1.相続放棄受理証明書とは

相続放棄受理証明書とは、相続放棄した事実を証明するための書類です。
相続放棄をしても、世の中のすべての人に対して相続を放棄した事実が自然と明らかになるわけではありません。

被相続人の借金支払いを要求された場合などには、相続放棄した事実を自分で証明しなければならないのです。そこで「相続放棄受理証明書」を取得して債権者などへ提示する必要が生じます。

2.相続放棄受理証明書が必要なケース

相続放棄受理証明書が必要になるのは、以下のような場合です。

2-1.相続債権者から支払い請求されたとき

相続債権者とは被相続人に対して債権を持っている者を指します。被相続人が借り入れしていた消費者金融やカード会社などから支払い請求されたら、相続放棄受理証明書を示して支払いを拒否しましょう。

2-2.不動産の相続登記をするとき

相続人の中に相続放棄した人がいると、不動産の相続登記の際に、相続放棄の受理証明書が必要になります。登記申請書類とともに法務局へ提出しましょう。銀行預金の解約、払い戻しの際にも受理証明書を求められるケースがあります。

3.相続放棄受理証明書の取得方法

相続放棄受理証明書の取得方法は、申請する人の立場によって異なります。以下でパターンごとに相続放棄受理証明書の申請方法や費用を説明します。

3-1.相続放棄した本人(申述人)が申請するケース

申請先の裁判所相続放棄受理証明書は、被相続人が最後に住んでいた市区町村を管轄する家庭裁判所へ申請します。

必要書類

  • 相続放棄受理証明申請書
  • 申述人の本人確認書類(運転免許証や健康保険証、パスポートなど)
  • 申述人が未成年や被後見人の場合、法定代理人の本人確認書類
  • 返信用の封筒と切手

費用
交付手数料は1通150円です。申請書に収入印紙を貼って納めましょう。

3-2.他の相続人や利害関係人が請求するケース

申述人以外の相続人や「利害関係人」も相続放棄受理証明書の発行を申請できます。
利害関係人となるのは、被相続人に対する債権者などです。

申請先の裁判所と費用
申請先は被相続人が最後に住んでいた市区町村を管轄する家庭裁判所です。費用は150円分の収入印紙で、本人が申請する場合と同じです。

必要書類

  • 相続放棄受理証明申請書
  • 請求者の本人確認書類
  • 法人の場合には法人の資格証明書と代表者の本人確認書類
  • 利害関係を証明する書類(申述人との相続関係がわかる戸籍謄本類、金銭消費貸
  • 借契約書、ローン契約書など)
  • 返信用の封筒と切手

3-3.相続放棄受理証明書申請に際しての注意点

相続放棄受理証明書を請求するには、相続放棄申述事件の「事件番号」を特定しなければなりません。
事件番号は、申述人本人の場合、家庭裁判所から受け取った「相続放棄受理通知書」に記載されているので確認しましょう。紛失している場合、家庭裁判所へ照会しなければなりません。
利害関係人や他の相続人が申請する際には、事前に事件番号を調査する必要があります。なお相続放棄情報の保管期限は30年間です。通常は30年が経過した後に相続放棄受理証明書が必要になるケースはほとんどないと思われますが、それでも早めに申請する方がよいでしょう。

4.相続放棄受理通知書との違い

相続放棄受理証明書に似た書類として「相続放棄受理通知書」があります。以下で違いを押さえておきましょう。

4-1.受け取れる人

相続放棄受理通知書は、家庭裁判所が申述人に対して「相続放棄を受理しましたよ」と知らせる書類です。受け取れる人は相続放棄した本人のみであり、利害関係人や他の相続人には送られてきません。

相続放棄受理証明書であれば、申述人本人でなくても、他の相続人や利害関係人が取得できます。

4-2.手続き完了後に自動的に送られてくるか

相続放棄受理通知書は、相続放棄が受理されると自動的に申述人へと送られてきます。
一方、相続放棄受理証明書は申述人や相続人、利害関係人が申請しなければ受け取ることができません。

4-3.再発行が可能か

相続放棄受理通知書は1回しか送られてきません。紛失しても再発行してもらえないので注意しましょう。

相続放棄受理証明書は手数料さえ支払えば、何度でも発行してもらえます。

申述者の方は、もしも相続放棄受理通知書をなくしてしまう場合に備えて、早めに相続放棄受理証明書を1通取り寄せて手元に置いておきましょう。

4-4.取得費用がかかるか

相続放棄受理通知書は、手続きが完了すると自動的に申述人に送られてくるので、取得費用はかかりません。

相続放棄受理証明書を受け取るには1通150円の手数料がかかります。

4-5.相続登記に使えるか

不動産の相続登記などの相続手続きを行うためには相続放棄受理証明書が必要です。
相続放棄受理通知書だけでは手続きできないので、別途、家庭裁判所へ証明書を申請しましょう。

まとめ

相続放棄受理証明書が必要なとき、自分で手続きするのが面倒であれば専門家に依頼できます。そもそも相続放棄受理証明書が必要かわからないときでも相談に乗ってもらえるでしょう。遺産相続で不安や迷いがあれば、一度、弁護士に相談してみてください。

(記事は2021年4月1日時点の情報に基づいています)