遺留分侵害額請求にかかる弁護士費用の種類

「弁護士費用」といっても着手金や報酬金など様々な種類があります。まずは、それぞれの内容を押さえましょう。

相談料

弁護士に相談するのにかかる費用です。相談が終わった時点で、相談にかかった時間に応じて支払うのが一般的です。

着手金と報酬金

弁護士に事件を依頼する場合、着手金・報酬金という費用体系で契約することがほとんどでしょう。この場合、弁護士に事件を依頼した時点及び事件が終了した時点の2段階で弁護士費用を支払うことになります。

着手金

弁護士に事件を依頼した段階で支払う費用です。事件の結果に関係なく支払う費用であって、全くの不成功に終わっても返還されません。

報酬金

事件が成功に終わった場合、事件終了の段階で支払う費用です。成功というのは一部成功の場合も含まれ、その度合いに応じて支払います。
判決等で認められた金額でもって成功とされ、その金額を実際に取得できたかどうかは問わないことが一般的ですので、注意してください。例えば、100万円の支払いを求める訴訟を提起し、判決で全額請求が認められたものの相手方がお金を支払わないという場合でも報酬金は発生する、ということです。

手数料

着手金や報酬金という費用体系になじまない、事務的な手続きを依頼する場合などに支払うものです。例えば、内容証明郵便の作成・送付のみを依頼する場合や相続人・相続財産調査を依頼する場合などです。
着手金と同様、弁護士に依頼した段階で支払います。

日当

日当は、弁護士が事件の処理のために、事務所所在地から移動することによって時間的に拘束される際に支払われる費用です。例えば、裁判期日に出頭する際の出廷日当、現地調査などで出張する際の出張日当があります。
弁護士に事件を依頼した段階で概算した費用を支払って後に清算する場合や事件終了の段階で報酬金と一緒に清算する場合など様々です。

実費

事件処理のために実際に出費されるもので、裁判を起こす場合でいえば、裁判所に納める印紙代と予納郵券(切手)代などです。出張を要する場合でいえば、交通費や宿泊費です。
弁護士に事件を依頼した段階で概算した費用を支払い、事件終了の段階で清算することが多いでしょう。

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遺留分侵害額請求にかかる弁護士費用の相場

相談料

30分5500円が一般的です。一般的に1時間程度はかかりますので、1万1000円は見込んでおくとよいでしょう。初回相談無料の事務所もあります。

着手金

一般的には、(旧)日本弁護士連合会報酬等基準(かつて日本弁護士連合会が設けていた一律の基準ですが、現在は廃止されています)を参考に、請求額に応じて算定する事務所が多いでしょう。具体的には、下記のとおりです。

300万円以下の場合は8.8%

300万円を超え3000万円以下の場合は5.5%+9万9000円
3000万円を超え3億円以下の場合は3.3%+75万9000円
3億円を超える場合は2.2%+405万

ただし、請求額を上記計算式に沿って計算をすると、かなりの高額になってしまうケースも少なくありません。そのため、着手金の一部(少なくとも33万円以上を設定する事務所が多い印象です)を最初に支払ってもらい、残部は金銭を取得できた時点で清算する事務所や着手金を固定金額とする事務所もあります。調停や訴訟に移行した場合、追加で着手金(11万円~)が発生する事務所もあります。

報酬金

一般的には、(旧)日本弁護士連合会報酬等基準を参考に、判決等で認められた金額や取得額に応じて算定する事務所が多いでしょう。具体的には、下記のとおりです。

300万円以下の場合は17.6%

300万円を超え3000万円以下の場合は11%+19万8000円
3000万円を超え3億円以下の場合は6.6%+151万8000円
3億円を超える場合は4.4%+811万8000円

最低報酬金額を定めている事務所もあります。なお、報酬金を固定金額とする事務所はほとんどない印象です。

手数料

依頼する内容によって変わってきます。例えば、遺留分侵害額請求権を行使する旨の内容証明郵便作成・送付のみを依頼する場合は3~5万円程度です。また、相続人や相続財産調査のみを依頼する場合は10万~30万円前後です。なお、これらを依頼した後に、改めて交渉や調停等を依頼した場合には、既に支払われた弁護士費用を考慮して着手金を設定してくれる事務所が多いでしょう。

日当

日当が発生する場合、出廷1回につき、2万~5万円前後です。出廷1回目から発生するというよりも特定の回数を超えた場合に発生する事務所が多い印象です。また、そもそも日当が発生しない事務所も少なくありません。

実費

依頼した段階で2万円前後を支払うことが多いでしょう。また、訴訟を提起する場合には、裁判所に納める収入印紙代や郵券に相当する実費を追加で支払います。例えば、500万円を請求する訴訟では3万円、1000万円を請求する訴訟では5万円の収入印紙代がかかります。郵券は6000円程度です。

遺留分侵害額請求にかかる弁護士費用計算の具体例

では、具体例をもとに弁護士費用を計算してみましょう。下記の事実関係で、子Cが子Bに対して1000万円の遺留分侵害額請求をしたケースを考えてみます。計算をわかりやすくするため日当や実費を含めていません。
<具体例の前提>
被相続人 母A
相続財産 2000万円
相続人 子B・C
Aの遺言 Bにすべての財産を相続させる

●ケース1
着手金と報酬金ともに(旧)日本弁護士連合会報酬等基準に沿って算定する事務所に依頼し、交渉の結果、1000万円全額を取得できたケース。

着手金 64万9000円
報酬金 129万8000円
合計 194万7000円

●ケース2
着手金は固定金額で訴訟に移行した場合に追加着手金が発生し、報酬金は(旧)日本弁護士連合会報酬等基準に沿って算定する事務所に依頼し、訴訟の結果、500万円を取得できたケース。

着手金 33万円
追加着手金(訴訟移行時)11万円
報酬金 74万8000円
合計 118万8000円

●ケース3
着手金は安めの固定金額で、最低報酬金額が定められている事務所に依頼し、調停の結果、100万円を取得できたケース。

着手金 11万円
報酬金 55万円
合計 66万円

損しないための弁護士の選び方

費用倒れにならない弁護士を選ぶ
遺留分侵害額が低すぎると費用倒れになってしまうこともあります。その場合は着手金が少ない弁護士を選ぶと良いでしょう。ただし、着手金が少ない場合でも最低報酬額や日当が定められていると費用倒れになり得ますので、着手金以外にかかる費用にも注意しましょう。

見積もりを聞いて金額をシミュレーション

見積もりをもらって具体的にどのくらいの弁護士費用がかかりそうかシミュレーションすることがおすすめです。

複数の事務所で見積もりをもらって比較する

労力や時間はかかってしまいますが、複数の事務所に相談し、それぞれから見積もりをもらって比較することも一つの手です。

安ければよいというものではない

弁護士は人柄や対応の丁寧さ、スキルも重要です。事件が終わるまでの数か月から数年にわたって付き合いが続く弁護士を決めるわけですから、多少費用が高くても信頼できる弁護士に依頼するほうが良いでしょう。

まとめ

遺留分侵害額請求をするときには弁護士によるサポートがある方が有利です。かかる弁護士費用は事例や法律事務所によって千差万別ですので、まずは弁護士に相談して費用の見積もりをしてもらうと良いでしょう。

(記事は2021年9月1日時点の情報に基づいています)