国税局や税務署は相談を受け付けている?

相続税に関する疑問がある場合、「電話で相談する」もしくは「税務署を訪ねて相談する」という二つの方法があります。それぞれの手順について説明します。

電話で相談をする場合、「国税局電話相談センター」と「税務署の窓口」の二つの選択肢があります。相続税の申告に関する一般的な税金の質問や相談であれば、国税局電話相談センターが適しています。ここには電話対応を専門的に担当する職員が配置され、速やかに回答を得られる可能性が高いからです。

一方、税務署の窓口に電話をする場合、税務署の職員は電話対応のほかにも様々な業務を抱えているため、すぐに回答してもらえないことがあります。税務署に電話相談をするのは、税務署から届いた書面について聞きたい場合や、税金の納付が難しい場合など、特別なケースに限ったほうがいいでしょう。

国税局電話相談センターに電話をする場合も、税務署の窓口に電話をする場合も、まずは所轄の税務署の電話番号にかけることになります。すると音声案内が流れるので、国税局電話相談センターにつなぐ場合は「1」を、税務署の窓口につなぐ場合は「2」をプッシュしてください。

税務署の窓口で直接相談したい場合は事前予約を

次に、電話ではなく、職員と面会して相続税の相談をする場合の手順について説明します。この場合、窓口は税務署です。一般的に、申告に関する相談は資産課税部門、納付に関する相談は徴収部門で受け付けています。なお、国税庁や国税局の庁舎には、このような相談窓口がないため、注意してください。

税務署で相談をする場合、事前予約をしておくとベターです。前述のとおり、税務署の職員は相談対応のほかにも業務を抱えていますので、突然税務署を訪れても、待ち時間が生じるおそれがあり、十分な相談時間が確保できないおそれがあるからです。

事前予約をする場合は、税務署に電話相談をするときの要領で、音声案内で「2」を押して税務署の職員につないでもらったうえで、予約日時の希望を伝えます。このとき、名前や住所のほか、相談内容を簡単に聞かれるので、あらかじめ相談内容を整理しておきましょう。

なお、相続税の申告については、「被相続人の住所」を管轄する税務署に行います。そのため、相談をする際も、被相続人の住所を管轄する税務署を選ぶのが基本です。

しかし、被相続人の住所が遠方にある場合など、別の税務署に相談をしたいという方もいるでしょう。そうした場合、都合の良い税務署で相談をすることもできますが、相談内容によっては所轄の税務署でなければ答えられないケースがあります。そのため、事前予約をする際には、相談内容と合わせて被相続人の住所も伝え、相談が可能かを確認しておくと安心です。

どんな説明を受けられる? 路線価を調べることも可能

国税局電話相談センターや税務署に相談をした場合、一般的な税法のルールだけでなく、個別事情に踏み込んだ質問をすることもできます。申告書に添付すべき書類や、税額計算、控除や特例の条件など、気になる点があれば確認しておきましょう。

私が税務署の職員として相続税の相談に対応していた頃、相談内容の多くは、「土地の評価方法」についてでした。その具体例を、一部紹介したいと思います。

土地の評価の算定基準となる「路線価」は、国税庁ホームページで公開されており、日本全国の地図(路線価図)から相続物件の場所を指定することで把握することができます。ところが、「路線価図から相続物件を見つけられない」と相談に来られる方が少なくありませんでした。

その理由は、路線価図の表記方法にあります。路線価図は、一般的な住所に使われる「住居表示」で表記されており、土地の登記情報に使われている「地番表示」とは異なるからです。そのため、登記情報から相続物件の地番を把握しても、その物件の路線価を見つけられない、という問題が起きるのです。

こうした物件の路線価を調べるため、税務署は、管轄するエリアを中心とする「ブルーマップ」という地図を備え付けています。ブルーマップは、住宅地図の上に、地番などをブルーで表示されているもので、地番から調べて住居表示を知るために使えます。ブルーマップから相続物件の住居表示を調べれば、路線価図から路線価を把握できるようになります。

これは一例に過ぎませんが、電話だけでは確認できないことも、税務署で相談をすることで解決することができます。複雑な土地の評価計算や、被相続人の家族関係が複雑な場合、特例的な計算方法といった内容であれば、電話よりも直接相談をしたほうが効率的に答えを得ることができるでしょう。

なお、税務職員が対応に困るのが、「節税できる方法を教えてほしい」というものです。税務署の相談対応は、個別の質問や相談に回答して正しい申告を案内するものにとどまるのが普通です。相談者の状況を総合的に聞き取って節税プランを提案するといったことは期待できませんので、そうした踏み込んだアドバイスを希望する場合は、税理士に依頼することをおすすめします。

税務署に相談するときの注意点 相談に必要な資料の用意を

税務署に相談をする際、まず意識しておきたいのが、「正しく情報を伝える」ということです。たとえば遺産の内訳や、相続人の数などの情報は、相談者の方でなければ分からないものです。もし、このような相談の前提となる情報が誤って伝わると、回答も誤ったものとなってしまいます。

そのため、相談に臨む際は、相談内容に関係しそうな資料を持参するようにしましょう。たとえば土地の評価について相談したいのであれば、土地の所在地や面積の分かる図面や、権利関係の分かる登記事項証明書を持参すると、税務署の職員は正しく情報を把握し、回答することができます。

効率的に相談をするには、事前にある程度、相続税のルールを理解しておくことも大切です。まず、国税庁ホームページに掲載されているパンフレットタックスアンサーのコーナー、もしくは市販書などから相続税について学び、ご自身の状況に当てはめたうえで税務署に相談すると、相談時間を短縮することができます。

次に注意したいのが、「相談する時期」についてです。相続税の相談は、土日祝日および年末年始(12月29日から1月3日)を除いて年中可能ですが、確定申告シーズンは相談を受けられる職員が少なく、面談の予約も取りにくくなります。申告期限が迫っているような場合は別ですが、できれば1月から3月は避けて相談することをおすすめします。

相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10カ月です。限られた期間内に正しく申告をするため、税務署へ相談する手順も踏まえて、申告までのスケジュールを立てておきましょう。

(記事は2020年5月1日現在の情報に基づきます)