相続トラブルを回避する付言事項 遺言に残す家族への思い
遺言書には「家族に贈る最後のラブレター」とも言える「付言(ふげん)事項」を書くことができます。ソーゾク博士は「時に、相続を巡る争いを避けることにもつながります」と、その役割を強調します。今回の記事を監修してくれた「ソーゾク博士」は、弁護士法人アクロピース弁護士・佐々木一夫さんです。
遺言書には「家族に贈る最後のラブレター」とも言える「付言(ふげん)事項」を書くことができます。ソーゾク博士は「時に、相続を巡る争いを避けることにもつながります」と、その役割を強調します。今回の記事を監修してくれた「ソーゾク博士」は、弁護士法人アクロピース弁護士・佐々木一夫さんです。
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遺言書には「付言事項」という項目があるのを知っていますか?
聞いたことないです。
具体的には、どう役立つの。
たとえば、介護や事業で長男に苦労をかけた場合、「ほかのきょうだいよりも多く遺産を渡したい」と思う親は多いでしょう。しかし、1人だけに多く相続させると、ほかの子どもが不公平に感じて争いが生じるかもしれません。
確かにあり得そう。
そうならないために、付言事項に理由を記しておくのです。このようなケースでは、「長男に迷惑をかけたから、多めに遺産を残したい」といったイメージです。これから、家族がどうなってほしいのかを書き込んでもいいと思います。文章の形式などに決まりはないので、素直な気持ちを伝えられます。
まさに、子どもや孫たちへの最後のメッセージですね。
忘れてはいけないこともあります。素直な気持ちを伝えられるからといって、否定的なことを書くのは避けたほうがいいでしょう。かえって相続トラブルを招く可能性があります。
確かに、遺言書を開けてみたら怒りの言葉がつづられていた……というのは嫌だなぁ。
思い入れが強くなると一時の感情に引きずられることもあるかもしれません。そんな時には弁護士や公証人に相談してみるのもいいでしょう。第三者からの冷静なアドバイスを受けられます。遺言書を開封する時、書いた人はもうそこにいないのですが、残された人に迷惑をかけないよう配慮して「争族」を回避することが大切です。
書く量が多くなってもいい?
遺言書は、相続分や遺産分割方法の指定などがメインなので、付言事項は短いほうが望ましいです。もしも、家族一人ひとりにメッセージを残したいと思ったら、別添えで手紙やエンディングノートに残すことも考えてください。
遺言書といっても、いろいろと考えることがあるんですね。
だからこそ、早いうちから考えることが大切です。書こうと思ったまま棚上げにしている人は、一度、公証人や弁護士といった専門家に相談してみてください。
・遺産分割の理由を記すとトラブル回避に役立つ
・否定的な内容は避ける
・第三者のアドバイスも有効
(今回のソーゾク博士=弁護士法人アクロピース弁護士・佐々木一夫さん、構成=相続会議編集部)
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2021年12月1日時点での情報に基づきます)