目次

  1. 1. 2割を超える個人の寄付
  2. 2. 気持ち受け止め思い新たに
  3. 3. 寄付は使い道の指定もできる

がんで苦しむ人、悲しむ人をなくしたい――。公益財団法人「日本対がん協会」は1958年から、がん予防・検診の推進、患者とその家族の支援などをしてきました。乳がん検診の大切さをアピールするために協会が中心となって毎年10月、各地で展開している「ピンクリボンフェスティバル」は見聞きしたことがあるかもしれません。ほかにも、無料の電話相談をほぼ毎日開いていたり、「がんサバイバーカフェ」で患者や家族の交流を進めたり。がん治療専門医を育成するため、医師に米国で1年間学んでもらう支援活動もしています。

24時間歩き続けて寄付を募る「リレー・フォー・ライフ」(日本対がん協会提供)
24時間歩き続けて寄付を募る「リレー・フォー・ライフ」(日本対がん協会提供)

活動の基盤は、やはり寄付です。2019年度は約3億3414万円の寄付がありました。個人からの寄付は約23%を占めます。がん患者と家族を支援するため、患者や支援者らが交代で24時間歩き続けて寄付を募る「リレー・フォー・ライフ」は2019年度、全国48カ所で開催し、61058人が参加、約6583万円が寄せられました。

協会への遺贈寄付に対する関心が近年、非常に強くなっているといいます。問い合わせの急増を受け、2018年にパンフレット「あなたから未来へ、希望の贈り物。 遺贈寄付」を作成し、配布しています。協会の活動を紹介し、遺贈の注意点や遺言の作成事例、生命保険信託による寄付の方法などが紹介されています。

特定寄付担当マネジャーの岸田浩美さんに話をうかがいました。
遺贈寄付の額は100万円に満たない額から億単位まで幅広く、葬儀で寄せられた香典を寄付するケースも増えているそうです。岸田さんは「遺贈寄付されたご遺族に感謝状を届けに行った際、『ここで闘病していたんですよ』と部屋に案内され、胸が詰まる。そんなことがしばしばあります。しっかりとお気持ちを受け止め、活動に活かしていかなければと思いを新たにします」と話します。

乳がんで今年亡くなったある女性は、病床に友人の司法書士を招いて遺言を作成し、遺贈しました。「ほかの人にこんなつらい思いをさせたくない」と思いを語っていたそうです。また、妻をがんで亡くした男性が「検診を勧めてさえいれば、亡くならずにすんだかもしれない。後悔する人をなくしたい。きっと妻も喜んでくれると思います」と相続財産から寄付してくれました。

遺贈寄付パンフレットの表紙(日本対がん協会提供)
遺贈寄付パンフレットの表紙(日本対がん協会提供)

一人ひとりのそんな思いのこもった寄付に、岸田さんは「亡くなった方から、いつも応援していただいているようです」と感謝の言葉を口にします。
遺贈寄付した遺族には、希望があれば毎月、協会報を送るほか、年に一度、活動報告を送っています。寄付者の名前を冠した基金をつくることや、支援したいと思う活動に使い道を指定することもできます。また、一部例外はありますが、不動産の遺贈も受けています。

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(記事は2020年12月1日現在の情報に基づきます)