいとされています。一般的な相続とは異なるリスクがある点を理解しておくことが重要です。

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老老相続が増えている背景には、日本社会全体の高齢化が大きく影響しています。相続が発生する年齢そのものが高くなり、相続人も高齢者という状況が一般的になりつつあります。ここでは、老老相続が生じやすくなっている主な要因を整理します。

日本では平均寿命が延び、親が90代まで長生きすることも珍しくなくなりました。その結果、相続が発生する時点で、子がすでに60代後半から70代に達しているケースが増えています。

子ども世代も定年後の生活に入っていることが多く、収入や健康面に不安を抱えている場合もあります。こうした状況では、相続手続きに必要な労力や判断が、身体的・精神的な負担になりやすいとされています。

老老相続の背景として、高齢の親を高齢の子が介護する「老老介護」の増加も見逃せません。介護が長期間に及ぶと、介護費用や生活費の負担が重くのしかかり、心身ともに疲弊してしまうことがあります。

その状態で相続が始まると、相続人が冷静に話し合いや判断を行うことが難しくなり、手続きが滞ったり、親族間で意見が対立したりする要因になることもあります。

相続や死後の話題を家族で話し合うことを避ける人も多く、そのため、遺言書の作成や財産の整理が後回しにされ、十分な準備が整わないまま相続が発生するケースも少なくありません。

老老相続では、相続人自身も高齢であるため、準備不足がより大きな負担となりやすい点に注意が必要です。早めの話し合いや備えが、円滑な相続につながります。

老老相続では、相続人自身が高齢であることから、通常の相続よりも手続きや判断が難航しやすい傾向があります。相続の開始時点で心身の状態に不安を抱えているケースも多く、結果として相続全体が長期化したり、思わぬ不利益につながったりすることがあります。ここでは、老老相続で特に生じやすい代表的なトラブルやリスクを整理します。

老老相続では、相続人の中に認知症を発症している人や、要介護状態にある人が含まれることがあります。判断能力が低下している場合、遺産分割協議に参加することができず、話し合いそのものが進まなくなるおそれがあります。

このようなケースでは、成年後見制度の利用が検討されることもありますが、家庭裁判所への申立てが必要で、時間や手間がかかります。後見人が選任されると、相続手続きは進められるものの、自由な財産処分が制限されるなど、想定外の影響が生じることもあります。

相続人全員が高齢の場合、書類の準備や金融機関・法務局での手続き自体が大きな負担になることがあります。また、体力や理解力の問題から、内容を十分に把握できないまま判断を迫られる場面も少なくありません。

その結果、相続人全員の合意が得られず、遺産分割協議が長期化することがあります。不動産や預金の名義変更ができないまま時間が経過し、生活資金として使えない状態が続くケースも見られます。

老老相続では、一次相続が終わって間もなく、相続人である子が亡くなり、二次相続が発生することも珍しくありません。短期間に二度の相続が重なると、その都度手続きや税務申告が必要となり、遺族の負担は大きくなります。

また、相続税の特例や配分を十分に検討しないまま一次相続を終えると、二次相続で税負担が増える可能性もあります。先を見据えた対応が取れないこと自体が、老老相続のリスクの一つといえます。

相続手続きが進まないまま相続財産の管理が後回しになるケースもあり、特に不動産については、相続登記が行われず名義が故人のまま放置されることがあります。

また、名義が変更されていない不動産は売却や活用ができず、固定資産税だけが発生し続けるケースも見られます。預金についても、凍結されたまま引き出せず事実上「使えない資産」になってしまうことがあります。

老老相続では、相続人同士の話し合いが難しくなり、遺産分割を巡って対立が生じることがあります。体調や認知機能の差によって、不公平感が生まれることも少なくありません。

また、相続税の特例や控除を十分に活用できないまま相続が進むと、本来よりも多くの税負担が生じるおそれがあります。準備不足が、親族間の関係悪化や経済的な不利益につながりやすい点も、老老相続の大きなリスクといえるでしょう。

老老相続では、相続人自身も高齢であることが多く、判断力や体力の低下、手続き負担の重さが問題になりがちです。相続開始後に慌てて対応するのではなく、元気なうちから段階的に備えておくことで、家族の負担やトラブルを大きく減らせます。以下では、老老相続に特有のリスクを踏まえた、現実的な対策を整理します。

老老相続の対策として、まず重要になるのが家族間の情報共有です。相続は誰にとっても話題にしにくいテーマですが、話し合いを避け続けるほど誤解や不信感が生じやすくなります

定期的に相続や将来の生活について話す機会を設けることで、「何を心配しているのか」「どのような希望があるのか」を早い段階で共有できます。特に、認知症を発症する前に本人の意向を確認しておくことは後の判断材料として大きな意味を持ちます。

話し合いは一度で結論を出す必要はありません。状況の変化に応じて、少しずつ認識をそろえていく姿勢が、争いの予防につながります。

相続手続きを円滑に進めるには、財産の全体像を把握しておくことが欠かせません。預貯金、不動産、有価証券、保険、負債などを整理し、どこに何があるのかを明確にしておくことで、相続開始後の調査や手続きの負担が大きく軽減されます。

特に老老相続では、相続人自身が高齢のため、複雑な調査作業が負担になりやすい傾向があります。口座番号や保管場所、不動産の所在地などを一覧にまとめておくだけでも、実務は格段に進めやすくなります。

この作業は、税務申告や遺産分割をスムーズに進めるうえで重要です。

老老相続の対策では、住まいと資産の使い方をあらかじめ検討しておくこともポイントになります。自宅に住み続けるのか、高齢者施設へ入居するのかによって、不動産の扱いや資金計画は大きく変わります

自宅を売却・賃貸する、あるいは施設入居資金に充てるといった判断は、相続財産の構成や将来の税負担にも影響します。場合によっては、小規模宅地等の特例など、税制上の扱いを踏まえた検討が必要になることもあります。

生活と相続を切り離して考えるのではなく、老後の暮らしと一体で資産の活用方法を検討することが、老老相続では特に重要です。

【関連】小規模宅地等の特例とは? 適用要件から計算例、必要書類までわかりやすく解説

遺言書は、老老相続における最も有効なトラブル防止策の一つです。相続人が高齢の場合、遺産分割協議そのものが難航しやすく、意思決定に時間がかかる傾向があります。

遺言書があれば、被相続人の意思が明確になり、協議の負担や対立を避けやすくなります。特に公正証書遺言は、形式面での不備が生じにくく家庭裁判所での検認も不要なため、実務上の安心感が高い方法とされています。

判断能力が十分なうちに作成しておくことが、後の紛争予防につながります。

【関連】遺言とは? 遺言書の種類と選び方 自筆証書遺言と公正証書遺言の違いを解説

認知症対策として注目されている制度の一つが家族信託です。家族信託を利用すると、判断能力が低下する前に、信頼できる家族へ財産管理を任せることができます

成年後見制度と異なり、日常的な資産活用や承継について柔軟に設計できる点が特徴です。不動産の管理や売却、生活費の支出などを円滑に行えるため、老老相続の場面では実務的なメリットがあります。

ただし、契約内容によって効果やリスクが変わるため、専門家の助言を受けながら慎重に検討することが重要です。

将来の判断能力低下に備える制度として、任意後見も選択肢の一つです。任意後見では、元気なうちに自分で後見人を選び、将来の支援内容を契約で定めます

法定後見と比べ、本人の意思を反映しやすい点が特徴であり、老老相続においても安心材料となります。認知症発症後の混乱を避けるためにも、早めの検討が望まれます。

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老老相続では、相続人自身も高齢であることが多く、手続きや判断を個人で抱え込むと負担が大きくなりがちです。税理士や司法書士などの専門家に早めに相談することで、法務・税務の両面から状況を整理し、適切な対策を講じやすくなります。

たとえば、相続税の申告が必要かどうか、特例の適用余地があるかといった点は、専門的な判断が欠かせません。また、不動産の名義変更や遺言書の作成、成年後見や家族信託の検討なども、専門家の助言があることで手続きを円滑に進められます。

結果として、相続人や家族が背負う精神的・実務的な負担を軽減し、不要なトラブルを防ぐことにつながります。

Q. 老老相続は誰に相談すればいい?

相続登記や遺言書の作成は司法書士、相続税の申告や節税対策は税理士が主な相談先になります。争いが生じそうな場合や法的判断が必要な場面では、弁護士への相談が適しています。内容に応じて専門家を選ぶことが重要です。市町村の無料相談や、法務局の登記手続案内を利用する方法もあります。

Q. 老老相続に備えて今からできることは?

まずは財産の内容を整理し、家族間で共有しておくことが基本です。そのうえで、遺言書の作成や家族信託などを元気なうちに検討しておくと、将来の手続き負担やトラブルを減らせます。

Q. 老老相続の税金対策にはどんな方法がある?

生前贈与の非課税枠を計画的に使う方法があります。また、配偶者控除や小規模宅地等の特例など、相続税の軽減制度を適切に活用することも重要です。適用条件が細かいため、事前に専門家へ確認すると安心です。

老老相続は、相続人自身も高齢であるため、判断能力の低下や手続きの停滞、二次相続の発生など、通常の相続よりも多くのリスクを伴います。準備を先送りにすると、家族の負担やトラブルが大きくなりかねません。

元気なうちから財産の整理や話し合いを行い、遺言書や信託制度の活用、専門家への相談を検討しておくことが、円滑な相続につながります。

(記事は2026年1月1日時点の情報に基づいています)

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