目次

  1. 1. 遺留分侵害額請求にかかる弁護士費用の内訳・相場
    1. 1-1. 相談料
    2. 1-2. 着手金
    3. 1-3. 報酬金
    4. 1-4. 手数料
    5. 1-5. 日当
    6. 1-6. 実費
  2. 2. 遺留分侵害額請求にかかる弁護士費用計算の具体例
    1. 3-1. 各法律事務所を比較し、安い事務所に依頼する
    2. 3-2. 交渉が難航する前に依頼する
    3. 3-3. 相続案件の経験・実績が豊富な弁護士を選ぶ
  3. 4. 遺留分侵害額請求の弁護士費用を払えない場合の対処法
    1. 4-1. 着手金の分割払いや後払いができる事務所に依頼する
    2. 4-2. 法テラスを通して依頼する
  4. 5. 費用を払ってでも遺留分侵害額請求を弁護士に依頼するメリット
    1. 5-1. 遺留分侵害額が任意に支払われる可能性が高まる
    2. 5-2. 請求にかかる手間やストレスを軽減できる
    3. 5-3. 遺留分侵害額を正確に計算できる
    4. 5-4. 調停や訴訟に発展しても安心
    5. 5-5. 時効の完成を阻止できる
    6. 5-6. 相続財産の調査をしてもらえる
  5. 6. 遺留分侵害額請求をされた場合にかかる弁護士費用
  6. 7. 遺留分侵害額請求の弁護士費用に関してよくある質問(Q&A)
  7. 8. まとめ 弁護士のサポートで法律で認められる遺留分の請求を

「相続会議」の弁護士検索サービス

遺留分侵害額請求とは、法律で保障された最低限の相続分(遺留分)が侵害された場合に、不足分に相当する金銭の支払いを他の相続人に求める手続きです。

遺留分侵害額請求を依頼した場合における弁護士費用の大まかな目安は、以下のとおりです。

交渉で300万円の遺留分を獲得 792000
交渉で500万円の遺留分を獲得 1122000
調停で1000万円の遺留分を獲得 1947000
訴訟で1500万円の遺留分を獲得 2772000

正式な依頼の前に、弁護士に相談するのにかかる費用です。相談が終わった時点で、相談にかかった時間に応じて支払うのが一般的です。相場は30分5500円(税込)程度です。相談に1時間程度かかるケースが多いので、1万1000円は見込んでおくとよいでしょう。

もっとも、初回相談無料の事務所も多いため、気軽に相談することが可能です。

弁護士に事件を依頼した段階で支払う費用です。事件の結果に関係なく支払う費用で、不成功に終わっても返還されません

一般的には、(旧)日本弁護士連合会報酬等基準(かつて日本弁護士連合会が設けていた一律の基準ですが、現在は廃止されています)を参考に、下記のように請求額に応じて算定する事務所が多いです。

【着手金の目安】
請求額 着手金額
300万円以下 請求額の8.8%
300万円を超え3000万円以下 請求額の5.5% + 99000
3000万円を超え3億円以下 請求額の3.3% + 759000
3億円超 請求額の2.2% + 4059000

ただし、請求額を上記計算式に沿って計算をすると、かなりの高額になってしまうケースも少なくありません。そのため、着手金の一部(少なくとも33万円以上を設定する事務所が多い)を最初に支払ってもらい、残りは金銭を取得できた時点で清算する事務所も多いです。また、着手金を固定金額とする事務所もあります

調停や訴訟に移行した場合、追加で着手金(11万円~)が発生する事務所もあります

事件が成功に終わった場合、事件終了の段階で支払う費用です。成功というのは一部成功の場合も含まれ、その度合いに応じて支払います

判決等で認められた金額でもって成功とされ、その金額を実際に取得できたかどうかは問わないこともあるので、注意してください。例えば、100万円の支払いを求める訴訟を提起し、判決で全額請求が認められたものの相手方がお金を支払わないという場合でも、報酬金は発生するということです。

下記は、(旧)日本弁護士連合会報酬等基準に従った目安です。この基準を参考に、判決等で認められた金額や取得額に応じて算定する事務所が多いです。

【報酬金の目安】
回収額 報酬金額
300万円以下 回収額の17.6%
300万円を超え3000万円以下 回収額の11% + 198000
3000万円を超え3億円以下 回収額の6.6% + 1518000
3億円超 回収額の3.3% + 8118000

最低報酬金額を定めている事務所もあります。なお、報酬金を固定金額とする事務所はほとんどない印象です。

着手金や報酬金という費用体系になじまない、事務的な手続きを依頼する場合などに支払う費用です。例えば、内容証明郵便の作成・送付のみを依頼する場合や、相続人・相続財産調査を依頼する場合などです。着手金と同様、弁護士に依頼した段階で支払います。

金額は依頼する内容によって変わってきます。例えば、遺留分侵害額請求権を行使する旨の内容証明郵便作成・送付のみを依頼する場合は3~5万円程度です。また、相続人や相続財産調査のみを依頼する場合は10万~30万円前後です。

なお、これらを依頼した後に、改めて交渉や調停等を依頼した場合には、既に支払われた弁護士費用を考慮して着手金を設定してくれる事務所が多いです。

弁護士が事件処理のために、事務所から移動することで時間的に拘束される際に支払われる費用です。例えば、裁判期日に出頭する際の出廷日当、現地調査などで出張する際の出張日当があります。

弁護士に事件を依頼した段階で概算した費用を支払いあとで清算する場合や、事件終了の段階で報酬金と一緒に清算する場合など様々です。

日当の相場は、出廷1回につき2~5万円前後です。初回の出廷から発生するというよりも、特定の回数を超えた場合に発生する事務所が多い印象です。また、そもそも日当が発生しない事務所も少なくありません

事件処理のために実際に出費した費用です。裁判を起こす場合でいえば、裁判所に納める印紙代と予納郵券(切手)代など、出張を要する場合でいえば、交通費や宿泊費です。

弁護士に事件を依頼した段階で2万円前後の費用を支払い、事件終了の段階で清算することが多いです。また、訴訟を提起する場合、500万円を請求する訴訟では3万円、1000万円を請求する訴訟では5万円の収入印紙代がかかります。郵券は6000円程度です。

イメージしやすくするために、具体例をもとに弁護士費用を計算してみましょう。以下の事実関係で、子Cが子Bに対して1000万円の遺留分侵害額請求をしたケースを考えてみます。なお、計算をわかりやすくするため日当や実費を含めていません。

<具体例の前提>
被相続人 母A
相続財産 4000万円
相続人  子B・C
Aの遺言  Bにすべての財産を相続させる

【交渉で1000万円全額を取得できたケース】
着手金:64万9000円
報酬金:129万8000円
合計:194万7000円
*着手金・報酬金は(旧)日本弁護士連合会報酬等基準を採用したケース

【訴訟で500万円を取得できたケース】
着手金:33万円
追加着手金(訴訟移行時):11万円
報酬金:74万8000円
合計:118万8000円
※ 着手金は固定金額33万円、報酬金は(旧)日本弁護士連合会報酬等基準を採用したケース

【調停で300万円を取得できたケース】
着手金:33万円
報酬金:55万円
合計:88万円
※着手金は固定金額33万円、最低報酬金額が55万円に設定されていたケース

3. 遺留分侵害額請求にかかる弁護士費用を安く抑えるコツ

法律事務所はそれぞれ個別の料金体系を設けているので、同一の案件であっても料金が異なります。そのため、複数の弁護士に相談して見積りを取り、比較検討するとよいでしょう。

ただし、初期費用(着手金)の安さだけにとらわれることなく、報酬金や日当を含めた案件終了までの総額をシミュレーションするようにしましょう。

また、安さの背景として弁護士の業務範囲が限定されている可能性もあるので(たとえば、交渉までで調停や訴訟は含まないなど)、業務範囲も確認するようにしましょう。

問題が複雑化・泥沼化していると、弁護士が介入しても直接の交渉では解決できず、裁判所での調停や訴訟に移行せざるを得なくなる可能性が高くなります。

調停や訴訟になると弁護士側の労力も増えるので、追加着手金や日当などの形で弁護士費用が追加でかかることが多いです。

交渉が難航する前に依頼した方が交渉で解決できる可能性も高まるので、その結果、調停や訴訟に移行せずに済めば弁護士費用を安く抑えられるでしょう。

相続分野は専門性が必要で、弁護士によって結果が大きく変わってくる可能性があることから、どの弁護士に依頼するかが大切です。

弁護士にはそれぞれの得意分野があるため、相続を得意とする弁護士への依頼がおすすめです。年に1~2件程度しか担当しない弁護士と、10~20件以上担当する弁護士では知識やノウハウに差が出てきます

経験豊富が弁護士に依頼することで取得できる金額をより増やすことができれば、仮に弁護士費用が他の弁護士より高いとしても、最終的なコストパフォーマンスは高くなるでしょう。

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弁護士に依頼する場合、初期費用としてある程度まとまった金額の着手金を支払う必要がありますが、一括払いができないこともあるでしょう。そのような場合にどのように対処したらよいかを解説します。

着手金の分割払いや後払いに対応している事務所もあるので、相談予約時や相談時に確認するとよいでしょう。分割払いの場合、遺留分侵害額請求の案件処理には数か月以上かかるケースが多いことから、その間に毎月分割払いをしていくことになるでしょう。

また、後払いの場合は、遺留分侵害額請求の結果、他の相続人から一定の金銭を取得できた場合、その金銭から清算することになるでしょう。

日本司法支援センター法テラス」を利用する方法もあります。法テラスでは、弁護士に依頼した場合の着手金や実費などを立て替えてくれます。立て替えられた費用は、依頼者が法テラスに対して月々5000円から1万円程度を分割で返済します。

ただし、法テラスを利用するには、収入や資産が一定額以下であるなどの条件を満たす必要があります。条件を満たしているかどうかは、法テラスの公式ホームページや窓口に問い合わせて確認してください。

法テラスを利用したい場合は、法テラスに問い合わせる方法のほか、法テラスと契約している専門家に直接相談する方法があります。

相続トラブルの中でも遺留分侵害額請求は、法律の解釈や証拠収集、相続人との交渉など複雑な要素が絡みやすい手続きです。「弁護士費用の元が取れるのか」と悩む人も多いですが、専門家に依頼することで結果に大きな差が生じる場合があります。

ここでは費用を負担してでも弁護士に依頼するメリットを整理します。

弁護士が介入することで相手に本気度が伝わり、「請求に応じなければ調停や訴訟になってしまう」という懸念を抱かせることを期待できます。プレッシャーに負けて相手が折れることで、任意に支払ってくれる可能性が高まるでしょう。

相続人同士で直接やり取りをすると、感情的になりがちで、泥沼化する恐れがあります。また、相手との交渉の手間やストレスも軽視できません。

弁護士が介入することで冷静な話し合いができ解決に至ることも期待できるうえ、代理で相手とやり取りをしてくれるため手間やストレスが軽減されます。サポートしてくれる味方がいることは、大きな心理的支えになるでしょう。

生前に贈与がなされていたり、遺言で複数の相続人に遺贈がなされていたりすると、遺留分侵害額の計算式はかなり複雑になるため、正確に計算することは大変です。見落としがあると、本来請求できる金額よりも少なく請求してしまうこともあるでしょう。弁護士に依頼をすれば、専門的な知識に基づいて遺留分侵害額を正確に計算してもらえます。

相手方が請求に応じない場合、調停や訴訟に発展させざるを得ません。しかし、調停や訴訟の準備にはかなりの手間がかかるため、専門的な知識がなければスムーズに対応することは困難です。弁護士に依頼をしていれば、調停や訴訟に発展してもそのまま対応を任せられるので安心です。

遺留分侵害額請求権は「相続が開始したこと及び遺留分を侵害する遺贈などがあったことを知ってから1年」の間に行使しないと時効により消滅します。そのため、早めの対応が必要ですが、弁護士に依頼すれば、的確に時効の完成を阻止する手続きをしてくれます

遺留分侵害額を計算するためには、遺産の総額を明らかにすることが必要です。しかし、他の相続人に遺産を開示してもらえず、遺産の全容がわからないこともあるでしょう。弁護士に依頼をすれば、金融機関や証券会社、役所、法務局などで相続財産の調査を代行してもらえます

遺留分侵害額請求をされた場合、請求をする場合とは異なる料金体系をとっている事務所もあり、内容はさまざまです。一般的に、着手金は固定または他の相続人からの請求金額に一定の割合を乗じて算出することが多いです。

また、報酬金は「他の相続人からの請求金額から減額できた額」または「遺留分を支払った残額として確保できた遺産額」に一定割合を乗じて算出することが多いです。

以下では、着手金は固定で40万円、調停や訴訟に移行する場合に追加着手金がそれぞれ10万円発生し、報酬金は「相手方の請求から減額できた額の15%」という料金体系の法律事務所に依頼したと仮定し、弁護士費用をシミュレーションしてみます。

【交渉で300万円減額できたケース】
着手金:40万円
報酬金:45万円(=300万円×15%)
合計:85万円

【調停で500万円減額できたケース】
着手金:40万円
追加着手金:10万円
報酬金:75万円(=500万円×15%)
合計:125万円

【訴訟で1000万円減額できたケース】
着手金:40万円
追加着手金:20万円
報酬金:150万円(=1000万円×15%)
合計:210万円

Q. 費用が安い事務所に依頼すると、対応が雑になる?

費用が安いからといって必ずしも対応が雑になるわけではありません。ただし、安さの背景には経験の浅さやサービスの範囲が限定されているといった理由がある可能性があります。

そのため、費用だけでなく「遺留分侵害額請求を含む相続案件の実績が豊富か」「丁寧に話を聞いてくれるか」「説明がわかりやすいか」といった点にも着目することをお勧めします。

Q. 遺留分を侵害した相続人に、弁護士費用を請求できる?

基本的にできません。遺留分侵害額請求に関する弁護士費用は依頼した相続人が自己負担するものとされています。

Q. 遺留分侵害額請求を司法書士や行政書士に依頼することは可能?

認定司法書士であれば、請求金額が140万円以下の遺留分侵害額請求を依頼することは可能です。認定司法書士でない司法書士や行政書士には、遺留分侵害額請求の依頼をすることはできません。

遺留分侵害額請求は専門性の高い手続きなので、弁護士によるサポートをおすすめします。
弁護士費用は事務所や事案により幅がありますが、料金体系や相場を理解したうえで比較検討すれば、予算に合った依頼先を選ぶことは十分可能です。遺留分の請求を検討しているなら、まずは見積もりも兼ねて相談することをおすすめします。

(記事は2026年4月1日時点の情報に基づいています)

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