目次

  1. 1. 相談が遅く対応できなかった事例
  2. 2. ギリギリだけど対応できた事例
  3. 3. オーナーチェンジ物件を安心して購入するには?

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まずは、数年前に寄せられたオーナーチェンジ物件を購入した大家さんの事例です。購入直後に、賃貸借契約の更新が迫った段階で相談に来られたケースです。購入した賃貸物件は、相場よりも、少々家賃が安かったので、更新時に家賃の値上げ交渉を検討していました。ただ、対応した宅建業者(賃貸管理会社)が、家賃の増額の承諾とオーナーチェンジに関する窓口変更の承諾を1枚の書面にまとめて一括で処理しようとしたことから、トラブルに発展しました。

具体的に追っていくと、流れはこうです。賃貸管理会社が一括して借家人に承諾を依頼しました。借家人からは、オーナーチェンジに関する窓口変更について「前の大家さんから知らせて欲しい」という依頼とともに、「大家さんの引き継ぎと家賃の値上げは一括で承諾する必要があるのか?」という問い合わせがあったそうです。賃貸管理会社が「前の大家から知らせることはレアケースで、書類なども一括で対応することが、(不動産)業界内の通例」と借家人に伝え、強引に事を進めようとしました。

住んでいる人たちが、賃貸管理会社の説明に不信感を持って擦った揉んだとなり、知人の紹介で、相談に見えられました。前回のコラムでお伝えした通り、そもそも所有権と賃借権は別々の権利なので、取り扱いも別にしないといけません。ただ、賃貸物件の場合、例外規定があり、賃貸管理会社がとった行動は「業界内の通例」となっています。つまり、委託された賃貸管理会社がしっかりとした説明をできなかったことから、このような大きなトラブルに発展したと感じています。一括して対応したのは、手間を惜しんだのか、借家人を素人だと甘く見ていたのかは、わかりません。いずれにせよ、不適切な対応だったと感じます。この様なことがないように、最近、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律ができ、近いうちに施行される予定です。結局、このケースでは、大家と管理会社サイドの謝罪が遅れ、禍根を残してしまいました。

最終的に大家さんが賃貸管理会社を変更しましたが、肝心の家賃改定はできませんでした。元々、借家権は借家人側に有利になっており、大家にとって不利な事柄が多いのですが、通常の借家契約は「期間の定めのある」契約です。ですから、更新時にさまざまな変更などをしやすく、借家人も退去を検討しやすくなります。ただ、更新ができず法定更新になってしまうと、法的に以後の契約内容は今までのままでも、契約期間については更新のない「期間の定めのない」借家契約になってしまいます。

この「期間の定めのない」借家契約は更新がないので大家さんにとってとても不利なものです。例えば、退去請求する際には、請求後一定期間(法的には最低6ヶ月)を経てからでないと退去いただけないですし、正当な理由(正当事由)も必要になります。仮に滞納など借家人サイドに問題があっても、なかなか退去してもらえない可能性が通常の借家より高くなります。

オーナーチェンジ物件は、敷金も売買価格に含まれているので、注意が必要です。

中には、賃貸相場より明らかに有利な条件、例えば、高い賃料で貸していて、利回りが高いケースがあります。その場合、購入して時間をあけずに、借家人が賃料の減額を要請したり、退去したりして、想定が狂う可能性もあります。また、逆に売買価格が相場より極端に安価なケースで、「掘り出し物」としている場合もあります。今回のコラムはすぐに判別できましたが、見えないトラブルを抱えているケースもあります。このため、少なくとも元々の賃貸借契約の内容、できれば借家人との関係なども吟味して、購入するようにしましょう。

実際にあった事例は、リーマンショック直後でした。ある一棟アパートをオーナーチェンジ物件として購入を検討していたお客さまから相談を受けました。都内の一等地で、建物も問題ない格安な物件でした。具体的には相場の3割引き前後の価格です。ただ、リーマンショック後の投げ売り物件だとしても、少し様子が変。窓口になっている宅建業者(仲介業者)もちょっと怪しい・・・ということで、契約直前に相談したいということでした。

確認してすぐにわかったのは、登記に変わった点があることです。通常、借家(貸借権)の登記をすることはありません。しかし、法人契約で一括して借りていた業者の貸借権の登記が、建物部分の登記(乙区)にされていることでした。借地であれば、建物の登記は「自分が建物の権利を持っているぞ!」という対抗要件になります。ですから、借地人サイドに登記する理由は当然あります。ただ、借家の場合は「引き渡し」、つまり、そこに継続的に住んでいることだけで法的に対抗できます。このため、登記する必要性は、あまり高くないのです。一般的にも、手間や費用の観点から避けます。しかも、内容を見ると、敷金の金額が数百万円と、通常あり得ない金額です。締結されている賃貸借契約も相場より3割程度家賃が高く設定されており、契約時期が全て相談時点から1年以内の物件でした。
そういった点から、不審に感じました。

このケースでは、いったん購入を見合わせました。営業の方がしつこかったので、懇切丁寧に購入見合わせの理由と、「もし、契約をするのであれば敷金分の値引きなどをしてほしい」という現実味のない条件を提示して手を引いてもらいました。ちなみに、退去時の敷金精算はトラブルになることも多く、最近は敷金のほとんどを返却するケースが多いはずです。そのため、2020年4月の民法改正により敷金も条文に含まれました。

では、このようなトラブルに巻き込まれないためには、どうすれば良かったのでしょうか。基本的に不動産の貸し借りを規定する借地借家法は、民法の子分的な立場で、借り手にとって有利なルール、つまり、貸し手である大家にとっては不利なルールになっています。このため、争いになってもなかなか大家にとって納得できる結果にはならないでしょう。

まず、一つ目のケースの場合、オーナーチェンジ物件の売買契約に、前の大家さんから賃借権の譲渡について、借家人に通知してもらう約束を取り付けるべきでした。その上で、管理会社に法にのっとって対応してもらい、家賃の値上げについても交渉してもらえば良かったのです。

二つ目のケースでは、「サブリースと相続対策3 賢く付き合うために 相続時の注意点も解説」でもお伝えした通り、サブリースなど賃貸管理に関わる業務にトラブルが多く、法制化される予定です。ポイントは、取引の間に入っている仲介業者にノウハウや経験、実績がどの程度あって信用できるかいなかという点がポイントです。

現状、仲介業者である宅建業者が賃貸管理を行っているケースが圧倒的に多いでしょうし、今後も変わらないと思いますが、例えば、国土交通省では2011年9月から任意制度として「賃貸住宅管理業者登録制度」を設けています。

【参照】賃貸住宅管理業者登録制度
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/tintai/index.html 

また、私も資格を保有していますが、主に賃貸アパートやマンションなど賃貸住宅の管理に関する知識・技能・倫理観を持った専門家として、一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会が認定する「賃貸住宅経営管理士」という資格があります。国家資格になるかもしれません。この様な制度や資格については、また、後日、ご説明したいと思いますが、業者選定の基準にはなるでしょう。基本的なことですが、不明点や疑問点があれば、率直に相手先である業者に確認し、その対応する姿を見れば、業者選定の判断材料になると思います。人として合う合わないというフィーリングも大切な要素だと感じています。以上のことを意識し、オーナーチェンジ物件の購入を検討しましょう。

(記事は2020年7月1日時点の情報に基づいています)

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