一般的な遺言書は2種類 自分で書く?プロに任せる?
「相続に必要なものは?」と聞くと、多くの人が「遺言書」を思い浮かべるでしょう。ただ、作成のルールやメリットなど、詳しいことはあまり知られていません。そこで今月は、遺言書について朝日さん一家が学びます。記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、弁護士法人アクロピース弁護士・佐々木一夫さんです。
「相続に必要なものは?」と聞くと、多くの人が「遺言書」を思い浮かべるでしょう。ただ、作成のルールやメリットなど、詳しいことはあまり知られていません。そこで今月は、遺言書について朝日さん一家が学びます。記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、弁護士法人アクロピース弁護士・佐々木一夫さんです。
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最近、テレビや雑誌で相続特集を目にするけど、遺言書を書いておくことが大事らしいね。
私も聞いたわ。遺言書ってどうやって作ればいいのかしら。
おや、遺言書について関心がおありですね。
そうなんです。まだ作るかどうかは決めていないんですが。
すばらしい。遺言書は、早いうちから考えたほうがいいんです。基本的なことから解説します。 遺言書は普通方式と特別方式があります。このうち、普通方式には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。使われることが多いのは、自筆証書遺言と公正証書遺言です。
どんな違いがあるの?
自筆証書遺言は、自分で書くものです。公正証書遺言は、公証役場にいる公証人に作ってもらいます。「法律のプロ」とも言える人なので、確実性が高い点が特徴です。
どちらかを選ぶのに基準があるのかな。
まずは、それぞれのメリットとデメリットを知ることが大切です。自筆証書遺言はボールペンやノート、印鑑があれば書けます。手軽で費用もかかりません。昨年からは法務局での保管制度も始まりました。ですが、リスクもあります。法律で決まっている形式に従って書かないと無効になるのです。公証人によるチェックがないため、認知症などで十分な判断能力がない状態で作ると、有効性を巡って相続人の間で争いが生じやすいです。
せっかく書き残したのに、それは困るなぁ。
そうならないために、弁護士などの専門家からアドバイスを受けるといいですよ。
公正証書遺言のメリットは?
公証人が作成するので、無効になりづらいです。そして、公証役場で預かってもらえるので紛失や隠蔽(いんぺい)のリスクもありません。その一方で、遺産の額に応じて手数料が必要です。たとえば、遺産が2千万円で相続させる人が1人だと3万4千円かかります。このほか、証人も2人必要です。 どちらを選ぶのか、身の回りの状況で変わるかもしれないので、慎重に考えてみてください。まずは、専門家に相談してからスタートしてもいいでしょう。来週は、自筆証書遺言について詳しく説明します。
・自筆証書と公正証書が一般的
・自筆証書は手軽に書けるが形式に不備があると無効に。公正証書は確実だが手数料が必要
(今回のソーゾク博士=弁護士法人アクロピース弁護士・佐々木一夫さん、構成=相続会議編集部)
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2021年11月1日時点での情報に基づきます)