目次

  1. 1. 相続人代表者指定届とは 納税通知書を受け取る代表者を決める
    1. 1-1. 相続人代表者指定届とは
    2. 1-2. 相続人代表者指定届を送られるのは誰?
    3. 1-3. 相続人代表者指定届を受け取った人に納税義務がある?
  2. 2. 相続人代表者指定届の書き方
    1. 2-1. 相続人代表者を決める
    2. 2-2. 相続人代表者欄に記入する
    3. 2-3. 被相続人や他の相続人についての情報を記入する
    4. 2-4. 代筆も可能
    5. 2-5. 提出方法
    6. 2-6. 代表者が固定資産税を支払った場合の清算
  3. 3. 相続人代表者指定届を出さないとどうなる?
  4. 4. 相続放棄をする場合には伝達を
  5. 5. まとめ 代表者を決めて早めの回答を

「相続会議」の司法書士検索サービス

相続人代表者指定届とは、不動産の固定資産税や都市計画税について「納税通知書」を受け取る「代表者」を指定するための書類です。相続人のうち誰か1人を代表者と定め、市町村へと届け出ます。すると、その人の元へ納税通知書が届くようになります。
不動産の所有者が死亡すると、本人は固定資産税等の納税通知書を受け取れず納付もできません。市町村は相続人宛てに発送する必要があります。ただ相続人が複数いる場合、誰に送れば良いか判断できないので、相続人宛に「相続人代表者指定届」を送り、1人の代表者を定めさせるのです。

相続人代表者指定届を送られるのは、不動産所有者(故人)の相続人です。
どういった相続人に優先して発送されるかについては公表されておらず、市町村によって異なる可能性があります。一般的な傾向として、その不動産に居住している相続人がいれば、優先的に送られます。誰も住んでいない場合、その市町村内に住民登録している相続人に送られてくる傾向があるようです。

相続人代表者指定届を受け取ったからといって、その相続人が固定資産税を払わねばならないわけではありません。単に「代表者を定めるだけの書類」であり、納税通知書や納付書類ではないからです。
また相続人代表者指定届を提出したからといって相続が確定するわけでもありません。
相続人代表者指定届は「納税通知書を受け取る人」を指定するだけの届出であり、不動産の相続人や税金の支払い義務者を決めるものではないからです。突然書類が届いても、あせる必要はありません。

相続人代表者指定届の書式は各市町村によって異なる可能性がありますが、以下では標準的なケースを前提に書き方をご説明します。

まずは固定資産税の納税通知書を受け取る「相続人代表者」を決めましょう。相続人同士で連絡を取り合って誰にするのか決めます。なお代表者は「固定資産税を払わねばならない人」ではありません。あくまで「納税通知書を受け取る」だけです。税金は法定相続人が相続分に応じて負担するので、代表者になったから全額の負担が及ぶわけではありません。

代表者が決まったらその人の名前を「相続人代表者(申請者)」の欄に書き入れて、本人が署名押印します。住所、生年月日、被相続人との続柄などの必要事項も記入しましょう。

あとは被相続人の氏名、住所、死亡年月日、他の相続人の氏名、住所、被相続人との続柄などの必要事項を書き入れれば完成します。

相続人全員が署名押印し、1人の相続人代表者を指定する書式の市町村もあります。書式が市町村によって異なるので、実際に作成する際には送られてきた書式に従って作成してください。

相模原市ホームページより
相模原市ホームページより

中でも重要なのは「相続人代表者」の欄です。ここに書き入れた人のところへ納税通知書が届くようになるので、受け取りたくない場合には自分の名前を書き込んではなりません。

代表者が遠方に居住しており本人が書くのは難しい場合、代筆も可能な市町村が多数です。ただしその場合、代筆したことを備考欄へ書き込まねばならないのが一般的です。詳しくは市町村役場へ確認してみてください。

役所へ持参してもかまいませんし郵送でもかまいません。

相続人代表者を定めたとしても、税金は各相続人が「法定相続分」に応じて負担すべきです。相続人代表者が納付書を使って固定資産税や都市計画税を支払ったら、他の相続人の分を肩代わりしたことになるので、清算しましょう。個別に支払いを求めてもかまいませんし、遺産分割協議の際に他の遺産とまとめて清算してもかまいません。
他の相続人が支払いに応じない場合、裁判などの法的手段をとることもできます。

相続人代表者指定届が送られてきても無視しているとどうなるのでしょうか?
相続人代表者指定届を提出しないこと自体にペナルティーはありません。返送されてこない場合、市町村は別の相続人へ相続人代表者指定届の案内書を送るだけです。

ただし固定資産税や都市計画税は「必ず払わねばならない」税金です。基本的には相続人が負担しなければならず、全員の連帯責任になります。「代表者が決まっていないから払わない」という理屈は通用しません。不払い状態になると、市町村からそれぞれの相続人へ督促されるでしょう。
無視し続けていると、最終的に相続人自身の財産の差押えを受ける危険も発生します。リスクを避けるため、早めに代表者を決めて届出をしましょう。

司法書士への相続相談お考え方へ

  • 初回
    無料相談
  • 相続が得意な
    司法書士
  • エリアで
    探せる

全国47都道府県対応

相続の相談が出来る司法書士を探す

相続放棄をしたら、その相続人は不動産も税金支払い義務も相続しないので、相続人代表者になる可能性もありません。ただし相続放棄の事情は市町村には伝わらないので、自分で伝達する必要があります。家庭裁判所から届いた相続放棄の受理通知書や受理証明書の写しを市町村へ提示しましょう。

また相続放棄する場合、固定資産税や都市計画税を払ってはなりません。支払いをしたら「単純承認」が成立し、相続放棄できなくなってしまいます。相続放棄の申述後であっても、支払いをすると相続放棄が無効になって原則とおり相続しなければなりません。

相続放棄した方のもとへ相続人代表者指定届が届いたら、すぐに役所へ連絡を入れて事情を話し、早めに相続放棄の受理通知書または受理証明書を提出しましょう。

故人が不動産を所有していた場合、市町村から「相続人代表者指定届」が送られてくる可能性があります。返送しなくてもペナルティーはありませんが、誰かが税金を払わねばなりません。早めに代表者を決めて回答しましょう。遺産分割協議で不動産の相続人が決まったら、その後はその相続人の元に納税通知書が届くようになります。対応に迷ったときには司法書士や弁護士などの専門家に相談してみてください。

(記事は2020年9月1日時点の情報に基づいています)

「相続会議」の司法書士検索サービス