法律のプロが作成する公正証書遺言 高い確実性を確保
遺言書のうち、公正証書遺言は確実性が高いものとされています。その理由とともに、作成方法とメリットをソーゾク博士が解説します。今回の記事を監修してくれたソーゾク博士は、Authense法律事務所の弁護士、柳川智輝さんです。
遺言書のうち、公正証書遺言は確実性が高いものとされています。その理由とともに、作成方法とメリットをソーゾク博士が解説します。今回の記事を監修してくれたソーゾク博士は、Authense法律事務所の弁護士、柳川智輝さんです。
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公正証書遺言を作ってくれる公証人は、どんな人なの。
公証人は裁判官や検察官など、法務実務に関わってきた人たちの中から選ばれています。いわば、「法律のプロ」です。
だから、安心ということですね。
そうです。公正証書遺言は、近年、作成件数が増えています。2016年に10万5350件だったのが、19年には11万3137件にのぼりました。
手続きは、どういった流れになるのでしょう。
大まかには(1)公証役場で打ち合わせ(2)公証人が遺言の原案を作成(3)遺言を作成する本人が確認し、必要であれば修正を加える(4)原案が決まったら作成日を決める(5)間違いがないことを確認し、遺言を残したい人に加え、証人2人、公証人が署名捺印(なついん)――という手順です。手続きには戸籍謄本などが必要なので、詳しくは問い合わせの時などに教えてもらうといいでしょう。
証人が必要なのね。
証人の立ち会いが必要になるのが公正証書遺言の特徴の一つです。特別な資格は必要ありませんが、遺言者の推定相続人や未成年者など、証人になれない人もいます。探しにくい場合、公証役場で紹介してもらえますが、別途、費用がかかります。公正証書遺言を作成するのに弁護士から手助けを受けていたら、証人になってくれるはずです。
自筆証書遺言と比べて、公正証書遺言にはどんなメリットがある?
原本は公証役場で保管するので、紛失や破棄の心配はありません。検索システムもあるので、亡くなった人が公正証書遺言を書いたかどうか、相続人らが確認できます。このほか、公証人は柔軟に対応してくれます。たとえば、高齢になって握力がなくなっても、公証人が遺言を作成してくれたり、病気を患って自宅や病院から思うままに出られなくなった際には出張してくれたりするのです。
手数料は、どれぐらいかかるのでしょう。
財産の規模や分け方によって手数料の額は異なります。一般的なケースの場合、おおむね2万円から10万円の範囲内と考えておくといいでしょう。不安を感じたら、一度、聞いてみてください。 二つの遺言書について解説してきましたが、来週は、「最後のメッセージ」とも言われる付言事項についてお伝えしましょう。
・確実性が高い
・紛失や破棄の心配がない
・出張にも応じてくれる
・手数料は財産の規模で異なる
(今回のソーゾク博士=Authense法律事務所弁護士、柳川智輝さん、構成=相続会議編集部)
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2021年11月1日時点での情報に基づきます)