目次

  1. 1. 司法書士と行政書士の基本知識
    1. 1-1. 司法書士とは?
    2. 1-2. 行政書士とは?
  2. 2. 司法書士と行政書士のできること、できないこと
  3. 3. 資格制度からみた司法書士と行政書士の違い
    1. 3-1. 司法書士の資格
    2. 3-2. 行政書士の資格
  4. 4. 司法書士と行政書士にできないこと
  5. 5. 相続で依頼したい専門家の選び方
  6. 6. 司法書士と行政書士の費用
  7. 7. 司法書士と行政書士を兼ねる専門家を選ぶと安心
  8. 8. まとめ

「相続会議」の司法書士検索サービス

「司法書士」と「行政書士」は名称が似ており、業務も一部重なるところがあるため、違いについてよくわからないかもしれません。ですが、両者の専門分野には違いがあります。それぞれの取り扱い業務について理解しておくと、スムーズに相続手続きを依頼できます。

最初に、司法書士について説明します。「司法書士」は、司法書士法に基づく国家資格です。業務範囲は多岐にわたり、司法書士法などで規定されています。

代表的な内容は以下のとおりです。

  • 登記又は供託手続の代理
  • 法務局に提出する書類の作成
  • 法務局長に対する登記、供託の審査請求手続の代理
  • 裁判所または検察庁に提出する書類の作成
  • 成年後見人、不在者財産管理人などの業務
  • 法務大臣の認定を受けた司法書士については、簡易裁判所における訴額140万円以下の訴訟、民事調停、仲裁事件、裁判外和解等の代理及びこれらに関する相談

相続に関して、司法書士が担うもっとも多い役割は相続登記の申請代理です。被相続人(亡くなった人)が不動産を保有しており、手続きを第三者に依頼する場合は、ほとんどのケースで司法書士が関与することになります。

続いて「行政書士」です。「行政書士」は、行政書士法に基づく国家資格です。

主な業務は、以下の通りです。

  • 官公庁(省庁、都道府県庁、市町村など)に提出する書類の作成
  • 権利義務に関する書類の作成
  • 事実証明に関する書類の作成、など

このうち、権利義務に関する書類の作成に、相続手続きにおいて作成することの多い「遺産分割協議書」が含まれます。

具体的な相続手続きで比較してみましょう。

  • 相続人調査相続財産調査遺言書作成は、司法書士も行政書士も行えます
  • 相続登記は、司法書士は行えますが、行政書士は行うことができません
  • 相続放棄申述書などの裁判所提出書類の作成は、司法書士は行うことができますが、行政書士は行うことができません
  • 官公庁への書類提出など、許認可に関する手続きは、行政書士は行うことができますが、司法書士は行うことができません

資格制度の観点から、両者を比較してみましょう。

司法書士になるには、大きく分けて2つのルートがあります。一つは、年に一度行われる司法書士試験に合格する方法です。

もう一つは、法務大臣から認定を受ける方法であり、条件は以下の通りです。

  1. 裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官または検察事務官として登記、供託若しくは訴訟の事務又はこれらの事務に準ずる法律的事務に従事した者であって、これらの事務に関し自己の責任において判断する地位に通算して10年以上あったもの
  2. 簡易裁判所判事又は副検事としてその職務に従事した期間が通算して5年以上のもの

条件に当てはまる場合は資格認定を求めることができ、司法書士の業務を行うのに必要な知識および能力を有していると認められるか、口述および必要に応じ筆記の方法による判断を経て、司法書士資格が認定されます。

認定組の司法書士は少数派で、ほとんどの司法書士は試験合格者です。

行政書士は、司法書士より多くの資格取得ルートがあります。行政書士法の該当する部分を抜粋します。

第二条 次の各号のいずれかに該当する者は、行政書士となる資格を有する。

  1. 行書士試験に合格した者
  2. 弁護士となる資格を有する者
  3. 弁理士となる資格を有する者
  4. 公認会計士となる資格を有する者
  5. 税理士となる資格を有する者
  6. 国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間及び行政執行法人(中略)又は特定地方独立行政法人(中略)の役員又は職員として行政事務に相当する事務を担当した期間が通算して二十年以上(中略)になる者

6は簡単にいえば、公務員として行政事務を一定期間(中卒の場合は20年間、高卒以上の場合は17年)経験すると、資格を取得できるという意味です。

経験を踏まえると、弁護士や弁理士が行政書士登録している例は少ないように思いますが、税理士が登録しているケースは多い印象です。

このように、行政書士は様々な経験を持つ人が資格を取得できます。そのため、人によって対応できる業務が大きく異なります。相続手続きにおいては、民法の知識が必須です。資格取得ルートによっては、民法を学ぶ経験や実務で取り扱う経験がないまま、行政書士登録をしている例もあるはずです。

例えば、公認会計士試験は選択科目に民法があるものの、大半の受験生は民法を選択しません。税理士試験は相続税法で民法を学ぶ機会がありますが、選択しなければ学習する機会は少ないように思います。

まとめると、司法書士は資格取得の方法が限定されており、相続に関する法知識を持たずに開業するケースはありません。一方、行政書士は、人によっては、相続に関する体系的な勉強をする機会がないまま開業しているケースがあると思われます。行政書士に依頼する際は、対応分野をあらかじめ確認したほうがよいでしょう。

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相続税の申告などは税理士の業務範囲になるため、税務に関する手続きについては、司法書士も行政書士も対応できません。

また、家庭に関する事件全般を扱う家事事件の代理人となれるのは弁護士だけです。従って、遺産分割協議の過程で紛争が起こった場合、司法書士も行政書士も相続人に代わって交渉を行うことはできません。家事調停の代理人となることもできません。

相続に関する依頼先を迷った場合は、相続税申告が必要であれば税理士相続登記が必要であれば司法書士許認可に関する手続きがあれば行政書士への相談を検討するとよいでしょう。

報酬は自由化されており事務所によって異なります。あくまで個人的な印象になりますが、相続人調査などどちらでも行える手続きについては、大きく報酬に差はないように思います。

筆者のように、税理士、司法書士、行政書士に登録している人はかなり珍しいものの、司法書士と行政書士に登録している人は比較的多いです。迷った場合は両方に登録している事務所を選ぶとよいでしょう。

遺産分割協議などで紛争が発生した場合、相続人に代わって交渉を行えるのは弁護士に限られます。司法書士は登記の専門家で、幅広い相続手続きに対応することができます。行政書士は許認可など、官公庁に関する手続きを行えます。相続税は、税理士のみが対応可能です。

相続に関しては、各士業によって専門分野が異なるので、状況に合わせて相談先を選ぶとよいでしょう。

(記事は2022年11月1日時点の情報に基づいています。)

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